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 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第五章 1節   <17話>
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<17話>  「聖母教総本山」   =Gパート=


魔将との戦闘を私とキュリアは観戦していた。

戦士魔将はミリアとグリン。盗賊魔将はメリダとオジムが相手をしていた。


先程は魔将に一方的にやられてしまったメリダではあったが、その性格からか、強気なままだ。


「不覚を取りましたが、次は一人で大丈夫です」

オジムの持つ両手斧をメリダはフレイルを宛てがい、下げさせた。


いつになく真剣な表情のオジムであったが、メリダの意を尊重し、一旦退いた。



再び盗賊魔将と対峙するメリダ。

フレイルを両手で斜めに構える。


盗賊魔将はまたしてもボルトを構え、そして放った。

一投目はメリダに躱されてしまう。

そこで二投目を構える。

ここまでは先程と同じ様な展開だ。


メリダはフレイルを振りかぶる。

だが今度は二投目に合わせてフレイルを地面に突き立てた。

巧みにフレイルを使い重心を移動させ、二投目を避けてみせる。


盗賊魔将は三投目を構えるず、短剣を逆手で構える。

そして一気に距離を詰めてきた。


メリダは振りかぶらず、フレイルを独楽コマの様に回転させた。

鎖でつながれれていた鉄棍棒もが、遠心力で勢い良く回転する。


これには盗賊魔将も反応できない。

肩口から首にかけて、見事に炸裂した。


「巧い!」

私は思わず、そう口から洩らした。


たまらず、魔将はかがむ。

そこに軌道を変え回転して戻ってきたフレイルの鉄棍棒が、後頭部に炸裂する。


メリダは二発入れ復讐を果たし、名誉を挽回した。




ミリアもグリンの援護を受けながら巻き返していた。

こちらはメリダと違い連携を取り、徐々に追い詰めている。


ミリアがメイスで殴り、魔将に盾で防がれたところを側面からグリンが攻撃する。

あるいは、戦士魔将が片手斧で殴り、ミリアが盾で防いだところを背後からグリンが攻撃する。


見事な連携だった。

初めてとは思えない、息の合ったものだ。


(十年来の夫婦めおとの様だわ……)



魔将二体は、徐々にダメージを蓄積していく。

白魔術師の魔将は何度か、仲間の回復を試みた。

だが、回復しようとすると、エミアスがそれを阻止するのだ。

杖で打撃を与えたりして、詠唱を中断させるのだ。


移動しながらや近接戦をしながら詠唱する為には、それ相応の技術スキルか、対策用の術や装備が必要だ。

白魔術師魔将には、それが無かったのだ。

ちなみに、キュリアの様にその全てを行ってる者はまず居ないであろう。



徐々にだが確実に、前衛の魔将二体を追い詰めていった。

だがしかし、一瞬にして立場が逆転する。


敵が一斉に特殊能力アビリティーを使ったのだ。


まず白魔術師魔将が能力を使用する。

なんと、敵全ての傷が癒え、体力も全て全快回復したのだ。

その行動を皮切りに、戦士と盗賊の魔将も使用する。



戦士魔将は途端に一撃が重くなった。

それまでミリアは盾にて防いだ時、普通に受け流せていた。

だが今は違う。

斧での攻撃は、盾ごと吹き飛ばしてしまった。

そして二撃目の返す斧で、ミリアの巨体が軽々と宙を舞う。


ミリアは懸命に受け身を取る。

プレートアーマーが地面との接触で、激しい音と火花を散らす。

盾は受け流した部分がひしゃげてしまっていた。



盗賊魔将はメリダに掛かっていた魔術「攻撃間隔短縮インタ・ヘイスト」をメリダから盗んで、自分のものにしてしまった。

この魔術は近接戦闘において、攻撃後の隙を僅かに減らすというものだ。

高度な戦闘において、この隙が僅かでも減るという事がどれ程に絶大か、推して知るべし。

もし遠投にも効果があったのならば、私かキュリアは傍観を止め、直ぐに助太刀していたであろう。


オジムは察し、直ぐにメリダと肩を並べ、二対一で臨んだ。

そして、盗賊魔将の順手で持たれた短剣が二人を襲う。


短剣は元々が構えてから次の攻撃に容易へと移れる武器だ。

だが魔術により更に攻撃後の隙が僅かだが減り、二人掛かりでも手数で圧倒されてしまった。

オジムは両手斧と、左腕の小さな丸い盾で何とか受け流すも、反撃の隙が見えないでいた。

メリダはフレイルで受け流そうとする。

だが巧くいかず、プレートアーマーが短剣の攻撃で甲高い悲鳴を上げている。

徐々にプレートアーマーの関節部分が、何カ所か破損されてしまう。



それまでと形勢が逆転した。

敵の特殊能力アビリティー一斉使用により二対一だが、確実に押される。


更に都合の悪い事に「上位自動回復魔術ハイ・リジェネーション」が、時間経過で切れてしまったのだ。


(まさか、魔将はここまで読んであのタイミングでアビリティーを使ったのかしら? だとしたら、集団での魔将は驚異だわ)


私は助太刀しようか迷い、キュリアを見た。

キュリアは私の視線を感じたのか、一瞬だけこちらを向いた後、首を横に振った。


「信じましょう。彼女たちを……」



Hパートへ つづく

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