表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第五章 1節   <17話>
145/200

<17話>  「聖母教総本山」   =Dパート=


古代遺跡エリアは神殿エリアや宮殿エリアとは離れていた。

先程まで居た場所は、建物が白い石で出来ていた。

しかし今居る場所は、四角く削られた灰色の岩が積まれて出来ている。

一つ一つの構造物が大きく、人が作った遺跡であるかすらも怪しいと思ったが、魔力で身体強化された者ならばあるいは可能なのかも知れない。


ティーナたちが潜伏していると思われたが、意外にも古代遺跡エリアでは敵が見当たらなかった。

おかげで遺跡内部へと容易に侵入できた。

内部には長方形の廊下に正方形の部屋、それらが規則的に配されている。

古代遺跡と言うだけあり、ここだけはお伽話とぎばなしに出てくる別世界の様であった。

不思議な事に、岩の繋ぎ目に生えたこけ金緑色きんりょくしょくに光り、灯りは不要だった。


認識阻害魔術が掛っている為、解けない様にゆっくりと進む。

建物内を反時計回りに一周した辺りで、立体魔術陣が停まった。

(この先は確か、小部屋が続く……)


レンジャーのグリンのみが小部屋へと入って行く。

残りの者は部屋の外で待機する。

一分もせずにグリンは部屋から出てきた。


グリンは何やら、図と文字の書かれた紙を地面に置いた。

グリンの手を離れた紙は可視化される。


「(どれどれ……)って、痛たたたッ」

私の叫びは魔術により掻き消される。


どうやら、皆で一斉に覗き込んだ為に、誰かの金属製の兜に頭をぶつけてしまった様だ。

(こんな間抜けな事で、敵に見つからなくて本当に良かった……。後でイリーナに話したら大笑いされそうだわ。やれやれ……)


どうやらグリンが調べたところ、二つ先の部屋と三つ先の部屋に上位魔人が三体ずついて、その先へは進めないそうだ。



エミアスが手に取ると、紙は再び不可視化される。

次に紙が現われた時には、紙に名が記されていた。

どうやら、倒すべき敵を割り振った様だ。


奥の三体はキュリア、グリン、オジム。

手前の三体は私、メリダ、ミリア。

皆が配置に着いた頃を見計らい、エミアスが両方の部屋の間で合図を出すのだ。


立体魔方陣は計画通り三回光る。

三度目の光りに合わせ、一斉に仕掛けた。


私は黄昏の剣での斬り落としで、一撃の下に上位魔人を一刀両断した。

それと同時に認識阻害魔術が解け、私の姿が現われる。

魔人はオーバーキルとなり、エフェクトを残し一瞬で目の前から消えた。


同じ部屋のメリダとミリアの様子が気になり、私は直ぐに振り向く。


小柄なメリダは連接棍棒フレイルを両腕で振りかぶっていた。

鉄の鎖で繋がれた鉄の棍棒が、上位魔神の頭部を直撃する。

重い物体同士がぶつかった時の、激しい音が部屋に響く。

一撃では仕留められなかった様だが、特殊な形状となっているフレイルは棒の先端部が槍としても使える仕様なのだ。

ひるんで下を向いた魔人の頭部をフレイルの槍の部分が貫き、魔人は息絶えた。


大柄なミリアは魔人と対峙してた。

私よりも大きなミリアは、対峙した魔人とそれ程は体格が変わらない。

戦棍棒メイスの柄の部分を剣とは違い、バットの様に両手のこぶしを近づけて持ち、振りかぶる。

咄嗟とっさに杖でガードする上位魔人の腕ごと、メイスは粉砕する。

四度か五度目の鈍い音が響いたのち、魔人は足元へと崩れ落ちていった。


いざという時の為に隠れていたエミアスが姿を現す。

どうやら、隣の部屋も片が付いた様だ。

キュリアも司祭二人が気になったのか、こちらの様子を見にやって来た。


司祭の二人がどの程度の強さか、私も心配だったが、この分なら魔将が相手でも問題はなさそうだ。


「やるわね。みんな」

私は歓喜し、声を掛ける。


「当然です」

メリダは少し照れる様にして答え、ミリアは腰を落とし笑顔で頷く。


奥の部屋へ行くと、石の扉で閉ざされている箇所があった。

レンジャーのグリンは直ぐに仕掛けに気が付いた様だった。

「これは……エミアス猊下げいか、魔力制御なのでしょうね」


「ええ、そう。そう……でしたね。自分では操作しないもので、記憶から抜け落ちておりました。申し訳ございません」


キュリアは扉の脇にある石盤に手を当て調べる。


皆の緊張を和らげようと、私は思ったのだ。

「私は、触らない方が良さそうね!」


クールで常に沈着冷静にみえたグリンが、一瞬顔を引き攣らせていた。


「エミアス様、私がお開けいたしましょう」

石盤に手を掛けているキュリアが提案した。

実に自然な流れだった。


「では、キュ・リ・アさん。お願いしますね」

エミアスはワザとらしく、名前を一音一音強調して言う。


(何、この……アホの子みたいな扱い……。エミアスは人の事を言えないでしょ……)



キュリアが魔力を込めると、石で出来た扉が音もせず開いた。


「ここから先は、魔力感知される可能性があります。ですから、認識阻害魔術は使いません。グリンさんを先頭にし、私はリル様と共に最高尾で付いて行きます」


そう提案したエミアスであったが、直ぐに問題が起きてしまう。

メリダとミリアのプレートアーマーが、歩く度に僅かにだが音を発するのだ。

キュリアの装備している物は、全く音がしないのだが。


そこでパーティーを分け、グリンとオジム、そしてキュリアがこの先の様子を見に行く事となった。



Eパートへ つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ