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 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第四章 4節   <15話>
132/200

<15話>  「暗雲あるいは雷雲」   =Jパート=



「油断?」

「していない。むしろ警戒し過ぎた」


「おごりはあったか?」

「ない。相手が上手だった」


「もう少しリスクを冒してでも強引に行くべきだったか?」

「いや、結果は同じだろう。事前準備に明らかな差があった」


「相手が強かった。それは認めなければいけない」

「やはり仲間は必要だ」


私はひとり、自問自答していた。

何処か遠い遙か彼方を眺めながら。



エミアスとキュリアが、私の元へと駆け寄ってきた。

二人の顔は暗い。

だが私の様に取り乱したりはしていなかった。

安堵の表情さえ垣間見えた。

(私、心配させていたのかな?)


二人には私が取り乱してしまった所を見られていない。

結果的に「私が諦めていない」その姿だけを見せる事となった。


これで良かったのかも知れない。

そう、五十年以上魔王に囚われていたイリーナを救い出したのは他でもない、この私なのだから。



「まずは教会へ戻りましょう」

そう告げると私は、アイテム収納から外套がいとうを取り出し、後ろからキュリアの肩に掛けた。


「あ、ありがとう。リル、殿」

キュリアはややうつむき、頬を赤らめた。


「ほんと、酷い事するわよね。服まで刻むなんて」

私は後ろからそう言うと、キュリアは振り返り、半歩だけ下がった。


「その、あの……。スカートは自分で切りました。せ、戦闘の邪魔だったものでッ」

キュリアの顔は、頬だけでなく全体的に赤くなっていた。


「そ、そう……なのね。邪魔ですもの……ね」

歯切れの悪い返しをしてしまう。

私は思わず自分の顔を手で仰ぐ。

(やだ、何だか私まで恥ずかしい……)

お互い地面を見てモジモジする。


キュリアは、私の手を取った。

「あの……。ティーナ、貴女の言う事を信じるのであれば、聖母教の総本山に拠点を構えているそうです。私が最初に闘った際に、そう申しておりました」


エミアスは私たちに近寄ると、両手で祈る様にし、呟いた。

「やはり総本山は既に戦場なのですね」


私はキュリアとエミアスの顔を交互に見ると、強く頷いた。



イリーナは必ず救い出す。

その為には「強い仲間」、それが必要だった。


かつて私は、VR型のMMORPGやFPSをやっていた。

その時、共に闘った仲間たち。

それらは今はもう思い出なのだ。

そしてその思い出は、私の大切な宝物。


この世界でもこの先、宝物が沢山生まれることだろう。


闘おう、共に。

仲間と、共に。



16話へ つづく

15話をお読みいただき、ありがとうございます。


2~3ヶ月掛けて、ようやくここまで辿り着けました。

プロットが大幅に変わって3ヶ月前に書いた文章へと繋げるのに苦労しました。


16話は、15話をキュリアとエミアスの視点で書いていきます。

総本山での決戦は17話となります。そして18話で第I部が終了となります。


17話の戦闘シーンは、既に考えてあります。あとはどう繋げるか……。

漫画やゲームに負けない様な、オリジナリティー溢れる戦闘シーンをお見せ出来ればと思っています。

お楽しみに!

 


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