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 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第四章 4節   <15話>
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<15話>  「暗雲あるいは雷雲」   =Bパート=


「おっ、お嬢様!? 私? が!?」


ぶつかった相手は、私より遙かに華奢きゃしゃに見える少女だったのだ。

少女に支えられ、お嬢様と言われたのだ。

私は何だか気恥ずかしくなってしまった。

おそらくいつもの通り、耳まで真っ赤だろう。


私は支えられながら、少女に見とれていた。

少女の金髪は、ブロンドと言うよりも白金寄りのプラチナブロンドに近い。

元の世界ならば、ロシアか北欧系であろう。

だが瞳の色は違っていた。

澄んだアメシストの様な紫色をしていたのだ。

私はその紫色の瞳に引き込まれ、魅了されそうになる。

だが徐々に恥ずかしくなり、目を合わせられなくなった。


「あ、ありがとうございますッ!」

そう告げ、なんとか自分の力で立ち上がる。

そして荷物を受け取り、私は逃げる様にその場を後にした。


私は路地を曲がり、人気ひとけの無い事を確認し、直ぐに荷物を自分のアイテム収納へとしまう。


(危ない危ない。危うく魅了される所だったわ。CHRカリスマ値、半端ない。職業はアイドルスターなんじゃないのッ!?)


私はドキドキしている胸に手をやった。


(いや待った。そういえば、私とぶつかってよく平気だったね。普通は吹き飛ぶよ。余程、足腰が丈夫なのかな? 少女に見えて、実は武術の達人だったりして?)


私の心臓は、未だに強く脈打っていた。

暫く収まりそうにない。



「「わッ!!」」


先を行っていたはずのイリーナが、突然現れ大きな声を発したのだ。


「ひぃあわぶじょん」

私はあまりにも驚いた為、言葉にならない変な声を発した。


「えっ?」

イリーナは私の驚き様に驚いていた。


「いやあ、その、ドキドキしてて」

胸元に終始手を当てている私に、イリーナは不思議がっている。


「何かあったのですか?」

イリーナは、前屈まえかがみになっている私の胸元を凝視して続ける。

「男! ではなさそうですね」


私はイリーナと目を合わせず、少しずらして答える。

「何というか、雲の上の存在に声を掛けられた時の昂揚感?」


イリーナは直ぐに返した。

「子どもの頃に憧れていた英雄に出会った時の様な……? ですか?」


「あああああああ!」


「?」


「さっきの、絶対キュリアでしょ!」

私はようやくイリーナの顔を直視する。


「あぁ、お姉様……」

察したイリーナは、額に手を当て首を横に振り、私を非難する大げさなリアクションをして見せた。


「何と言いますか、そういう所……抜けてますよね、お姉様は。まぁ、妹分としては、完璧ではない、そういう所が可愛いのですが」


「止めてよね。恥ず、かしい……」


「それに、あんな可憐な少女だとは思わなかったのだもの。剣の達人だからゴツイと思っていたし。同じ八英雄のエルドルナよりも若いとはいえ、7~80代でしょ!?」


「何処かで聞いた様な言い訳ですね……。もう、お姉様、ルイダちゃんが『金髪ロングヘアの少女』と仰っていたではないですか」


「あぁ、そんな話もあったわね。あの後、色々あり過ぎて完全に飛んでたわ」


イリーナは、それ以上もう私を責めなかった。

そう、笑顔で私を慰めてくれたのだ。

「きっと直ぐに、また出会えますよ」


「そ、そうね……」



Cパートへ つづく

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