表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第四章 3節   <14話>
121/200

<14話>  「帝龜アーケロン」   =Jパート=


「退避! 退避! 戦闘員も含め、総員、中央甲板から退避せよ! 巨大な怪獣だ!」

誰かの声が響く。


(え? 南の海なのにクラーケン? いや、大王イカの化け物? 名持ち(ネームド)の怪獣なのか!?)


目の前には、巨大な大王イカの様な怪獣が居たのだ。

すかさず、GMスキル「検閲」を発動させる。

種は「アーク・テウシス」。

名は「アーケイオス」。


(どうする? 戦うか? いや、無理だ。イリーナもエミアスもいない。それに甲板で暴れられたら、母艦が大破するかも知れない)


幸いにも今、アーケイオスは暴れていない。

よく見ると、アーケイオスの直ぐ下には、魔術師魚人の杖や、棍棒が落ちていた。

(あ、お食事済みなのね……。察し)


とりあえず、私は船尾楼甲板へと退避した。

そこには、もりを持ったコージー大尉が居た。


(良かった。コージー君も無事の様だ)



私はアーケイオスの方を向いた。

すると不思議な光景をの当たりにする事となる。


周囲の霧が集まり、白い霧が形を現わしたのだ。

帝龜アーケロン、おそらくそうなのであろう。


白い霧が帝龜アーケロンとなり、アーケイオスと対峙したのだ。


辺りは静まりかえり、人々は沈黙した。

暫く、対峙したままのアーケイオスとアーケロン。

誰もが固唾を呑んで見守る展開だ。



「ケ"ソラvsカ"メラ?」

私は子どもの頃に見た大怪獣映画を思い出してしまった。


(ポップコーンでも食べながら見たいな……。味は、キャラメル・ソルト。いやペッパー・ソルトにしよう。あぁ、黒胡椒の香りが効いて……)

「くしゅッ」


すると、銃声がした。

誰かが銃を暴発させてしまったのだ。


そしてさらに、アーケイオスの真下で、轟音が響き、母艦までもが揺れた。


「え?」


「どこのアホだ! 大砲撃ちやがったのは。怪獣さ、刺激するでねー! 皆で死にてーのかぁ?」


その怒号に反し、アーケイオスはあっさりと逃げていった。


そして甲板上で、一斉に歓声が上がる。

「オオオオオオォォォォォォォ!」


「あ、終わったのか……」

私は安堵した。


「お前ら、今夜は祝杯だ!」

そう叫んで喜んだのは、さっきまで怒号を飛ばしていたコージー大尉だった。


(お疲れさま、コージー君)





「帝亀アーケロンのお陰ですね」

エミアスはそう言うと、私と目線を合わせなかった。


「お姉様、それは貴重な物を見られましたね」

イリーナは、平然としていた。


(んー。イリーナなら「ずるい。お姉様!」とか言うと思ったのにな)

「なーんか、妖しい……」

私は二人の顔を見る。

「じとー」


エミアスは相変わらず視線をずらし、イリーナは引きつった笑顔をしていた。

「まっ。いいわ」



私はアーケイオスが逃げて行った後、イリーナとエミアスの様子を見る為に、甲板から艦内へと降りて行った。

そして一階層降りた所で、この二人に出くわしたのだった。

この階は砲撃用の大砲が並んでいる階層だ。



「それにしても、海上で大型魔物(モンスター)に襲われたら、太刀打ち出来ないね。船を壊されたら大変だもの」

(海上でのモンスターとの戦闘とか無理ゲーだわ)


「それでしたら、海の上で戦えば良いのですよ」

エミアスは突然、大砲用の穴から飛び降りた。


「え? ちょっと、大丈夫?」


私とイリーナは穴から頭を出し、下を覗き込んだ。

二人の長い髪が垂れる。

真下を見ると、エミアスは海面を歩いていたのだ。


「マジか」

私は思わずイリーナの方を見た。

「イリーナできる?」


イリーナもきょとんとして、子どもの様に答えた。

「うんん」


「だよねー。それが普通だよね。あぁ、良かった」

私の中で良く分からない安堵感が広がったのだった。



Kパートへ つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ