<2話> 「異世界と仮想の狭間で」 =Bパート=
ルイーダは言った。
「がはは。わたしゃ驚いたよ。厳つい兜を取ったら、人形の様に綺麗なお嬢さんじゃないかい。しかも綺麗な宝石の様な赤い髪で」
宿屋の受付にいたおばちゃんは、この宿の主人で、ルイーダという名前らしい。
私の中のルイーダという名前からくるイメージを一撃粉砕してくれた。
「AIキャラメーカーくん。君は実に優秀だよ」
泊まっている部屋を出た時だった。
髪を黒く染めたにもかかわらず、背格好と声で、最初に部屋まで案内してくれたルイダに、あっさりバレた。
ルイダは宿主ルイーダの孫だとの事だ。
私は若いルイダに捕まり、髪の色や服装について、質問攻めにあってしまった。
攻撃を掻い潜り、なんとか地上階へと降りる。
だが今度は、ルイーダに捕まってしまった。そんな訳なのである。
「さっきは、すまなかったね。確かにそうだ。世の中、物騒だから。アンタのような綺麗な娘は、素顔を隠した方が良いわな。アンタが正解だよ。がははは」
孫のルイダが言う。
「ねえねえ、リルお姉ちゃん。これからどこに出かけるの?」
「んとね、お姉ちゃんこれから、お酒を飲みながら、食事でも採ろうかと思っているの」
「そうなんだぁ。ルイダね、食堂のご飯作るの手伝ってるの。もしよかったら、お姉ちゃんも今度、うちの食堂で食べてね」
「ルイダは、お手伝いしてて偉いね。私もよく……。それじゃあさぁ、明日の朝はルイダちゃんの作ってくれた朝ご飯を食べるから、宜しくね」
「うん、約束だよ! お姉ちゃん!」
私はルイダと約束した後、祖母ルイーダから紹介して貰ったお店へと向かった。
「夜の錦亭。ここだね」
店の外まで、賑やかさが伝わってきた。
Cパートへ つづく




