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 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第四章 3節   <14話>
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<14話>  「帝龜アーケロン」   =Hパート=


私は味を占めた。

シーバスの切り身を針に付け、マグロの内臓を捨てた辺りへとキャスティングした。

すると、入れた瞬間から、大きな手応えがあった。


(お? またマグロか!?)


今度も、相当な重量だ。

徐々に糸を巻いていく。

少しの格闘の後、竿の重みが一瞬にして消えたのだ。

(あれ? 逃げられた? それとも抵抗するのを諦めた?)


私は急いでリールを巻いた。

すると、僅かながら手応えが残っていた。

(良かった。逃げられたわけじゃあないね)


糸を巻き上げると再び重みを感じた、次の瞬間だった。


それは向こうからやって来た。


先程釣り上げたマグロの四倍はある、巨大なタコが甲板まで凄い勢いで、よじ登ってきたのだ。

甲板が重みできしむ。


(あ? これ……やっちまった?)


「え? 何? 何ですか、お姉様」


イリーナは、一瞬にして巨大タコの触手に捕まってしまった。

イリーナを捕まえた触手には、複数の吸盤が付いていて、イリーナも簡単には脱出できないでいた。


更に別の触手がイリーナを襲う。

青髪を触手で捕まれてしまった。

ネットリとした粘液がイリーナの髪にへばり付く。


(うわー)


私はイリーナを捕まえていた巨大タコの触手を黄昏の剣で、直ぐに切り落としてやった。

すると巨大タコは、墨を吐いて艦から逃げていった。


「白墨。黒くないんだね。へー」

私は感心していた。


白墨は見事にイリーナに命中していたのだ。


タコの触手からの粘液と、白墨にやられたイリーナ。

「うぇぇ。べたべた。それに少し痺れますぅ」


私はイリーナを慰めようと近寄った。

「イリーナ、臭ッ!」

私は思わず、鼻を摘まんだ。


「そんなぁ、お姉様、助けて下さいよぅ」

粘液まみれで、情けない顔をイリーナはしていた。


「お風呂に入ってらっしゃい。マリンちゃん探してくるから。部屋に戻っ……って、やっぱり戻らないで。臭いから」


イリーナは余程嫌だった様だ。

その場で直ぐさま、多次元収納からお湯を出したのだ。

そしてお湯を頭から浴びた。


私は収納からタオルを取り出し、イリーナを覆ってあげる。

「良かったわ。臭いが大分マシになったわよ。さ、中に行きましょう」


私は釣り具を収納に戻した後、イリーナの両肩に手を乗せ、一緒に艦内へと戻ったのだった。



イリーナは空いた果実酒の樽にお湯を入れて、裸になりお湯に浸かっていた。

ほのかに、ワインの様な果実酒の匂いが漂ってくる。

(ワイン風呂、私もやってみたい……。ワイン飲みながら!)


「イリーナ、折角だから丸洗いしちゃいなよ。これあげるから」


私はイリーナの入っている樽に、洗髪剤を瓶ごと投げ入れた。


「こっ、これは……迎賓館の離宮の物ではないですか!? お姉様、いつの間に」


「あぁ、あそこのメイドに貰ったのよ」


「なるほど。では、有り難く使わせていただきます」


イリーナは樽の中で頭を洗う。

泡が立ち過ぎ、樽のへりを伝い泡が溢れる。

シャボン玉が私とマリンちゃんの元へとやって来た。

薔薇の様な香りが漂う。

そしてシャボンは弾け、ワインの香りと混ざり合う。


「お姉様? これ、どうやって流しましょうか?」


「そうね。イリーナを隣の空き樽に移すっていうのはどう?」


「了解です!」


私は真っ裸のイリーナを隣の樽に転移魔法で移す。


「ありがとうございます。お姉様」


イリーナは右手から収納内のお湯を出し、髪の毛に掛けて洗い流した。


「お姉様、次の樽にお願いします」


「え? あ、はい」


イリーナを次の空き樽へと移した。

イリーナが樽にお湯を注ぐ音が聞こえた。


(あ、これは長くなるな……)

「イリーナ、私、先に甲板に上がってるね。マリンちゃん、後は宜しく」


マリンちゃんはコクリと頷く。


「あ、はーい。私はもう少し温まってからにしますね」


「了解了解」


私はイリーナをマリンちゃん押しつけ……もとい、任せた。



Iパートへ つづく

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