<13話> 「Laudamus te, Benedicimus te, Adoramus te, Glorificamus te.」 =Bパート=
Laudamus te, benedicimus te, adoramus te, glorificamus te.
褒め称え、感謝し、崇拝いたします、栄光あれ
私たちの目的は海を東へ渡る事だ。
まずはクエストの基本、情報収集。
そう、まずは聞き込みからだ。
どこで情報を仕入れるか、馬車の中で事前に議論をしていた。
主立った候補は7つだった。
1.冒険者ギルド
2.傭兵ギルド
3.貿易商ギルド
4.漁業ギルド
5.王国軍
6.執政官などの官吏、つまり役人
7.パブ等の盛り場
以上だ。
1.冒険者ギルド
もしこの世界が、平成の世に流行った「なろう」に出てくる様な世界ならば、冒険者ギルドへ出向き依頼するのが一番なのだろう。
だがこの世界は違う。
冒険者ギルドに大した権限や力は無く、所謂ならず者や無法者が所属しているだけらしい。
通り名を持つほどの著名な冒険者や魔物狩り専門の冒険者は、極めて少ないのだとか。
いわゆる売れっ子たちは大抵が専属契約済みで、新大陸に派遣されて行ったり、商業系ギルドに護衛として雇われていたりするのだそうだ。
故に現在、冒険者ギルドには残りカスしかおらず、行く価値がないのだとエミアスは説明してくれた。
(まぁ、冒険者組合ってMMORPGで殆ど見かけないんだよね。大抵は王国や国際機関の直営であったりするし)
しかし私はとっさに思い出した。
そして直ぐに自分の見解を一部修正する事となる。
(そういえばラグナ・サーガで、何処かのプレイヤーギルドが冒険者ギルドごっこをしていたなぁ。どこのサーバーだっけかな。あぁ、金で依頼を受ける討伐仲間も結構いたわ。思い出してきた)
2.傭兵ギルド
傭兵ギルドは主に、対人戦に長けた者達の集まりだそうだ。
中には魔物退治専門の傭兵もいるが、未知の脅威に対しては基本的に冒険者ギルドに丸投げするらしい。
王国軍でも言える事だそうだが、対人戦闘と対魔物戦闘では、知識も経験も装備もまるで別だという。
王国軍からの下請けもしているとの事で、今回は専門ではないが、ここの情報網が頼れそうだ。
それに、軍に依頼は出せないが、ここにならば依頼も出せる。
3.貿易商ギルド
ここがおそらく一番情報が早いであろう。
その分、成否を問う必要はある。
そして、実際に船を出して貰うならばここなのであろう。
お金次第で融通が利きそうだ。
4.漁業ギルド
会場の運航状況、保安状況は、地元の漁師達が一番詳しいであろう。
貿易商ギルドで船が手配できなかった時に、一応聞いてみようと思う。
聞くところによると漁師達海の男は、気が荒く、海軍の男達よりも容赦ないらしい。
魔物に襲われても、銛で追い返してしまう程なのだそうだ。
この街で漁師ギルドを敵にしたら生きていけないという。
おかげで、街の規模の割には犯罪組織の人間が極めて少なく、治安は良いのだという。
(そういえば、漁師の娘であるママが冗談半分で言ってたな。農耕民族が主体の日本人において、漁師は先祖代々の狩猟民族なのだと。あ、私って狩猟民族だったのか! 衝撃の事実が今……)
5.王国軍
軍事機密もあるだろうから、何処まで協力して貰えるかわからない。
ただ、王からの信書があるから、ゴリ押しも可能ではある。
ただし、海軍の軍艦など、既に配置の目的と場所が決まっていて、配備されている物を借りる訳にはいかない。
魔王軍に付け入る隙を与えてしまう事になりかねないからだ。
という訳で、今回は話を持ちかけには行かない。
時間も掛かるだろうし。
6.執政官などの官吏、つまり役人
おそらく、一番正確な情報を持っているであろう。
だが王国軍と同じ様な理由で、今回は却下だ。
ちなみに、ヴァノス周辺は王家の直轄領であり、執政官は王族の者だそうだ。
そのおかげで、王都フリードから巨大な一本の街道で貿易港ヴァノスまで繋がっている。
7.パブ等の盛り場、
情報は極めて曖昧だろう。
噂話程度に思っておく必要がある。
特に手間ではないので、夜に食事がてら行く事となった。
まとめると、2傭兵ギルド、3貿易商ギルド、4漁業ギルド、7盛り場、以上の四カ所を巡る。
この内、漁業ギルドだけは活動時間が深夜早朝から昼までであろうとの事で、翌朝に出向く事に決まった。
Cパートへ つづく




