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 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第四章 2節   <13話>
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<13話>  「Laudamus te, Benedicimus te, Adoramus te, Glorificamus te.」   =Aパート=


Laudamus te, Benedicimus te, Adoramus te, Glorificamus te.

褒め称え、感謝し、崇拝いたします、栄光あれ



風土、風習、文化、宗教、道徳が基となり、その上に法律がある。

時代によりそれらの基も変わる。

であるからして、法律もその時代に合ったものへと変えていく必要がある。


――かつて私の父が通っていた政経塾で習った事だそうだ。

こちらの世界でも、それは変わらないであろう。

風習が時に、法律を曲げる。

それはよくある事だ。

条例であれば、特例として除外規定を設けて穴をあけるのだ。


こちらの世界においても宗教は、その特例の最たるものであった。

それは聖母教の大司教であるエミアスと旅をして、ハッキリと分かった。


ところがこの世界には、それらを超越した存在がある。

それは先日会った主神、イリーナに憑いた邪神、魔王なども含めた魔神だ。

とても不思議な世界だ。

その様な世界を私は三人で旅していた。聖女イリーナ、大司教のエミアスと共に。


私たちはヴァーラス王国領内の街道を馬車で南下していたのだ。

馬車はフリードへ向かった時とは違い、屋根の付いた立派な物だ。

そして、その馬車を牽くのは馬ではなく、頭に角の生えた一角獣なのだ。

通常は馬が二頭か四頭で牽く。

だがこの一角獣は一頭だけで牽引しているのだ。

しかも街道ならば、知恵を持つ一角獣任せでかまわず、運転手が必要ない。

更には昼夜を問わず何日も走り続けたとしても全く疲れないのだ。

それも魔力の続く限り。


(あぁ、ユニコーンが牽く馬車に乗って旅だなんて。女の子の憧れの夢を叶えられました。この世界に来て良かったです)


「お姉様のそんな締まりのない顔を見るのは、久しぶりですね」

そう告げたのは、他でもないイリーナだ。


「え? 幻滅した?」

私はイリーナに聞いてみた。


イリーナはわざと声色を変えて、子どもの様な声で答える。

「いえ、しっかりと記憶に焼き付けておきましたッ!」


「はっ?」

私は思わず素っ気ない感じの声で言い放った。


「はい」

イリーナは何故か自信たっぷりの顔で答える。


「はいー?」

私はイリーナに、思わず聞き返す。


「はい」

イリーナは純粋に返事をした。


私は、ただの言葉遊びになってしまったこの案件を受け流す事とした。


≪リルは受け流しスキルが0.1上昇した≫


「(。´・ω・)ん? どゆこと?」



私たちの今後の予定では、王国領内を陸路で南下した後、船で東方へ進む。

それはキュリアと同じルートなのだそうだ。


具体的には王都フリードから、王国最大の貿易港ヴァノスへ向かっているのだ。

ヴァノスまでは座標換算でざっと800kmだ。

徒歩ならば2〜3週間は掛かる距離。

(日本ならば東京から広島までといったところか)

それをユニコーンは昼夜走り続け、1日半で走破したのだ。

ヴァノスはフリズスと同じく、街へ入る為の検問所などは存在しない。

街道と街と港、その全てが一体となっている様だ。


私たちはヴァノスの中心部まで馬車を進めた。

さすがにユニコーンの牽く馬車では目立ち過ぎるので、エミアスは視覚遮断魔術を応用した術でユニコーンの角の部分だけを隠した。

(器用なもんだ)


そして今はエミアスが屋根付きの運転席にて手綱を握っている。

もっとも、このユニコーンは念話テレパシーが使えるので手綱はカモフラージュだ。


通常、馬車は運転席が外にあり、一段高くなっている。

しかしこの馬車は、内部で運転席と後部座席が行き来できる様に出来ていたのだ。

どちらかと言えば駅馬車に近い構造だ。


私は馬車の窓を開け、街の様子を伺った。

街の中心部は港から距離があるのか、風向きの関係なのか、海の香りは殆どしていない。


また、辺りは三階建て以上の石畳と石とレンガで出来た建物が大通りに沿って並んでいた。


私たちは馬車を裏路地に停車させて降りる。

その後、辺りに人の姿がない事を確認する。

(ここなら問題なさそうだ)

私は、イリーナに合図を送った。

「お願い、ドラちゃん」


「はーい」

そう返事をするとイリーナは、馬車をユニコーンごと多次元収納へと仕舞った。


「なんて、便利なんだろう」

私は改めて感嘆した。

(そう言えばドラと言えば、ドラ○エは移動魔法を唱えると馬車も一緒に飛んで移動してたなぁ)


不思議に思っていたが、

父親曰く「昭和からの伝統」なのだそうだ。

(伝統ならば仕方がない。うんうん)



普通の旅人ならば荷を下ろす為、まず宿屋を探すところだが、あいにく手荷物は殆どない。

現地の街の住人と思われるのではないかという程、軽装なのだ。



Bパートへ つづく

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