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 異世界転移「GMコールは届きません!」   作者: すめらぎ
第I部 第四章 1節   <12話>
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<12話>  「邪神と主神と再会と」   =Gパート=


部屋で着替え、衣装をイリーナの多次元収納内へとしまう。

その後、私たちはルイダと共に、宿と隣接している酒場へ移動した。

それはルイダと一緒に逃げ延びた人狼族の娘、プルに会う為だった。


プルとの方が、ルイダよりもあっさりした再会になるのかと思っていた。

けろっとしていそうだと思ったからだ。でも実際は違っていた。

再会した時、プルはルイダ以上に号泣したのだ。

(そうかプルも辛かったんだね。そうそう、思い出したわ。そういえば、あの晩も四人で泣いたね……。あの時もプルは号泣していたっけね。ああ、そういえば酒臭かったな。くすッ。懐かしいなぁ)


再会の後、お酒と軽くつまみを食べながら、話に花を咲かせた。

日が暮れてから大分経った頃、部屋へと戻ってきた。


「わーい。お姉様と二人きりの夜は久しぶりです。寝ている間に、あんな事やこんな事を……」

無邪気にはしゃぐイリーナ。


「ちょっと、イリーナ。寝ている間にキスとか、絶対やめてよね!」


「あら、バレました?」

意味深な目付きで私を見つめてきた。


「ちょっとーー。冗談に聞こえない所が怖いわ」


夫婦?漫才をやっていたら、ノックの後ルイダが入ってきた。

なぜかモジモジしている。何か言いたいのであろう。


「どした? ルイダ」

私の方から声を掛けてみた。

するとルイダは小さな声で呟いた。

「ねえねえ、今日、一緒に寝ても良い?」


私はイリーナの方を見ずに即答した。

「もちろん大歓迎よ」


イリーナは私が即答した事に、少しがっかりした様だが、でもルイダと一緒に寝られる喜びが勝ったのか、直ぐに喜んでいた。


各々裸になり、お湯を絞ったタオルで身体を拭き、ネグリジェの様な寝間着に着替える。


私はクィーンサイズのベッドに一人。

イリーナはルイダと一緒のベッドに入った。



(イリーナとルイダ、同じベッドで大丈夫かな? 不健全聖女イリーナと。いやある意味それは健全な証なのか? お姉さんとしては複雑だわ)


いくつかランプの灯りを落とした薄暗い中、夜話やわが始まった。


ルイダからは、キュリアに出会った話を聞いた。

キュリアは「イリーナを護る」ってルイダに誓いを立ててくれたのだそうだ。


「八英雄キュリアにも会わねばならない」という思いが、私の中に積もった。


どういう人かとルイダに尋ねてみた。見た目とかをね。

「金髪ロングヘアの少女」と教えてくれた。


(でも、それってこの辺りにめちゃくちゃ多いんだよね……。魔力量から判断するか? でもそのクラスなら、絶対に魔力を垂れ流してないよね)


「イリーナの事を想ってくれて、ありがとうね、ルイダ。……ってもう寝てるのね。おやすみ、ルイダ。おやすみ、イリーナ」


「おやすみなさい。私のお姉様」


(ん?)




――翌日。

エミアスの手配により、迎賓館で王と謁見する事となった。

人目に付き過ぎるから、城内ではマズイのだそうだ。

イリーナが狙われている事を配慮しての事なのであろう。

狙われるのを未然に防ぐ、それは重要な事だ。

イリーナの為でもあり、この国を護る為でもある。

優秀な王なのであろう。

王は「また街中でドンパチやられたらかなわんから」などと言っていた。


王から国賓としての証に首飾りを貰うも、名前を彫るので受け渡しは明日になった。

羊皮紙でできた王の信書も貰った。

内容は要約すると「かの者王族と思い、惜しみなく協力せよ。特命である」だ。


これでエミアスの目的は果たしたのであろう。

その後、聖母教の総本山へ向かったとルイダから聞いていた、八英雄キュリアの現在の居場所を知らないか尋ねた。

王は想定されるルートをいくつか示してくれた。

私は、土地勘のあるエミアスにゆだねた。


そして王は「ブラギ」という名の大魔導師に会う事を勧めてきた。

キュリアの師であり、法術で居場所が判るかもしれないのだそうな。


その時だった。問題が起きたのだ。

おそらく「ブラギ」か「大魔導師」のどちらかの言葉に反応したのであろう。


そしてその反応をしたのは、イリーナの中の邪神だ。

その場に居た殆どの者は、邪神の負の魔力に溢れた力に当てられた。

王を護るはずの近衛兵ですら、ただその場に恐れおののく事しか出来ないでいた。


「魔力、だだ漏れ! ちょw 魔王軍にバレるっしょ」

私は思わず邪神の取り憑いているイリーナの身体に右手でツッコミ入れた。


  ベシッ


「ん? ああ、そうであったな。ワシとした事が……」

邪神は直ぐに引っ込み、普段のイリーナが戻ってきた。


王は、邪神とじゃれ合い、さらにツッコミ入れる私に驚愕した様子だ。

明らかに邪神にではなく、私に怯え震えていた。

私はその事に、もの凄く反省した。


そしてイリーナが邪神の代わりに謝罪した。

「驚かせてしまい、すみません。後でお説教をしておきます」


王は直ぐに否定した。

「いえいえ、邪神様にお説教など、お止め下さい」


イリーナは顎に人差し指を当て、首を傾げる。


王は言葉を続けた。

「さすがは聖女イリーナ様。あの様な邪神を百年もの間、封印されていたとは……。先々代の王である父から聞いてはおりましたが、これ程の邪神とは」


イリーナは王に軽く会釈をして応える。

「恐れ入ります」


王は私たちに、今晩は迎賓館に泊まる様に促した。

エミアスは一度、聖母教の御所に戻るとの事であった。

王の申し出を無下に断る理由もなかったので、了承した。

王子が案内をしてくれるとの事だ。

しばらくして、王子がやって来た。


「離宮まで、ご案内いたします」


「あ、金髪ロンゲのイケメン王子」

(まさか本当に王子様だったとは……)



Hパートへ つづく

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