<1話> 「GMのお仕事」 =Hパート=
バスタブ式の浴槽に赤く長い髪が浮かび、その髪を押し分ける様に胸が浮かび上がる。
少し身を起こすと、首筋から胸の谷間へと、お湯が流れていった。
「ああ。生き返る」
右足をひょいっとバスタブの縁に乗せた。
(ていうか、リアルでもそうだけれど、ゲーム内でも肩がこるんだよねー。そんなところまでシミュレートするなんて、ウチの開発の男たちは変態揃いだわ。男共は〝おっぱい〞〝おっぱい〞って。ほんと赤ちゃんなんだから!)
私は足を浴槽に戻し、脚を抱え、顔を少しお湯に浸した。
ブクブク ぶくぶく、 ぶくぶくぶく
水面で遊んでしまった。
(水がリアル過ぎるんだよね。もし仮想世界なら物理シミュレータが働き過ぎて違和感がある。水の処理はサーバーが2割でクライアント側が8割だったと思う。こんな処理させるのは、クライアント側の負担が大き過ぎて、かなり厳しいはず)
負担が大きいといえば、お風呂のお湯は、滑車を使って何回かに分けて運んできていたのだ。
(大変だね。ご苦労様)
それと、宿帳に名前を書く時に、本名をもじって
「Lily Walhalla」って名乗ろうと思ったのだけれど……。
安直かなって気がして、結局こっちにしました。
「Lilu Walhalla」
そうそう、自己紹介がまだでしたね!
私の名前は、坂神ゆり です。
もうこちらの世界では名乗ることはないかもしれないけれど……。
職業はみんなの知っている通りGM。
GMアバター名は「GM_ゆりっこ」です。
勤め先の会社は、フルダイブ型MMORPGRagna Sagaの開発をしているベンチャー企業「Walhalla」に務めています。
正真正銘、リアルもキャラも20代の乙女。
長い冒険にならない事を祈るけれど……、
皆さん、よろしくね!
2話へ つづく
お読みいただき、ありがとうございます。
初めての投稿小説となります。
2018年11月10日より連載開始し、一週間。
主人公リルと共に、時間の許す限り、
長く物語を続けていきたいと思います。
今後とも、宜しくお願い申し上げます。
リル & すめらぎ




