確かに流れていた日常の日々
「グレイ、聞きたいことがあるんだが?」
「どうしたんですか先生?その頭は、手遅れですよ、どうしようもありません」
「違うわっ!まだ私の頭はハゲてない!
それと、私が聞きたいのは、なぜ授業中に枕と布団を取り出しているのかについて聞いているんだ!!」
「なにを言っているんですか。[自分に正直に、周りに惑わされず生きていきなさい]と柄にもなく言ってドヤ顔していたのは先生ですよ」
「そこまで言った覚えはないし、ドヤ顔もしてない!」
「先生、今授業中ですよ。うるさくしないでください」
「お前がそれをいうのか…」
ここは、錬金と魔法が最も発達した島。
島の名は『クロークス』魔法師の名家、フラウ家と錬金術師の名家、ゼクス家が領地を共有して、お互いの研究をしていた。
グレイはその両家の間に生まれた子供だった。
「そんな性格だから、精霊もお前に魔紋をやらんのだ」
「それだと先生に魔紋があることがおかしいですよ」
「馬鹿野郎、俺ほどの綺麗な心の持ち主はおらん!」
「自分で言ってて恥ずかしくないんですか?」
先生は、青筋を浮かべ、無言でグレイに手の平を向けた。
その手の平には、黄色の緻密な紋があった。
「ミニ・アースショット」
先生の手の平から消しゴムくらいの大きさの土の塊ができ、グレイに向かって発射された。
ーーこの世界には、魔紋というものがある。
魔紋は、体のどこかに、いつの間にか現れる。
それは、精霊が送ってくれるものと言われている。
魔力は基本的に皆持っているが魔紋はそうではない、魔紋が無ければ魔法は使えない。
また、魔紋には属性があり、火、水、土、風、雷、光、闇前例に2つの魔紋を持つ者もいたーー
そして、グレイにはそれがなかった。
その結果、魔法師の母からは失望された。
しかし、グレイはあまり気にしなかった。それは、錬金術は、魔力と知識、技術があればできるからだった。
その分、父は優しく、錬金術について、おしえてくれていた。
また、学校には、先生がいて、楽しい日々を送っていた。
「あぐっ…」
グレイはおでこにクリティカルをもらいのけぞった。
「もうすぐ外も暗くなる、早く帰って寝ろ」
先生は笑いながら手を振り帰って行った。
グレイは、こんな日常が続くことを信じ、また、願っていた。
その日常が壊されるとは思ってもいなかった…