止まった島と青年の旅立ち
「あーー、寝すぎた…めっちゃ体怠い…」
青年は起きる→寝るのループを繰り返し、何度寝かわからない眠りからようやく覚めたのだった。
「とりあえず、起きるか…」
青年は、自分の出番をずっと待っていたスリッパをようやく履き、ベットから降りた。
青年は、身支度を整えてから、外に出た。
そこは相変わらず不変不動の景色だった。
青年はその景色を見て無意識に拳を握っていた事に気付き、自嘲気味に笑い、歩き出した。
止まった鳥、止まった水の流れ、止まった風、そして、止まってしまった人たち…
それらを通り抜けて青年は崩れる前は立派な塔だったであろう建物に入った。
中には、いろんな武器や道具が所狭しと並べられ、真ん中には大きな魔法陣があった。
武器や道具には、全て「グレイ・ゼクス」と刻まれていた。それがこの青年の名だった。
グレイは、シンプルなデザインの棚から魔法陣が手の甲の部分と手の平の部分に魔法陣が描かれている手袋と黒、白、紅と様々な色の手の平サイズの塊を取り出しポケットに入れ、手袋を着けた。
「いいかげん、この島の景色を見るのも疲れたな…
そろそろ出るか」
グレイは、そう言いながら、鞄を片手に、真ん中の魔法陣にたち、魔力をこめた。
その時のグレイの右目は元の金色から澄んだ灰色に変わっていた。