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勇者と仲間達

「とりあえず剣の使い方はわかるか?」

レントに聞かれて僕は正直に

「今まで触ったこともない」

と答えた僕にレントは少し呆れた表情をしながら木で出来た剣を渡してきた。

「まず何となくでいいからそこの木人に斬りかかって見せろ」

「わかりました」

僕は何度か剣の握り方を確認しつつ それっぽい構えをしてみたりしてる僕を見て更にレントが呆れたような表情を見せる。

レントは内心「こりゃダメだな・・・」って思っていた。

「では 斬りかかってみますね」

僕は木人に向かって全力で走り力一杯に横に斬りかかった。

そして稽古場に物凄い轟音が鳴り響いた。

そこにあったはずの木人は木端微塵に砕け散り ついでに僕の持っていた木製の剣は柄の部分だけを残し無くなっていた。

僕は何が起きたのかわからず口をあんぐりと開け振り返ってレントを見ると僕と同じ表情になっていた。

レントだけじゃない その場で稽古していた他の全員が同じような顔で唖然としていた。

少しの間沈黙が続いてレントが口を開いた。

「ゼド・・・お前誰が木人を粉砕しろと言った!」

「ごごご ごめんなさい・・・僕にも何が起きたのかわからないです・・・」

「破壊力もすごいが・・・瞬足もすごいな・・・木人に行くまで全く見えなかったぞ」

「そうなんですか? 僕は普通に走って移動したような感覚でしたけど・・・」

「とりあえず木人を使った練習はやめよう 木人全部粉砕されたら困るからな」

そう言ってレントは基本的な剣の構え方立ち回りの仕方を教えてくれた。


稽古を始めて3か月が経った。

全てにおいて呑み込みが早いとレントに褒められてた僕は既に剣の腕でレントを越えていた。

そしてレントは実戦を模した模擬戦を提案してきた。

レントは木剣を木槍に変えて僕と向き合って立っている。

「お兄ちゃん ゼド 頑張って~!」

両者を応援するリリの声援。

「いいか 先に一撃入れた方が勝ちだぞ」

「はい!頑張ります!」

模擬戦開始の合図である小さな鐘の音が鳴った。

鐘が鳴った瞬間レントの猛攻が始まる。

僕はその攻撃を防ぐので精一杯で反撃何て出来なかった。

さすが槍使いの証を持つ者だけあってレントの猛攻は普通は防げないらしい。

不意にお腹に痛みが走り僕は後ろに跳ね飛ばされた。

レントが蹴りを入れてきたのだ。

その時僕は実戦を模したと言う意味を理解した。

実戦ではルールなんてない。

手に持ってる武器だけが攻撃手段ではないのだ。

すぐに槍の間合いで猛攻を仕掛けてくるレントを見て僕はどうやれば剣の届く間合いに行けるか考えていた。

そして槍の間合いから少しでも近づこうとすると槍以外の攻撃を仕掛けようとしてる事に気付いた。

だから僕は一度後ろに引いて一気に前に攻めた。

僕の武器は瞬足。

一気に懐に入られたレントは成す術もなく僕の木剣で腹部に一撃を入れられた。

模擬戦終了の合図である鐘の音が響いた。

「お疲れ様!お兄ちゃんを倒すなんて流石勇者ゼドだね!」

「3ヶ月でこんなに強くなるなんて末恐ろしい奴だな」

レントが自分のお腹を摩りながら言った。

「いやレントの教え方が上手いからこんなに強くなれたんだ ありがとう」

そう言うとレントは少し照れたように微笑んで立ち去って行った。

「お兄ちゃん 感謝されたりすると照れ隠しであまり愛想良くないから気を悪くしないでね」



その日の稽古が終わり家に帰る道を歩いていたら道の真ん中に立っているローブを着た少女を見つけた。

すごく睨み付けるように僕を見てきていた。

僕はある程度少女から距離をとって目を合わせないように通り過ぎようとしたその時だった。

「ちょっとそこのあんた待ちなさい」

「えっ僕ですか?」

「そうよ てかあんた以外誰もいないでしょ」

「そうだね・・・」と答えると少女は睨み付けるように僕を見てくる。

「あんたがゼド・ファルバルク?」

「そうだけど・・・どちら様ですか?」

その質問に答えずに近づいてくる少女が突然僕の手を握りだした。

「えっ えっ なに?」

突然の事に動揺する僕を無視して少女は言った。

「どうやら本物の勇者みたいね あんたの勇者の証と私の魔導使いの証が反応して光っているわ」

少女に言われ勇者の証を見てみると赤く光を放っていた。

そして少女の魔導使いの証とやらも紫色に光っていた。

「どうして光ってるの?」

「あら 知らないの? 証を持つ者同士が直接触れ合えば証が反応して光るのよ」

「じゃあ君は大魔導士の力を受け継いだ人なの?」

「残念ながら私のは大魔導士の証じゃないの。魔導使いの証は大魔導士の補佐が主な役割よ」

「そうなんだ・・・そういや君の名前は?」

「自己紹介がまだだったわね 私はガネット・クロフォールドよ よろしくね」

「改めてゼド・ファルバルクです よろしくお願いします」

「私 明日からゼドと一緒に行動するから またね」と言って返事も聞かずに走って行ってしまった。


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