第22理論 想定外の事態
いったい彼女たちはどうしてこの非常時にあんなにはしゃげるのかと思う。宝玉の間に設置していた盗聴器から部屋でされている会話を聞いた感想がそれだった。
体調もほとんど問題無くなった僕は宝玉の間の周りに小型の探査ロボットをばら撒き誰かが近づいた時すぐに気づけるように準備をしていた。なのに肝心の彼女がこんな調子ではやる気が落ちてしまう。
後になってから思えば、ここでやる気が落ちたのが今回の不幸の原因だったのではないかなと感じるのだった。
1階と2階に探査ロボットを設置した僕は3階で同じように設置していた。ここもあと少し、というところで僕はもっとも会いたくない人たちに会ったのだった。
「お前、八幡じゃないか!」
「………やあ神崎君、それに屋原井君に東乃さん、明智さん」
うっとおしいほどの正義感を持つ男、神崎とその幼馴染たちとこんなところで会うのは予想外だった。しかしよく考えてみればフィーナの空間創造によって発せられるプレッシャーは裏切っていようがいまいが関係なく放置できないもののはず。だったら彼らが宝玉の間を目指したとしてもおかしいことではないのだろう。
しかしこのまま彼らに宝玉の間に行かせるのはあまりよくないと考えた僕は彼らを利用してそこらを巡回させようとしたのだがそれは失敗に終わることになるのだった。
「ねえ、神崎君たちはもしかして宝玉の間に行こうとしているのかな?」
「ん?それは分からないがこの威圧感のする場所に向かっているんだ」
「それは僕の仲間のせいでね。いまその仲間は裏切り者を捕らえるために頑張っているんだよ。で、僕はそれを邪魔されないように守らなきゃいけないから念のために君たちにも近づいてほしくはないんだよ」
神崎なら僕の言葉を、というか誰の言葉であっても疑うことなく信じるので今回も僕の言葉を信じて宝玉の間に向かうのをやめるはずだったのだ。
「いや、それはできない。俺はアイリスにこの威圧感を発しているのが敵の親玉で、そこへ向かうのを邪魔しようとする奴が裏切り者だって教えられている。まさかお前が裏切り者だったとはな」
「………え?」
予想外の言葉に思考が停止する。それを隙だと思ったのか神崎が剣を抜き僕に襲い掛かってきた。
これにより、僕は一時的にとはいえ勇者4人と戦うことになるのだった。そしてそれは宝玉の間の防衛が、僕が苦労して設置したロボットたちが、うまく利用できないということを示していたのだった。




