第20理論 迫る影
「もっと速く走れないのか雪!」
「無茶を言わないでくれよ!4人を抱えて走ってるんだからね!?文句があるなら自分で走ってくれよ」
「ごめんね、八幡君。私足遅くって」
「いえ、唯。あれから逃げるのは足が速くても無理でしょう」
「………zZZ」
「1人寝てる!?」
僕たちはフィーナに言われたまま王宮の中心、3階にある宝玉の間を目指していた。しかしそこへ向かう途中で黒い靄のようなものでおおわれた何かと遭遇し、そのまま追われ続けていた。
逃げている途中で拳銃やら携帯ミサイルやらを撃ち込んだのだが何の感触も得られないまま、無傷のまま僕らを追ってきた。
しかもそれは相当な速さで追いかけてくるため普通に走って逃げていればすぐに捕まってしまうため、僕はバウンドシューズ(反発力を高めることで加速させる靴)を再現し、それを履いてフィーナたち4人を何とか抱えて逃げていたのだがそれも10分ほど経つと苦しくなってきた。
全員分のバウンドシューズを再現して造れればいいのだがまだ体が本調子ではないので構造が複雑で多くの部品を必要とするものは造りにくくなっていたためそうもいかないのだった。
「雪、そこの階段を下っていけ!」
「了解!」
フィーナの指示に従い1階へと続く階段を降りる。そして途中にある踊り場を通ったところでまたフィーナが指示をだし、それに従ったのだった。
『ガガガガ!グギャガガガ!』
何かは僕たちを見失い、やがて踊り場から1階へと向かい移動するのを隠し部屋の中から確認した僕たちは安心の溜息を洩らしたのだった。
「はあ、よくこんな隠し部屋を知っていたね」
「クロナから聞いたことがあったのだ。まさか自分が使うことになるとは思ってもみなかったがな」
「それで、御2人はさきほどのアレに何か心当たりはありますか?さきほどはうまく撒けましたがまた遭遇した時に撒けるとは限りません」
「それが問題だよね。銃弾も火薬も効かなかったし、フィーナの魔法も通用していなかったよね?」
「うむ、おそらくあれはヴェイン付近に生息しているシャドウイーターだろう。死体に憑りつきより強い体を求めてさまよう魔物の一種だ。王国や聖国では確認されない魔物なので思い出すのに時間がかかってしまった」
「何か弱点はあるんですか?」
「あの黒い靄はシャドウイーターの魔法であれに触れたものは分解されると言われているが真偽は不明だ」
また厄介な力を持っている魔物がいたものだとと思いながら何かシャドウイーターに有効なものがあったかを考えてみる。本体は霊体のようで物理攻撃は効かないということも聞いたところで1つの作品を思い出し、それを再現しようと神経を集中させるのだった。




