第19理論 お手柄、王女様?
夢飼と話しながら色々と仕込んでいるとフィーナが穴から飛び降りてきた。それを受け止めると彼女は嬉しそうに笑いながら抱き付いてくるのだった。
「我は疲れたぞ雪」
「おつかれさまですお姫様。全員、命はあったかい?」
「うむ、怪我らしい怪我もなかったぞ。全員我の箱庭に隔離したうえで念のために拘束してある」
「主犯だと思われる魔人種の男は抵抗できないようにいろいろ仕込んだ、けど彼以外にも仲間はいるかもしれないし彼に従う勇者を止めなければいけない」
もともと戦いと縁のない彼らがこの状況でどう暴走するか分からないからできるだけ全員を無力化したいのだけどそううまくいくだろうか?せめて裏切っていないのがだれか分かれば協力を頼むのだけど。
「神崎と夕暮、それと八文字は裏切ってないと思う」
「………その根拠は?」
「神崎は性質的に、夕暮はクロナを気に入ってる。八文字は勘?」
「いや聞かれても………まあ信じてみようかな」
「何人か広間に向かってきてるよ?」
「そうか………っていつの間に降りて来たのさ?」
「結構前から降りてたよ?彼に首輪をつけるときも手伝ってたよ?」
「え、本当に?」
全然気づかなかった。田中のステルス性能が高まっているようで怖いな。
「すみません八幡君。私も飛び降りるので受け止めてもらえますか?」
「いいよー」
抱き上げていたフィーナを下して飛び降りてきた天木を受け止め、すぐに下ろす。天木は不満そうだったが気づかないふりをして夢飼に向き合う。
「誰が裏切っているかは分かっているのか?」
「分からない。広間にいた勇者はその男に散り散りに飛ばされたから。今回の騒動を起こす前にあらかじめ勧誘をしていたのかもしれない」
「まあぶっつけ本番で勧誘する必要もないしね。逆に考えるとこの男がどうにかできると思うほどの戦力は集まっているともいえるのかな」
「できればこの王宮から出す前に決着をつけたいのだがな」
「それは大丈夫。私が王宮から出れないように細工をしたから」
「それは本当か!?」
フィーナは夢飼の手を取りその真偽を確かめたのだがそれを気にすることなく夢飼は僕を見ている。
仕方なく僕が尋ねると彼女は頷きを返すのだった。
「いざというときのために王宮から出れなくする魂装具と誰も入ってこれなくする魂装具を仕込んでおいた。広間から飛ばされた後、どちらも起動しておいたから」
「とはいえ勇者なら魂装具のことを知らなくても壊すことができるかもしれないね。やはりここは積極的に攻めるべきか」
「いや、誰も王宮から出られないというのなら全員を捕まえる手段はある。手伝ってくれ」
「了解」
「いいよ」
「わかりました」
「………」
「ではまず王宮の中心部へと向かうぞ」
そうして僕たちは今回の騒動を終わらせるためにフィーナに従うのだった。




