第17理論 魔人種との遭遇
睡眠薬を多用するこの頃、あまりの便利さに手放せなくなりそうです。
「何を考えているんですか八幡君。それより広間の中にいる人は全員寝たかわかりますか?」
「ちょっと待ってね………魂を見た限りは寝ているみたいだね。ただ魂の反応も偽装することができるから念のために僕が先に入ってみるよ」
「頼むぞ雪」
「任せなさいって」
左手に拳銃をもってゆっくりと扉を開け中を窺う。見たところ全員寝ているようだが油断せずに静かに広間の中に入り、片っ端から睡眠弾を撃ち込もうとしたところで床から剣が現れ僕の足を斬ろうと襲い掛かる。
それを飛び退くことで避けることはできたが剣は再び床に波紋を残して消えていった。
「くそっ!床に潜り込める能力か!?魂も感知できないし、不意討ちで斬りかけられたら面倒だぞ!」
敵がフィーナ達に気付いているかは分からないので独り言を言う体を装っていまわかっている敵の力を伝える。これで彼女たちが不意討ちで殺される可能性は減らせると思うのだが油断はできない。
魂も熱源も振動も探知できない相手のようで僕の使える探知機ではどれも反応しない。次はどこから襲ってくるのかを待っていると再び足元から剣が現れ、それをさきほどのように避けようとしたところ………着地した場所からあらわれた雷に打たれたのだった。
「がアッ!?」
幸いなことに服の耐電性能のおかげで即死は免れたものの体を動かすことはできなくなる。そうして床に倒れこんだ僕に向かって剣がこちらに向かってくる。避けようにも体が動かないので覚悟を決めて………剣が目の前にまで迫った時に床を壊すことで敵諸共3階から2階へと落ちる。
そうしたところでようやく僕は敵の姿を見ることができたのだった。
「まさかこんなことをしてくるとはな」
そういうのは褐色の肌と2本の角を持つ魔人種の男だった。右手に剣を持ち、左手に杖を持つ姿から彼は魔法特化型ではないと思うのだがもしかすると剣は斬りあうために持っているのではなく、先ほどのように床に潜っているときに切り付けるために持っているだけかもしれない。
そして何よりの問題は僕の体が治らないということだ。体の状態を正常に戻す魔法薬を使ったのだが元に戻る気配はない。さっきの雷に治癒を妨害する性質があったのかもしれない。
「さて、先ほどは逃げられたが次はどうかな?」
「あ、う………が」
剣に雷が纏われ、その雷光は次第に大きくなっていく。なにやら高威力の攻撃が来そうなのに動かない体という絶体絶命のピンチ、それを助けてくれるのはやはり彼らだろう。
「!?………なんだお前たちは?」
「対象を排除します」
さあ頼むよ僕の造った機械人形たち。