第11理論 類は友を呼ぶクラスメイトたち
僕の力を隠すため馬車でクレスト聖国へ向かうことにした僕たち。しかし王族御用達の特別制馬車でも10日ほどかかってしまう。
そのためあと3時間で着くと言われてもそろそろ暇をつぶすのも限界なのだった。
「暇だ、暇すぎる。何かないのか?」
「そう言うフィーナが何かしてよ」
そう返すとフィーナは少し考える様子を見せ、すぐに質問してきた。
「これから会うことになる勇者たちの中で警戒するべき奴はいるのか教えてくれぬか?」
「警戒するべきやつね………結構いる、というか基本は誰であっても警戒するべきだと思うよ。僕のクラスメイトたちは捻くれてたり常識はずれだったりとまともな人が少ないからね。異世界に力を手に入れてやってきた彼ら彼女らがどう動くのかは僕にも読めないからね」
「類は友を呼ぶとはよく言ったものだな。まあ全員警戒するとしよう。それで、その中でも特に警戒するべき奴、もしくは特別面白いやつはいるのか?」
少し考えてみる。その結果、3人の人間が浮かび上がってきた。
「3人いるね。名前は敢えて教えないけど1人目は場に馴染む人だね。その人が紛れ込んできても違和感を覚えにくい、だから密会に紛れ込まれてるなんてこともあったりね。2人目は正義を理由に自分を正しくする奴。彼なら聖国の勇者として1番に名乗りを上げただろうね。そして3人目は」
「3人目は?」
「天に愛されているかのような人だね。文武両道、見た目も一級品。火の打ちどころをあえて探すのだとしたら完璧すぎることだっていう天才がいるんだよ」
「いくらなんでもそれは過大評価ではないか?」
フィーナは半信半疑といった様子だったが彼女に会えばわかるだろう。百聞は一見に如かず、僕がここでいくつもの言葉を尽くすよりも会わせる方が分かりやすい人間なのだ。
「まあ、3人目に関してはそこまで心配をしなくてもいいだろうさ。どんな力を手に入れていたとしても多くの知らない他人が傷つくようなことはしないだろうからさ」
「まるで知り合いならば傷つけると言っているようだな」
「その知り合いが彼女にとってどうでもいいと判断したならためらうことはないだろうね。彼女にとって怖いのは自分にとって大切になるかもしれない人間を自分の手で無くすことだからね」
自分に期待しない彼女は他人に期待する。まあ彼女のことはそろそろおいておくとして僕は聖国の首都アリアに着くまでの時間を寝て過ごすことにしたのだった。
フィーナのひざは寝やすくて気持ちよかったとだけ言っておく。