第1理論 始まりはPVから?
進んだ科学は魔法と変わらない
それが証明されたのは今から100年前。科学によって魂の存在が認められたことで一部の人類はそれが正しかったことを知った。魂の証明は一般には知らされず一部の人間だけが魂とそれに付随する力を独占するべく動き出した。
その結果、地球が壊れかけるという大惨事が起こったことで争うことをやめ魂について知る全ての人が協力しあうようになり、その成果として『魂理論書』が創られた。
主な内容は
魂とは生物に存在するエネルギーである
魂にはそれぞれ異なる性質が備わっており、それを使うことで科学的にはありえない現象を起こすことができる
魂は波長を生み出す。その波長自身が魂の何万分の1の力を有している
魂そのものを使ってはならない。我々人間が扱うのは魂の波長である。
『魂理論書』は新しく魂について研究できるようになった人には入門書として、すでにそれなりの研究成果を残せた人には書き込める報告書として使われる。
そして僕こと八幡雪も魂について研究している17歳の高校2年生。あふれんばかりの若さで魂の謎を解明しちゃうぞ!
「………ねえこれで本当にいいの?いや、そもそもの話として魂についてのPVを撮るっていうのも謎だけど最後のあれは必要だった?やった後に言うのもなんだけど見た人の気分を害すんじゃないかな?」
「大丈夫大丈夫!マニアは喜ぶんだよ。なんといっても若手の中では最も真面目な八幡君があれをやることで失笑、もとい笑いが取れるんだよ」
「今失笑って言ったよね!?しかも笑いを取りたいわけでもないしね!」
せっかくの夏休みにどうして僕がこんな仕事をしないといけないんだ。やっぱりバイト代の良さだけで判断しちゃあだめだな。
「まあ今ので僕の仕事は終わったんで帰らせてもらいますね。お疲れ様でした」
「ああ、お疲れ様。また仕事を頼むことになると思うけどその時はよろしくね」
「それは金額次第ですね」
そう言って僕は撮影現場から離れていった。
今日は夏休みなのだが実は登校日になっている。それを用事があるの一言で休んでしまったので休みが明けるのが怖かったりする。どうか忘れますようにと願ったりするけれどそれがかなえられることもないだろう。
しかしその願いはある意味叶うことになる。家まであと50メートルといったところで僕は突然光に包まれ、何がなんだかわからぬうちに地球上から消えたのだった。