7話 <晩餐会>
現実逃避のチロルとの戯れも佳境に入った所で部屋を誰かがノックした。
ん?思ったよりはやいな?
「はぁい」
「いきなりすみません、ゴロウ様」
「え!?」
あけるとそこにいたのはあの女王らしき女性だった。
「えっと...?」
やば、なんて呼べばいいんだ?
「あ、紹介がまだなんでしたっけ。わたしは、ディオン国王女のエリーザ・ディオンです。晩餐会で一通り紹介はあると思います」
「王女様ですか」
「エリーと親しい者は呼びます。どうぞエリーザとお呼びください。なんならエリーでもかまいませんが」
「いや、そんな、あの、エリーザ様...で」
「はい、ゴロウ様」
「ところで、なんの用事でしょう...?晩餐会はまだ...ですよね」
「ええ、ひとつゴロウ様に言いたいことがございまして」
なんだ...強制退去か...!?
「え、...っと、なんでしょうか...」
「申し訳ございません!!!」
「ええ?!」
いきなりエリーザ様は頭を下げた。
な、なんで!?
「こちらが無理やり呼び寄せたにもかかわらず酷い待遇をとらせてしまいました!お父様...ディオン王が役に立たぬから、と。このような処遇にしたようです...近々改善するよう説得いたします!!」
あー、そういうことか...エリーザ様は良心的だ。
「ありがとうございます、エリーザ様。気にしてませんので、謝らないでください」
「許していただけるのでしょうか」
「許すもなにも、エリーザ様がやったわけじゃないですからね。改善されるなら文句なしです」
「ありがとうございます...なるべく急ぎます!では!」
「あ、無理しなくてもっ...いい、のに」
走って行ってしまった。
まあ、ともかくよかった。
大丈夫ぶってたけどあのベットで寝るのはつらい。
あとホコリっぽいし...
まあ、改善されるまでは我慢だ。
もうしばらくはチロルと遊んだ。
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「ゴロウ様、晩餐会の準備ができました」
しばらくして、ドアの向こうから声がかかった。
あ、もうそんな時間か。
晩餐会といえば異世界の料理はどんなんなんだろうか...
あ、そういえばチロルのえさも頼まなきゃね。
ドアを開けて迎えの従者に言う。
あ、さっきのひとじゃないんだ。
「あの、犬の食べ物を用意してもらいたいのですが」
「では料理人に掛け合います」
「あ、助かります」
親切そうで助かった。
さっきの人なら断られかねないし。
さすがにチロルは連れて行けないので一応リード代わりの縄を首輪からベットにくくって部屋に待機してもらうことにした。
あぁチロルぅ、はやめに帰るからねぇ。
城内を案内されていくとこれまた豪華なシャンデリアなどが立ち並ぶ広間についた。
等間隔に白いテーブルが並んでいる。立ち食い形式らしい。
料理はあとからくるみたいでまだ皿しかない。
あ、透もきてる。
「おーい透ー」
「おっ、ゴロウおじいちゃん、よっ」
「うるさいな! ところで部屋どうだった?」
「ん?あー、やっぱベッドは向こうよりは固かったけどふつーにホテルってかんじ?」
やっぱ待遇がちがうんだな...
「お前はどうよ?」
こいつにばれたらきっとからかわれる。
それはうざい。
「あっ、うん、まあ、フツーかなフツー」
「ぷっ、どうせひでー部屋割り当てられたんだろ」
「ち、ちがっ」
「顔に出てんだよ顔に。あの王様もお前のステータス見てからちょっと不機嫌だったしな。」
「えー...追い出されないよね...」
「あからさまにすると勇者殿?の方々の心象にかかわるから大丈夫だろっ、まー元気だせよ、飯食え飯」
「まだ来てないよ...」
透にからかわれてるうちにかなりひとが増えてきた。
勇者一行の他に身分が高そうな人がちらほら、使用人か従者らしき人もちらほらって感じだ。
「メイドきたー デュフッ」
「あの執事絶対名前セバスチャンでござるよブフフッ」
オタク'sたちのテンションも最高潮だ、異世界きてからずっとあんなだけど。
あ、よく考えたらあれよりも僕は弱いんだな...凹む...
オーケストラみたいなのが来た。
小耳に挟んだ会話によるとそろそろ王様がくるみたいだ。
オーケストラの楽器が力強く鳴り響いて正面にある扉が開く。
演出が派手だなぁ。
王様と...エリーザ様がこちらに悠然とあるいて中央に歩み出てきた。
王様が発言するみたいだ。
「これより晩餐会を開く!みな楽しんでくれ!」
エリーザ様も歩み出る。
「勇者様方、ディオン王国の料理をお楽しみください」
挨拶が終わったようで料理が運ばれてきた。
あっちでも想像するようなパーティ料理が大半だけど、見たことない魚のムニエルやめちゃくちゃでかいオムレツとかある。
生態系が違うようだ。
モフモフの新境地を僕は開く!
ちなみに料理は基本大味な気もしたけど日本で肥えた舌でも十二分に美味しかった。
あらかた料理が片付くと、ちらほらと挨拶に来たりする人がいた。
どうやら貴族のかたがたらしい。
エリーザ様も勇者一人一人に自己紹介にまわっていた。
そしてしばらくして閉会の宣言があった。
貴族は僕のとこには一人もこなかった。
やっかい扱いが広まるのがはやいよ...
一人で部屋への道を歩いて帰る。
ときどき使用人とすれ違うんだけど目線が少し哀れみやら侮蔑が含まれてる気がして泣きそうになった。
部屋でお座りしていたチロルにもらった餌を食べさせた後存分に癒しを補充した。
つらい...
エリーザ様は作者のイメージではアナと雪の女王のエルサな感じです。