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ENCOUNTER  作者: 雑兵
4/7

Inferno

 つま先を地面にゆっくりと付け、足先に音を立てるような物がないことを確認する。その後ゆっくりとかかとを下し、足全体を地面につける。そしてもう片方の足を上げ、同じように地面をつま先で探る。

 これは静歩行法と呼ばれている技術で、音を立てることが許されない敵性地域内での移動や、偵察などで用いられる移動法だ。隠密接敵にも用いられる。ただ欠点もある。音をほとんど立てない反面、移動速度は遅く、体力をひどく消耗する。現にさっきからふくらはぎの筋肉が痙攣しかけているし、玉のような汗が顎を伝って地面に落ちていた。

 出発してからかれこれ一時間ほど、ずっとこの調子で歩きづめだ。静歩行法はDEEP ENCOUNTER内では必須の技術だったが、現実で使ったことは数度あるぐらいだ。前に試してみたときは面倒くさいうえに疲れるので、その後二度とやらなかったが(おまけに翌日は筋肉痛でひどい目にあった)

 今は見よう見まねでやってみてはいるものの、そこそこうまくいっていた。現に今のところ、歩いてもほとんど音が出ていない。徘徊するドローンにも何度か遭遇したが、影に身を潜めていれば気付かれることもなかった。

 体が熱い。特殊な歩き方をしているから、だけではない。風邪を引いたときのように、体の芯が熱っぽかった。のどの調子もあまり良くない、緊張と疲れのせいだろうか。なんでこんな肝心な時に、と焦りで唇をかむ。

 電力が来ていないためだろう、通路には非常灯しか点っておらず、数歩先も見えないほどの暗さだ。ただし、視界にワイヤーフレームで通路の形状が強調表示されているため、進行方向を見誤ることはない。建材に微小な通信機器が混ぜられており、それらがBMIに対して位置情報を送っているのだ。後は脳内でCGが合成され、視界に重なって見えるというからくりだ。

 壁沿いに息を殺しながら、角までゆっくりと歩く。そして角から顔を出し、異常がないことを確認してから、来た道を早足で戻る。

「いないみたい、行こう」

 暗がりに向けて呟く。三人が暗がりの中でうなずいた。

 自分が先行して偵察し、安全を確認してから三人を呼びに戻る――ずっとこの繰り返しだ。自分以外の三人は静歩行なんて技術は持ち合わせていないから、どうしても歩くときに音が出る。音に反応するドローンに見つからずに進むには、先に自分が安全を確認する必要があった。

 黙々と歩く。先頭に自分が立ち、左後ろに唯、その後ろに香織と浩太が並んで歩く格好だ。

 香織と浩太が何やら小声で話していた。本人たちは周りに聞かれないように話しているつもりなのだろうが、よくよく耳を澄ませばかすかに内容が聞き取れた。

「……ね、一つ聞いてもいい?」

「なんだよ」

「……武中くんはどうして、いつもそうなのかな、って」

 一瞬の沈黙。

「そう、ってなんだよ。ワケわかんねえ、はっきり言えよ」

 逡巡していたのだろうが、香織はやや間を置いてから再び口を開く。

「どうして……その、いつも不機嫌そうなんだろうって」

「はあ? 喧嘩売ってんのお前?」

 怒気をはらんだ声、背後の香織から怯えたような気配が感じられた。

 そして数秒ののち。

「だいたい、なんで俺が不機嫌なのをお前が気にするんだよ」

「それは――」

 言葉に詰まったかのように、香織が口をつぐむ。

「……私は、皆が仲がいい方がいいって、思うから」

 そこまで聞いたところで、傍らの唯から話しかけられていたことに気付く。

「――ね、聞いてるの?」

「ご、ごめん」

 慌てて意識を戻す。隣の唯は無視されたことにふて腐れているのか、わずかに頬を膨らませている。

「本当にごめん、聞いてなかった。それで、何?」

「駐車場まであとどれ位で着くの、って聞いたんだけど」

 唯は本当に真剣に聞いてるのか、と疑わしそうにジト目で睨んでくる。

「あと十分かそこいらだと思う。そんなに距離はないよ」

「そう」

 話は終わったというのに、まだ何か聞きたいことでもあるのだろうが、唯はためらいがちな視線を何度かこちらによこしていた。ひどく居心地が悪い。話しかけるか無視するか迷うが、思い切って問いただすことにする。このまま針のむしろのような状態が続くのは、精神的によくない。

「綾城さん」

「え?」

 まさか話しかけられるとは思っていなかったのだろうか、唯は肩をビクッと震わせてこちらに顔を向ける。その顔には驚きが貼り付いていた。

「何か、まだ聞きたいことでもあるの?」

 そんなに驚かなくても、と思う。

 ストレートに聞かれたからか、はたから見ていても面白いぐらいの慌てっぷりだった。唯は表情と顔色を目まぐるしく変え、あわあわと擬音さえ聞こえてきそうだった。

「……ごめんなさい、少しだけ、いい?」

 落ち着きを取り戻した唯が、上目づかいに言う。自分がうなずくと。

「その、藤宮くんは落ち着いてるなって。こんな状況なのに。それにその、どこでそんな技術を身に着けたんだろうって」

「そんな技術って」

「逃げるルートを選ぶ考え方とか、静かに歩く方法とか。あと、戦い方も」

 ああ、とようやく合点がいく。確かに普段の自分のイメージからは相当かけ離れた行動だったろう。あんな真似をすれば誰だって不審に思うはずだ。特にほとんど音を立てずに歩く自分を見て、唯と香織が目を丸くしていたのが思い出される。

「……言うのも恥ずかしいんだけど、ゲームで身に着いたんだよね、ああいうの」

 顔が熱くなる。自分のことを話すのは苦手だ。特にそれが女子相手ともなると。

「ゲームって」

「ネットゲーム。ほら、感覚を全没させるやつ。僕がやってたのは……仮想空間で戦争をするゲームだったんだ。銃を持って互いに撃ち合うようなのなんだけど」

 BMIのローカルメモリに保存していたゲームの画像やら記事やらを、唯のそれに向けて送信する。唯はあごに手を当てて、視線を宙にさまよわせていた。自分の話と送った情報を吟味しているのだろう。

「だから、今してることもゲームでやってたことを真似してるだけなんだ。現実で銃を持って、撃ったことなんて一度もないから」

 唯の顔がすぐ近くにあった。長い睫に大きな瞳、すっと伸びた鼻梁に、桜色の唇。整った顔を見ているうちに、なんだか悪いことをしているような気分になってきて、反射的に目をそらす。

「――話は分かったけど、でも」

 唯がためらいがちにこちらを見る。

「仮想空間での経験を、そう簡単に現実に持ち込めるものなの?」

 唯の疑いももっともだった。仮想空間での技能を現実で使うのは簡単ではない。仮想空間での経験を生かすには、やはり現実でも訓練が必要になるのだ。どんなに優れたソフトウェアであっても、そのソフトを動かすためのハードが性能不足なら、満足な結果が得られないのと同じだ。

「……まぐれだよ。体が運よく反応してくれただけだと思う」

 そう、運が良かっただけ。だからおそらく、次はない。

 ドローンに襲われた時のことを思い出し、背筋が寒くなる。あんなことがもう一度あれば、命はないのだ。

「……そう、なんだ」

 期待していた答えではなかったのか、意気消沈した様子で唯がうなだれる。

 きっと安心できる材料が欲しかったのだろうが、あいにく自分もそんなものは持ち合わせていなかった。嘘をついて安心させることもできたかもしれないが、そんな器用な真似は無理だった。

「あの、それと」

 そこまで言いかけて、唯が口ごもる。何か言いたいことでもあるのだろうか、何度か口を開きかけて、首を横に振った。

「……いい、何でもないの。ゴメン」

 再び無言で、暗い通路を歩き続ける。

 ふと、唯は自分のことをどう思っているのだろう? と考えて苦笑する。馬鹿な疑問だった。唯の態度や自分に向けた言葉を考えれば、嫌われているのは明らかだ。

 嫌われている理由は――色々思いつくが、一番ありえるのは、自分の情けない態度のせい、だろう。友達もろくにおらず、いつも一人。自分の意見も言えない、何もしようとしないその態度が気に食わなかったのでは、と思う。

 綾城唯という女子は、非常にプライドの高い人間だ。だが、そのプライドも根拠のないものではなく、自分に自信があるがゆえのものなのだろう。自分の知識や教養、見識をフル活用して、教師たちや大人と対等に渡り合う姿を見てきた身としては、そう思わざるを得ない。

 だからこそ、自分みたいな人間が嫌いなのだろう。自分から何もせず、何もできない人間が。

 悔しさと歯がゆさで、ぎり、と奥歯を噛みしめる。

 そうだよ、僕は君みたいにはなれない。君みたいに自分に自信なんて持てない。

 悶々としながらも歩き続けた。


  *   *   *


「着いた……?」

 一辺が三メートルはあるであろう、大型の防火扉の前に立っていた。壁の仮想標識からは、この奥が駐車場であることが読み取れた。

 壁のタッチパネルに手を這わせ、扉を開こうと試みる。しかし応答がない、BMIとの接続が確立できないのだ。電源が死んでいるか、機械的に故障しているのかは分からなかったが。

 結局、扉を手で開けなければならなかった。浩太と協力して扉を力の限り引いた。浩太は不平タラタラで「なんで俺がこんな事を」と愚痴っていたが。

 蝶番がきしみを上げて、重たい金属のドアが開く。

 まず視界に飛び込んできたのは、延々と並ぶ車列だった。床と壁は一面コンクリートで、天井までの高さは四メートルほどだ。また同時に、天井には様々なパイプがはい回っており、熱交換用のスチームパイプからは白い高温の蒸気が漏れ出ていた。

 きな臭いにおいが鼻をついた。ゴムが焼けたような胸の悪くなるにおいと、肉が焼けたようなそれが空気に混じっている。

 防火扉から頭を出し、周囲の様子を確認する。今のところは、動く影や唸り声などはない。ひとまずは安全そうだった。

「行こう」

 後ろの三人をうながし、扉から出る。前かがみの姿勢で背を低くし、車列の影に紛れるように、そろそろと静かに移動してゆく。後ろの三人には屈んだ姿勢で素早く動くのが負担になっているらしく、特に女子二人は息切れしているのが呼吸音で分かった。そのため、中途で何度か休憩をはさみながら進む。

 らせん状の通路を上に向かって登る。と同時に、先ほどから感じていた変なにおいも徐々に強くなってくる。どうやらこのきな臭いにおいは、上階から流れ込んできているようだ。

 五階層ほども上がっただろうか、肩で息をしながら登った先に見えたものは。

 横転し、あるいは無残に破壊された車が延々と横たわる、墓場だった。

 天井にはうっすらと煙が漂い、照明の光が霧中のようにぼやけている。その場にある車のほとんどが潰れているか、横転しているかのいずれかだ。

 原形を留めている車も、よく見れば大量の穴が穿たれていた。間違いなく、あの穴は弾痕だ。穴の縁が漏斗状に飛び出しているのがその証拠だった。

「なんなの……これ」

 香織が呆然とした様子で、駐車場の惨状を眺めている。他の二人も同様だ。

 この状況と、この場に漂う雰囲気には覚えがある。

 ここは戦場跡だ。煙にうっすらと混じる火薬のにおいと、壁に開いた弾痕、所々えぐれた床が、ここで大規模な戦闘があったことを物語っている。幾千回、幾万回も仮想の戦場で戦ってきた記憶が、自分の確信を裏付けていた。

 そういえば、登り口は?

 先ほど上ってきた坂のすぐ横に、さらに上に続く道があるはずだった。ここの通路は螺旋状になっており、各階層の入り口のすぐ横に出口がある構造になっているのだ。

 だが、そこまでだった。通路は分厚い金属の防護壁で、完全にふさがっていた。地下で火災が起こったために、自動で通路が閉鎖されたのか。

「……ここマジやべえよ。どうするんだよ、この先」

 血の気の引いた顔で、浩太がつぶやく。

「――今さら引き返せない、でしょ」

 唯が振り返る。その視線は、先ほどまで通ってきた通路の、吸い込まれそうな深淵に向けられていた。

「とりあえず、駐車場の反対側に行こう。そっちなら通れるかも。先に行って様子を見てくる」

 駐車場の各階層をつなぐ螺旋状の通路は、駐車場の両端に存在していた。通路は片方が登り専用で、もう片方が下り専用だ。今まで自分たちが通ってきたのは、標識からして登り専用の方だった。

「待って」

 唯に呼び止められる。

「その……今回はみんなで一緒に行った方がいいと思うの」

 どうして、と聞く前に気付いた。唯たち三人が、ひどく不安げな表情を浮かべているのを。浩太は極力表情を面に出さないようにしているらしかったが、そわそわしながら視線を左右に振っている。確かにこんな所で待たされるのは、誰だって嫌に決まっている。

「……分かった。でも、極力音は立てないで。話すのもなし。いい?」

 唯と香織がうなずいたのを確認して、歩きはじめる。駐車場の外縁沿いを時計回りに、車の影から影に飛び移るようにしながら、姿勢を低くして移動する。

 やがて、壁に寄りかかって座り込んでいる人影が目に入った。

「まさか、人?」

 後ろから唯の声。自動車の影に隠れながら、件の人影の様子をうかがう。

「待ってて」

 言い残して、車の影から出る。ゆっくり、いつでも飛び退けるように全身の筋肉をリラックスさせながら、徐々に人影に近づく。

 人影の正体を知った瞬間、腹の底に鉛の重しがのしかかってきたかのような感覚に襲われた。言葉もなく、その場に立ちすくむ。

「藤宮くん?」

 三人が近づいてくる。唯が人影の目の前に立ち、「ひっ」と小さく声を漏らした。

 人影の正体は、外骨格スーツを着た兵士の死体だった。

 兵士の全身に装着された装甲が、あばたのように凹んでいた。大量の小口径弾を浴びたためだろう、装甲がクレーターのようになり、ひしゃげている。外骨格の装甲は対人用の弾を防ぐことができるが、こうなっていては装甲も用をなさなかっただろう。弾こそ貫通こそしていないものの、全身を巨大な鉄槌でタコ殴りにされたのと同じだからだ。

 胴体は辛うじて原形を留めてはいたが、四肢は見る影もなかった。割れた装甲の隙間からは、赤い血がじくじくと滴り落ちている。

 恐らくは国防陸軍の特殊部隊。地下の偵察を命じられてきた斥候に違いなかった。

 現代の先進国では陸軍も無人化が進み、人間の兵士はその数を大きく減らしていた。歩兵の大部分も無人化され、人間の兵士の代替としてヒューマノイド型のロボット――いわゆるドローンだ――による無人兵士が、歩兵部隊の主力となっている。また、非人間型の無人兵器も数多く配備されていた。その証拠に、周囲には無人兵器とおぼしき残骸もあった。軍用バギーに似たフォルムを持ち、タレットに重火器を搭載した対人用の自律兵器だ。

 そして、数少ない残りの人間の歩兵もまた、何らかの外科処置を受け、サイボーグ化された強化兵ばかりだ。現代の戦場は、生身の人間が生き残れるほど生易しくはないのだ。

 でも、と思う。この死体はおかしい。見れば全身に銃弾を浴びたようだが――そもそもドローンは銃火器を装備していない。すると別の何かにやられたのか。

 そこで、周囲に散らばる無人兵器の骸に目をやる。まさか――無人兵器もハッキングを受けたのか? それで同士討ちになった?

 どっちにせよ、もし銃火器を使うような相手に出会ったら。

 そこで、唯の様子がおかしいことに気付いた。

 唯が目の前の死体を凝視していた。白くなった顔で口元に手を当て、その場に硬直している。

「綾城さん?」

 唯は口元に手を当てたまま、顔をうつ向かせる。

「だ、大丈夫。大丈夫だから」

 何が大丈夫なのか分からないが、唯はずっと「大丈夫」と繰り返し続けている。その怯えように、かける言葉すら見つからない。

 視界の隅に人影が引っかかる、香織だった。体が左右に揺れており、表情もどことなくうつろだ。

「香織?」

「ん……ごめん、ちょっと疲れたかも」

 頼りなげに笑う。だがその顔色は良くない。死体を見たせいか、または極度の緊張と疲労のせいか、具合がひどく悪そうだ。

「藤宮くん、香織を休ませないと」

 唯が訴える、だが。

「悪いけど……ここには留まらない方がいいと思う」

「だけど」

「この兵士の死に方は普通じゃない。この場所だって、大きな戦闘があったのは間違いないんだ。ここをすぐに離れないと」

 唯は反駁しかけたように眉根を寄せるが、やがて不承不承といった感じでうなずいた。

 香織は唯に肩を支えられるようにして、おぼつかない足取りで歩き始める。後ろに面白くなさそうな様子の浩太が続く。自分は先頭だ。

 五十メートルほども進むと車列の切れ目に出た。眼前の視界が開ける。

 いくつもの車が破壊され、周囲に残骸が散乱していた。残骸は焼け焦げ、残り火が周囲を照らし出している。そしてそれらの中に、ひときわ目を引く車が一つ。

 軍用のトラックだ、それも複数。暗緑色で塗装されたトラックのうちの一つは、後部に大型のコンテナをけん引していた。コンテナの上半分は吹き飛ばされたかのように、跡形もなかった。

 コンテナの壁は外側にめくれるようにして、無残な断面を晒していた。穴の縁が外側に反るということは、内部からとんでもない圧力がかかったのだろう。

 コンテナの中には滅茶苦茶に破壊されて、原形を留めていない機械や金属の塊が転がっている。何かを運搬していたのだろうか?

 他の無事な軍用トラックのうちの一つ、それに近づく。後ろで唯が何やら言っていたような気がするが、それも耳に入っていない。もしかしたら、という期待感と焦りが、心臓を高鳴らせる。

 トラックの後ろに回り、荷台によじ登る。

 あった。荷台の一番奥に、装備品の保管ラックが備え付けられていた。そのラックには、まだ使用されていない銃器やボディーアーマーが固定されていた。弾薬もある。

 ラックに駆け寄って、アサルトライフルの一つを手に取った。人間工学を応用して作られたグリップが手になじむ。これは国防陸軍で制式採用されている対人用の武器だ。サイボーグ向けの代物ではないので、生身の人間にも撃てる。

 銃を点検する。薬室にゴミが入っていないか、銃身が曲がっていないか、銃本体に破損がないかを調べる。点検を進めるうちに、既視感を覚えた。現実では一度もこの銃を触ったことなどないはずなのに、ずっと使い慣れていたような、そんな感じがしたのだ。

 アサルトライフルを肩付けで構えると、銃身の上の中空に映像が浮かび上がる。着弾点を示すレティクルや、銃に装てんされている残りの弾数などが表示されていた。これは網膜投影型の光学照準器で、レーザー光を目に照射して映像を出力する。もちろん原始的な機械式照準器もあったが、これを使うのは最後の手段だ。

 ラックに備え付けられていた軽量型のベスト状ボディーアーマーを三着、トラックの中を見上げていた唯に向けて放り投げる。

「それを着て。身を守れるから」

 ボディーアーマーを受け取った唯は困惑顔ながらも、こちらを見てうなずいた。このアーマーは非常に軽く、重さは数キロしかない。生地も薄く、文字通り普段着のように着ることができる。ただし軽いといっても防御力が無いわけではなく、二~三発までなら対人用のライフル弾をストップしてくれる。高度なナノテクノロジーを応用した防弾繊維とポリマー層が編み込まれているのだ。防刃・耐衝撃機能もある。

 外の三人がアーマーを着ている間に、トラックの中の装備品を物色する。両肘・両膝を保護するパッド、金属をバターのように切断できる高周波コンバットナイフ、特殊部隊向けにフルオート機能が付いた機関拳銃、破片手榴弾に電離手榴弾、各種装備品を取り付けられるハーネス、等々。

 それらを次々に身に着けてゆく。着用するのも手慣れたものだ。アーマーを着た上にハーネスをつけ、右肩の鞘にナイフ、右腿のホルスターに拳銃をおさめる。両肘と両膝には保護パッドを着け、ベルトをきつく締める。胸と腰のポーチに手榴弾と予備弾倉をしまい、腰の後ろのポーチには医療品を入れる。

 戦闘糧食のパックや飲料水のボトルもあったので、床にあったナップザックを取って放り込む。後は弾薬の入った紙箱も幾つか。

 斧はここに置いていくことにした。さすがに重いしかさばる、体力の消耗はなるべく避けたい。

「これもお願い」

 荷物を入れ終わったザックを先ほどのように放り投げ、自分もトラックの荷台から飛び降りた。

 全身を点検する。学生服の上から装備を着けるというのは何とも妙だったが、今は仕方がない。両手に戦闘用グローブをはめ、手を握って馴染ませる。

 アサルトライフルに付いている負い紐を体に回す。そしてライフルに弾倉を叩き込み、コッキングレバーを引いた。小気味いい音とともに、弾が薬室に送り込まれるのが分かった。

 そこで三人がこちらを見ているのに気づいた。呆然としたような、唖然としたような、そんな表情だ。唯は呆けたように口を開けっ放しにしているし、香織は「わぁ、何かカッコいいね」などと呟いていた。浩太も驚いたように目を見開いていたが、すぐに渋い顔に変わる。

 頬が熱くなる。いつもゲームでやっているような調子で一連の動作をこなしたのだが、まずかっただろうか? 他の三人にはどう見えただろう。

「これを」

 浩太にトラックに積まれていた予備のアサルトライフルを渡す。弾倉も一緒だ。浩太は何とも危なっかしい手つきでそれを受け取る。

「使い方は銃のICタグに書いてあるから。撃たないときは引き金から指を離して、下手すると暴発する。あと、人に向けて撃たないで」

 最近の工業製品とか道具といったものには、たいていICタグが埋め込まれていた。それらには製造時のシリアルナンバーやら、説明書が記録されている。ICタグの中身は、指で触れればBMIで読み取ることができる。

「う、うっせーな、分かってるよ」

 そうは言うものの、やはり動きがぎこちない。不安だが、今はじっくり使い方を教えている時間もない。

「綾城さん、これを持って」

 唯にも拳銃を手渡す。体格が小さくて体重も軽く、訓練も受けていない女の子にはアサルトライフルは扱えない、そう考えて拳銃を選んだのだ。

「わ、私銃なんて」

「万が一のときの護身用だよ」

 唯の手に拳銃を無理やり握らせる。

「引き金は軽く引き絞る感じで、強く引いたらダメ。撃つ時は両手でグリップを握りこんで、反動を抑えて。照準は目に映ってるマークを」

 唯に拳銃の扱い方を教える。全くの素人にとって拳銃は実に扱いにくい武器だが、それでも丸腰よりはずっといい。

「――弾が切れたらスライドが開きっぱなしになるから、弾倉を交換してからこのストッパーを押し下げて、いい?」

 一通り説明し終わると、唯は青い顔でコクコクとうなずいた。銃を手にしてひどく緊張しているらしく、指が小刻みに震えていた。

「いざというときは、それで――」

 そこで、異音が耳に飛び込んでくる。方向は四方の天井から。ダクトからドローンが出てきたときと同じ音だ。だが、今度のは前とは違っていた。

 多い、尋常な数ではなかった。音の大きさもさることながら、ダクトの中を這いまわるような音が多数。こちらに近づいてくる。

 手のひらがじっとりと汗をかき、口の中がカラカラに乾いていた。音が多すぎて方向を特定できない。いや、これは方向が特定できないというよりはむしろ、全方位から異音が聞こえていた。

 アサルトライフルを肩付けに構え、銃身から垂直に伸びたグリップを握った。銃身の上に照準が浮かび上がる。

 どこからだ?

 左右に目を走らせる。唯たち三人は蛇に睨まれた小動物のようにすくみ上っていた。唯は香織を守るようにしてその体を抱き、浩太は冷や汗をかきながら前後左右に顔を向けていた。そこで、浩太の持つライフルの安全装置がかかったままなのに気付く。

 浩太にそのことを伝えようとした瞬間、

 全方位のダクトの底面が、抜けた。

 一斉、同時に床に降り立つドローンたち。その数、軽く見積もっても五体以上。全身の人工皮膚がズル剥けになり、内部の人工筋組織がむき出しになっている。姿形も様々で、両腕を蛇のように長く伸ばしたもの、シオマネキのように片腕だけが膨れ上がったもの、両足が奇形のようにねじくれ曲がったものまでいた。

 それらのドローンは間髪入れずに体を屈め、こちらに飛び掛かってくる。

 ありえないタイミングだった。暴走していて秩序だった行動などできないはずのドローンが? 一斉に?

 考えている暇はない。

「逃げろ!」

 だが、唯はどちらに逃げればよいのか分からないらしく、その場に硬直していた。

「駐車場の出口! 下り道路のある方角に! 急いで!」

 唯に怒鳴りつける。四人そろって駆け出す。

 駆け出した方向にドローン、猛然とこちらに迫ってくる。

 迂回するか? ダメだ。周囲を囲まれてしまっている。逃げ場なんてない。

 突破するしかない。

 アサルトライフルの照準をドローンに向ける。敵との相対距離はおよそ二十メートル、距離がどんどん縮まってゆく。

 本当に、僕に撃てるのか? 撃って当てられるのか? 現実では銃なんてろくに撃ったこともないのに? さっき拳銃が命中したのだって、まぐれ当たりなのかもしれないのに?

 ドローンが目と鼻の先に迫る。筋肉で膨れ上がった腕を振り上げ、こちらの脳天に降り下ろそうと――。

 引き金を引いた。

 銃口から吹き出した銃火が視界をおおう。弾が射出されるたびに、肩口に蹴られたような反動がのしかかる。

 銃の扱い方を思い出せ。一瞬先の銃の挙動を予測し、重心の位置と銃の癖から銃口の跳ね上がりを把握しろ。リコイルコントロールで反動を殺せ。重力と風向を考慮して、弾丸の軌道を完璧に制御しろ。

 人間にはそんなことはできない? いいや、できる。架空の戦場で重ねた膨大な経験と、体に染みついたパターンが、それを可能とする。

 引き金を引きっぱなしにしで、フルオートでライフルを撃ち続けた。針を穿つような精度でドローンの胴体に弾丸が次々命中する。ドローンは着弾の衝撃でバランスを崩し、もんどりうって倒れた。

 ガキッ、という音とともにライフルから弾が出なくなる。弾切れだ。すかさず左手で弾倉をつかんで引き抜き、放り捨てる。続いて胸のポーチから予備弾倉を取り出し、流れるような動作でライフルに叩き込み、銃の横についたボタンを押した。弾切れで固定されていた撃発ボルトが固定を解除され、薬室に弾を送り込む。

 地面に倒れたドローンを横目に駆け抜ける。ドローンは機能停止しておらず、地面の上で狂ったように暴れていた。あれだけ弾を叩き込んだのに、頑丈すぎる。

 背後からドローンが近づいているのが足音で分かった。肩越しに振り向くと、数体のドローンがこちらに追いついていた。丸太のような腕が、横殴りで唯に襲い掛かる。

 ライフルを撃つ、ドローンの頭部に弾丸が命中。視界を失ったためか、ドローンの腕の軌道がそれる。それは唯の髪を数本切り飛ばし、そばのコンクリート柱にめり込んだ。ドローンの腕がコンクリートに深々と突き刺さり、破片が舞う。

 ドローンの脚部に集中して弾を撃ち込む。人工筋肉がはじけ飛び、セラミックス製の骨格が折れる。ドローンはコンクリート柱から腕で垂れ下がる形になり、無茶苦茶に暴れ回り始めた。

 心臓が爆発しそうだ。恐怖と焦りで視界がかすむ。早く逃げないと、その言葉がグルグル頭の中を回っている。

 床に目をやると、唯が尻餅をつき、へたり込んでいた。その顔は先ほど自分に襲い掛かった、ドローンの残骸に向けられていた。

「綾城さん! 早く!」

「――あ」

 唯の手を取って引っ張ると、少女は惚けたようにこちらを見た。自分に何が起こっているのかも分からず、我を失っているようだった。

 唯を無理矢理立ち上がらせる。横を振り向くと、もう一体のドローンがすぐそばに近づいていた。

 ライフルを肩越しに持ち上げて撃つ。無理な姿勢で射撃したためか、銃身が天井まで跳ね上がる。数発の弾がドローンの脚に命中した、バランスを崩して倒れる。ドローンはこちらに走ってきた勢いもそのままに、地面を転がってゆく。

 ――弾が。

 ライフルの弾倉が空になる。目の前には迫る二体のドローン、再装填している暇はない。

 迷わずライフルから手を放し、腿のホルスターに手を伸ばした。機関拳銃を引き抜いて構え、撃つ。

 凄まじい振動が腕に伝わる、両腕で保持していても、反動で銃をもっていかれそうだ。その反動を、銃を下に引き続けることで何とか殺す。拳銃弾がドローンの顔、腕、胴にめり込み、赤い体液が飛び散った。

 一弾倉分をフルに叩き込んでようやくドローンが倒れる。が、その後ろからさらにもう一体のドローンが。

 アサルトライフルも、機関拳銃も弾切れだ。どうすれば。

 ――肩にナイフがある。

 これを使うのか? 絶対に無理だ。リーチの長い斧でさえあれほど苦戦したんだ。こんなナイフで勝てるわけが、くそっ。

 選択の余地はなかった。弾の切れた機関拳銃を投げ捨て、肩口の鞘からコンバットナイフを引き抜く。親指で柄のスイッチを押すと、ナイフが高周波でぶれ始めた。

 ドローンが飛び掛かってくる、避けられない。体当たりを受け、抱きつかれるようにして地面に倒れる。

 皮膚が剥げ、筋肉と眼球がむき出しになったドローンの顔が間近に見えた。背筋を悪寒が走る。

 ドローンが肩に食らいついてきた。激痛が走り、ミチミチと肉を裂く音が耳に入る。

「ぐ、うわぁぁぁっ!」

 高周波ナイフをドローンの首にあてがい、力任せに引いた。ナイフの刃が一気に抜け、ドローンの首が落ちる。同時に力の限り、ドローンの体を蹴り上げる。

 ハアハアと激しくあえぐ。心臓が口から飛び出しそうだ。あと一瞬遅れていたら、肩の肉をごっそり食いちぎられていただろう。

 体を起こし、周囲を確認する。ドローンは軒並み破壊されたか、床に転がっていた。襲いかかってきそうな相手は、今のところは見えない。

 そこで浩太と目が合った。浩太は香織に肩を貸して、その体を支えている。香織はひどく苦しそうだった。顔が赤く、浅く小さい息を繰り返している。立っているのもやっと、という感じだ。

 そして浩太は――信じられないものを見た、といった顔でこちらを見ていた。名状しがたいものを見たような、そんな表情だ。その目には――怯えと猜疑が含まれているように、思えた。

 何でそんな目で僕を見るんだ。

 たまらず浩太から視線を外し、肩口に手をやる。するとぬちゃり、と嫌な感触が指に広がった。思わず苦痛でうめいてしまう。手を戻してみると、血が付いていた。学生服が破れ、下の素肌がむき出しになっていた。皮膚がえぐれているらしい、出血していた。

 仮想視界にバイタルモニターを呼び出す。全身の模式図が描かれたグラフィックが表示された。こいつは医療用ナノマシンのモニター画面だ。体のコンディションを視覚化して確認できる。全身の模式図の、右肩の部分が赤く表示されていた。同時に少し出血している旨の警告文が出る。

 すぐにでも傷の手当てをしたい。だが、それ以上にすぐにでもここを離れたかった。

「綾城さん」

 その場に突っ立ったままの唯に話しかける。

「……綾城さん? 聞いてる?」

 唯の視線は焦点を結んでおらず、宙をさまよっていたが、やがてこちらの呼びかけに気付いたのか、はっ、と息を呑む音がした。

「ご、ごめんなさい……藤宮くん、その肩」

 唯はこちらを見るなり、口元を手でおさえる。

「見た目ほど……深い傷じゃないから。それよりも、ここを早く離れよう」

 地面に転がっていた機関拳銃を拾い上げ、弾倉を交換する。拳銃をホルスターに入れた後は、負い紐で肩からぶら下がっていたアサルトライフルにも弾を込めた。その最中にも、肩の激痛で思わずうめいてしまう。

「見た目ほどって……」

「本当に大丈夫だから」

 議論している暇はなかった。なおもしつこく食い下がろうとする唯の言葉をさえぎる。唯は不服そうに眉根を寄せていたが、やがて目を伏せて大人しくなった。

 唯は香織のそばに寄り、友人の顔を心配そうに覗き込んでいた。対する香織の様子は、あきらかに病人のそれだ。熱と疲労がたまっているのだろう、立っているのも辛そうだ。

 唯が飲料水のボトルでハンカチを湿らせ、友人の額に当てる。

 だけど、進まないと。

「綾城さん、行こう」

 振り向いた唯はためらいがちにうなずいた。体調の悪い友人を休ませたいのは山々だが、ここにいても危険だ――そう判断したのだろう。

 再び歩き始める。車の間を抜け、床に落ちた破片を踏み砕き、転がる死体を踏まないように避けて。

 そうしてたどり着いた先には。

 巨大な鉄扉が待ち構えていた。

 地上へと抜ける通路、それが分厚い防護扉で塞がれていた。ガス爆発や火災、崩落にも耐えられる特殊鋼製の扉が、一筋の隙間もなくぴたりと閉じられていた。

「そんな……」

 唯の絶望に染まった声、浩太も呆然と目の前の扉を凝視している。

 どうして――どうして扉が閉まっている? ありえない、だって、なら、ここに来ていた兵士や軍の車両は、どうやってここまで降りてきたんだ?

 ガン、と金属音が響く。見れば、浩太が金属製の扉を思いっきり蹴っていた。無論、その程度の衝撃では防護扉はビクともしない。

 浩太がこちらを睨んでいた。苛立ちと憎悪のこもった視線だ。

「これはどういうことなんだよ」

「どういうって……」

「ここまで来れば上に出られるんじゃなかったのかよ!」

 自分にだって分からなかった、どうして扉が閉まっているかなんて。確かに国防軍の部隊はここまで来ているのに。

「お前の言葉を信じたせいでこのザマだ」

 言い返せなかった。確かにここまでの脱出ルートを提案したのは自分だ。

「オイ、なんとか言えよ」

 浩太が再び扉を足蹴にする。

「何とか言えっつってんだろうが!」

 怒声を張り上げる浩太に、何も言えないまま立ちつくす。

「もう、やめて!」

 突然、横から割って入った声に振り向く。

 声の主は唯だった。目尻にうっすらと光っているのは涙――だろうか?

「藤宮君が……戦ってくれなかったら、私たちはみんな死んでた」

 強烈な一言だった。その言葉だけで、さきほどまでわめいていた浩太も口をつぐむ。

 ここまで感情的になった唯を見るのは初めてだった。そしてその彼女が、自分の味方に回ってくれているらしいということも。

 無言で対峙する二人。香織は近くの壁に手をつき、朦朧とした様子で、辛うじて体を支えていた。

 香織に手を貸そうと一歩踏み出したとき。

 ある異常に気づく。

 薄暗がりでひどく視界が悪かったが――スクラップと化した車の後ろから、巨大な影が床に伸びていた。

 既視感に襲われ、同時に悪寒が背筋を駆け上がる。

 そこからの自分の行動は反射的だった。唯と浩太、香織に飛びかかり、巻き込む形で床に引き倒す。

 耳を聾するようなすさまじい音が駐車場に響き渡った。獣の唸り声のような重低音が鳴り、車が火花を散らして穴だらけになる。ボンネットが弾け飛び、タイヤから空気が抜ける。バッテリーを直撃したのか、車体が小爆発を起こして宙に浮き上がる。

「早く柱の影に!」

 三人に向けて叫ぶ。唯たちは状況がつかめず戸惑っている様子だったが、こちらの声に従ってコンクリートの柱の影に駆け込む。自分も唯たちに続こうとするが、かすかなモーター音を聞き、即座に後ろに飛び退いた。直後、さっきまでいた場所の床が砕け、えぐれる。

 転がる勢いもそのままに、車の一つにぶち当たった。息が詰まるのをこらえて、車体そばの床に伏せる。

 間違いなく銃で撃たれている。それも恐らくは、車載型の重火器による攻撃だ。獣の唸り声のような重低音は、連続した射撃によるものだろう。

 再び射撃音。盾にしていた自動車の車体に大量の穴が穿たれる。横に飛び出して銃弾から逃れようとするが、火線がこちらを執拗に追跡してくる。

 高速で飛来してくるライフル弾は、乗用車の車体など易々と貫通する。こちらの姿は車にさえぎられて見えていないはずだったが、相手の射撃は精確だった。今の自分は、勘と経験でかろうじて相手の射撃を避けていた。幾千、幾万時間もの仮想戦場での経験から導き出される未来予測が、自分の命をかろうじてつなぎ止めていた。だが、それもいつまで続くか。一回でも予測し損なえば、死ぬ。

 横転した軍用装甲車の側に駆け寄り、身を屈めた。銃弾を受けて車体に激しく火花が飛び散り、細かい金属片が無茶苦茶に飛び回る。

 死にたくない。

 歯の根がかみ合わない、小便を漏らしそうだった。車の陰の一歩外では、死の嵐が荒れ狂っている。一発でも受ければ、生身の人間なら即死する鉛玉の雨だ。これほどの連続した射撃の前では、ボディーアーマーなぞ役に立たない。

 嫌だ、死にたくない。こんな所でこんな惨めな思いのまま、死ぬなんて嫌だ。

 でもどうすれば。射撃音から相手のいる方向は分かるが、首を出して覗き込むこともできない。首を出した瞬間に、頭を飛ばされて即死するだろう。

 胸元にはポーチに収まった電離手榴弾がある。大容量コンデンサとイオン発生器が組み合わさったこいつは、周囲に導電性のイオンを放出して、強烈なパルス電流を放射できる。機械どころか、人間の神経も焼き切ってしまうほどの威力がある。

 ただしこの手榴弾は効果範囲が狭い、導電性イオンの拡散範囲と、電流が伝わる範囲に限界があるためだ。そして軍用規格を満たす電子装置を殺すには、手榴弾を至近距離で作動させる必要がある。

 だが、どうやってこいつを命中させればいい? こんな薄暗がりの中で、どうやって正確に手榴弾を命中させれば? 床の影から位置を知る方法はもう使えない。銃口から発せられる炎が逆光となって、床の影がかき消されていたからだ。

 相手の発砲炎から位置に当たりを付けるか? ――いや、ダメだ。遮蔽物の陰から身を乗り出した瞬間にミンチにされるのがオチだ。この手は使えない。

 車の陰から飛び出して、手榴弾を投げつけるか? 投げた後で床を転がって回避すれば、あるいは。

 だけど、成功する保証なんてない。もし一瞬でもタイミングがずれたら? 相手を捕捉するのが遅れたら? 手榴弾を投げそこなったら?

 決まっている、即死だ。

 このままここで縮こまっていたかった。軍用の兵器を相手にして生き残れる確率なんて万に一つも無いのだ。のこのこ出て行って殺されるよりは――。

 そこで、向こうの柱の影に隠れている唯たちに気づく。唯はひどくおびえた様子で、顔に恐怖と絶望を張り付かせていた。

 それを見て、ぎり、と歯を無意識のうちに噛み締めていた。そして、射撃が止む。

 考えている暇はない、今しかない。

 車体の影から飛び出る。時間が緩慢になったような錯覚。薄暗がりの向こうに、巨大な人影らしきものが見える。

 そこでモーター音が聞こえた。ミニガンの作動音だ。

 間に合うか。

 手榴弾を投げると同時に、強烈な射撃炎が視界を圧した。銃弾が横殴りにこちらに迫ってくる。床に着地すると同時に、横に転がる。

 銃弾がこちらに届く寸前に、電離手榴弾が作動した。青白い電流が拡散し、天井のLED照明が次々と焼け落ちる。四方八方に暴れ回る電光の中で、人影が姿を現す。

 光が去った後、暗がりの中で擱座したその人影は――あまりにも異様だった。

 三メートル以上はある背丈に、隆々とした人工筋肉でダルマのように膨れ上がった四肢。その全身は灰色の分厚い装甲で覆われており、両腕には対人用のガトリングガンが一門ずつマウントされている。

 巨人、そう呼ぶにふさわしい姿だ。

 こいつは国防陸軍の重外骨格だ。重外骨格は歩兵と装甲車の間を埋める兵器であり、閉所や市街戦における対人戦闘を主任務としている。生身の人間や強化兵でも持ち得ない重装甲と大火力で、歩兵を圧倒することを目的として開発された代物だ。

 こんなものを相手にしてただなんて、背筋が凍る思いだった。こいつは歩兵キラー、殺人マシーンだ。狭い場所や市街地など接近戦が多発するような場所で、人間の兵士を装甲と火力で文字通り挽肉にするための代物だ。対人地雷、ブービートラップ、待ち伏せさえもこいつにはほとんど効果が無い。対人用の火器ではその装甲に歯が立たないし、肉弾戦にでもなればその重量と膂力で人間なぞ容易につぶしてしまえる。

 パルス電流で一時的に黙っているとはいえ、破壊できたわけではない。システムの再起動が終わればすぐにこちらに襲いかかってくるだろう。逃げないと。

 情けないことに膝が笑って力が入らなかった。両足を無理矢理引きずるようにして、三人の元へ急ぐ。

 不幸中の幸いにも、三人は怪我らしい怪我も負った様子は無かった。銃撃のほとんどが自分に集中していたためだろう。あの重外骨格は、火器を持つ人間を優先的に攻撃するよう設定されていたに違いなかった。

 浩太が最初にのろのろと起き上がる。

「浩太、吉野さんに手を貸して」

「――あのでかい人影は?」

「一時的に黙らせただけ。すぐにでも起き上がってくるはず」

「くそっ」

 浩太は頭を振り、香織に手を貸してその体を起き上がらせる。

「綾城さん?」

 床に座り込んで惚けている唯に呼びかける。が、反応が無い。

 目は天井に向いており、視線は焦点を結んでいない。顔に表情は無く、口は半開きのままだ。ショック状態というやつだろう。

 屈んで肩下から腕を回し、体ごと持ち上げる要領で唯を立たせた。見かけによらず豊かな胸の感触が脇に広がるが、気にしている余裕もない。見かけよりもずっと華奢で軽い唯の体に、内心驚いていた。

「どっちに逃げるんだよ!」

「近くに非常口があるはず、その中に!」

 背後で物音。振り向けば、重外骨格が軋みを上げながらゆっくりと立ち上がろうとしていた。装甲に覆われた太い腕が上がり、銃口がこちらに向く。

 唯の体を片手で抱え、頭上の標識に従って全力で非常口に向かう。だが、浩太がドアの前で立ち往生していた。

「何してるんだ!」

「ドアが開かねえんだよ!」

 見れば浩太はドアノブを掴み、扉を開こうと悪戦苦闘している様子だ。だが、かけられる力に反して扉はわずかも動かない。扉全体が爆発の衝撃や銃撃で歪んでしまっているのだ。

 ヤバい、本当にヤバい。

 扉は開かない、そして背後には再起動しかけている重外骨格。いまさら別の場所に逃げる時間なんてない。逃げ場なんて、ない。

 どうする? どうすればいい? このままだと全員死ぬ。あんな大量の銃弾を受けて生き延びることなんて、万に一つの奇跡が起こってもありえない。

 でも、扉は開かないのだ。もうどうしようもないのか? 

 ――いや、扉が開かないのなら、道を作るしかない。既成概念にとらわれるな。道が無いのなら、作ってでも通れ。学校で狙撃兵を相手にするなんてバカな妄想を考えていた時、お前はどうするつもりだった? 壁を爆破して道を作り、突破するつもりだったろう?

 でも道具が――いや、ある。

 肩口の鞘から高周波ナイフを引き抜き、スイッチを入れた。そのままドアの蝶番に刃を突き立てる。

 激しく火花が散り、鋭い金属音が周囲を満たす。ものの三秒ほどでナイフが蝶番を切断した。蝶番は二つある、もう片方の蝶番も同じ要領で切った。

 ドアを思いっきり蹴った、支えをなくしたドアは易々と外側に倒れこむ。

「中に!」

 浩太と香織が先に駆け込む。次はこちらの番だ、だが。

「あ――」

 傍らの唯が、背後を振り向いて棒立ちになっていた。その視線の先には、完全に立ち上がった重外骨格の姿。ガトリングの銃口はこちらに向けられ、銃身がうなりを上げて回転し始めていた。

 唯に飛びかかり、抱きつく。体をひねって唯をかばいながら、非常口に飛びこむ。

 重外骨格が発砲した。鼓膜を震わす強烈な銃声に、鼻をつく硝煙、そして金属の雨がこちらに襲いかかる。

 左手に衝撃と熱さを感じた。非常口の中へ唯と二人して転がりこみ、床に着地する。

 まだ、生きてる。

 後ろでは猛烈な銃撃が、非常口付近のコンクリートを削りまくっていた。幸いにもこちらに射線は通っていない。

 朦朧とした頭で立ち上がり、唯の体を引き起こして、通路の奥へ走った。背後では射撃と共に爆発音がしていたが、構わず走り続ける。幅の狭いこの通路なら、重外骨格はそのサイズが災いして追いかけてこられないはずだ。


  *   *   *


 五十メートルほども走り抜けると、十字路に出た。非常用通路のジャンクション部分だ。そこに浩太と香織が、疲れ切った様子で床に座り込んでいた。

 ここまでくれば大丈夫だろうが、安心はできなかった。すぐにでも移動して、隠れて休める場所を探さないと。実を言うと、自分もすさまじい眠気に襲われていた。この半日というもの、不眠不休で緊張を強いられっぱなしだったので、目を覚ましているのさえやっとだ。

「ふ、藤宮くん……」

 唯が青い、いや、青を通り越して真っ白になった顔で、こちらを指差していた。

「藤宮くん、手が」

「え?」

 言われて左手を見ると、異変に気付いた。

 指が、無くなっていた。

 正確には左手の小指が――根元からごっそりえぐり取られていた。断面からは鮮血が吹き出し、今更のように激痛が脳天をつく。さっきの銃弾をかわしきれなかったのだ。

 だが――問題はそれだけではなかった。

「わ、私のせいで……私のせいで」

 唯がわなないていた。瞳をいっぱいに見開き、冷や汗を額に浮かべ、全身を震わせている。

「……ごめんなさい、ごめんなさい」

 両腕で自分の体をかき抱き、目じりに涙をためながら、唯はくり返し「ごめんなさい」と、壊れたレコードのように延々繰り返していた。

 そのあまりの異様さに、浩太と香織は言葉もない様子だった。

 確かに今の有様は、普段の唯からは想像もつかないものだった。学校ではあれほど堂々として、毅然としていた彼女がこんな――こんな風になるなんて。

 そんな彼女を見ていられなかった。自分の怪我なら、痛みは我慢できる。だけど彼女のこんな姿を見るのは、とても耐えられない。

 だから、彼女に手を伸ばした。右手でしっかりと、唯の肩をつかむ。

「綾城さん、こっちを見て」

 だが、この程度の言葉では効果が無い。唯はまた謝罪の言葉を、焦点の合わない虚空に向かってつぶやき続けている。

「……見るんだ!」

 強く命令する。ビクッ、と唯の体が激しく震え、その視線が焦点を結んだ。

「綾城さんに頼みたいことがあるんだ。左手なんだけど、片手じゃうまく包帯も巻けない」

 すさまじい痛みで声が引きつる。

「だから応急処置を手伝ってくれる? いい?」

 唯はこちらの言葉の意味が理解できていない様子で、揺れる瞳をこちらに向ける。そうして十秒ほども経っただろうか、やがて力強くコクン、とうなずいた。

 相手の気が動転しているときは、深く考えさせないよう何か仕事を与えてやるのが一番いいと、ネットの記事で読んだことを思い出す。

 それに、左手の痛みがもう限界だった。

「腰の後ろのポーチに応急処置キットが入ってるから、取りだして」

 唯が背後に回り、腰のポーチの中身をかき回しているのが分かった。その後、目の前に突き出された手には、赤い十字マークが描かれたプラスチックの箱が乗っていた。

「開けて。中にプラスチックの筒が入ってるから、筒のキャップを取って」

 唯はキットから瞬間接着剤にも似た代物を取り出し、それのキャップを取り外す。

「先端を手首に当てて、ボタンを押してくれる?」

 傷ついた左手の裾をまくり、手首をさらす。そこに筒が押し当てられ、もう一方の端にあるボタンが押し込まれる。すると、プシッという音とともに、腕の中に液体が注射されるのが分かった。同時に、あれほどひどかった痛みが引いてゆく。

 これは細胞賦活剤とナノマシンを混合した薬剤注射器で、止血、傷口の再生、鎮痛、細菌感染防止の効果がある。

「包帯を巻いてから、スプレーを包帯に吹き付けて」

 唯はぎこちない手つきながらも、包帯を左手の傷に巻き付けた。すぐに血がにじみ、包帯が真っ赤に染まってゆく。その上からスプレーが吹きかけられると、包帯はギプスのように瞬時に硬化した。

 肩の傷には止血用の医療パッドを押しつけ、その上から包帯を巻いた。このパッドも細胞の再生効果がある代物だ。傷に貼り付ける面がジェル状になっており、そこに薬がしみこませてある。

「……だいぶマシになった」

 唯が「本当に?」といった顔で見返してくるので、無理矢理にでも笑顔を作る。痛みは完全に消えたわけではないが、今はそんなことを言っていられない。

「あの重外骨格はまだ生きてる。追いかけられないうちに逃げよう」

 立ち上がって呼びかける。

「逃げるっつったって、どっちに逃げるんだよ。お前に付いてきたらこのザマだろうが」

 疲れ切った様子で浩太が愚痴る。刺さるような視線をこちらに向けていた。

 この言葉には、少し、頭にきた。

「……僕だって、ここがこんな状況になってるなんて思いもしなかったんだ」

 腹の底から、絞り出すように声を出す。

「思いもしませんでした、で俺たちをここまで連れ回したのか? 本当に逃げられるかも分かんねえのに? お前のせいで何度も死にかけたんだぞ」

 こいつは。

 自分が死にそうな思いで必死にやってるのに、文句を言うだけか。そういうお前は何をした? 普段は偉そうに威張っていたくせに、こんな状況では何もしませんっていうのか。

 ふざけるなよ。

 手元のライフルをこいつに向けて、撃ちたい衝動に駆られる。それぐらい、腹の中が煮えくりかえっていた。

 高まっていく緊張を察したのか、唯が小さく手を上げる。

「……私、もしかしたら、逃げられる場所、知ってるかもしれない」

 驚いて唯を振り向いた。他の二人も同様だったようで、唯を凝視している。

「本当に?」

 思わず詰め寄り、肩に手をかける。

「藤宮君、あの、手」

 唯は顔をそむけ、消え入りそうな声で呟く。慌てて手を離した。暗がりで分かりづらいが、唯の顔が少し赤くなっているように思えた。

「無線で送るから」

 唯の言葉と同時に、BMIのリンクを介してデータが送られてくる。内容は地図情報だ。地下街とその近辺の地理が、立体地図で示されていた。

「地下街から南に十五キロぐらいのところに、建物があるのが分かる?」

 指定された場所を、立体地図内で拡大する。それは巨大な地下構造物だった。ワイヤーフレームで示された地図によると、山中に半径が百メートルほどの、半球ドーム状の地下空間が広がっていた。

「地下電力貯蔵施設?」

 地図の説明を声に出すと、唯がうなずいた。

「最近建設が完了した、大量の電力を地下に貯めておく施設。近隣一帯の県内にある、全ての発電所をカバーできるほどの容量があるの。ここからなら安全に地上に出られると思う」

「でも、かなり遠いんじゃ……」

 地図のスケールから見て、件の施設までは十五キロメートルほどある。いくらなんでも、歩いて行ける距離じゃない。だが唯は首を横に振った。

「地下街からこの施設に向けて、連絡用の地下鉄が通ってるの。物資運搬と、従業員の輸送用に。だから地下鉄の駅までたどり着ければ……」

 唯の言葉通り、地下街と電力貯蔵施設の間には一本の線があった。

「家の会社が建てた施設でね、少し前に視察に行ってたから」

 唯が照れくさそうに目を伏せる。その言葉で思い出した、唯の家は巨大な企業グループを家業として営んでいて、その中には大きな建設会社もあったはずだ。

「……こんなのを知ってるなら、どうして先に言わねえんだよ」

 怒気をはらんだ浩太の声に、唯がうつむく。

「だ……だって、こんなにひどいことになってるなんて、思ってなかった。それに、地下鉄の駅はここからもっと先にあるの。だったら、近い方から逃げられるなら……って」

「謝ってすむ問題じゃねえだろうが!」

 浩太は語気も荒く、唯につかみかからんばかりの勢いでまくしたてる。

 そこで、二人の間に割って入った。

「やめなよ」

 唯と浩太、二人が虚をつかれたように目を見開いていた。無理もない、自分でもどうしてこんな行動に出たのか分からないのだから。

 浩太に睨まれるが、ここで引き下がってはいけない――なぜか、そんな気がした。歯を食いしばり、拳を握りしめて耐える。緊張と恐れからか、体が少し震える。

「綾城さんに八つ当たりしても、状況が良くなるわけじゃない」

 浩太に睨まれるが、目をそらすことはしない。口を引き結んで睨み返す。

 そうして十秒ほども経ったところで、浩太が「はっ」と吐き捨て、視線を逸らした。

 深く、安堵の息を漏らす。相手が折れてくれたのが幸いした。

 だが、我ながら自分の行動に驚いていた。あの状況で二人の仲裁に入るなんて、ふだん学校で過ごしていたときには、考えられないことだった。

 唯はその場に立ち尽くしていた。こちらの顔色をうかがっている感じで、何かを言いたげな様子だ。が、今さらこちらから話しかけられるわけもなく、しばらく無言の後、少女から視線を外す。

 それに――一つ、気に掛かっていたことがあった。あの重外骨格の動きだ。あれは、今までの暴走したドローンとはまるで別物だった。

 ドローンの行動原理は単純だ、生きている人間を見かけたら、執拗に追いかけ、殺す。ただこれだけだ。そこに戦術や戦略などない、獣のように突進し、人間を引き裂き、食らう。

 だが、あの重外骨格は違っていた。薄暗がりの中、視界が悪い場所で待ち伏せし、奇襲をかけてきた。しかもタイミング良く、ドローンに襲われたのとほぼ同時に、だ。こちらに対応するだけの時間を与えず、一気に殲滅するつもりだったのだろう。こんな芸当は、少なくとも今のAIでは不可能だ。今のAIは個々の状況にならなんとか対応できるが、状況を俯瞰して戦略的に行動するといった真似はできない。ましてや奇襲なんて芸当は。

 つまり、あの重外骨格はプログラムだけで動いていたわけではない、ということだ。

 おそらくは人間によって操作されていたのだ――たぶん、このテロを起こした奴に。


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