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本命は・・・  作者: カブ
4/13

PHASE-03 入学式

「ほら、早く!」


「待ってって。そんなに早く走れないって。」


入学式まであと、2分近くになっていた。


「しかし、ここの学園こんなに広いんだね。」


校舎と校舎の間に噴水広場や、花見専用スポット、学園際に使用すると思われる屋台通りや、体育館にあるようなステージも見られる。


グランドには、テニスコート9面、野球球場、サッカー・ラグビーなどの大きなグランドが見られる。 本当にすごい広さだ。


小・中と体育館が大きく見えていたのに、この学園となるととても小さく見えてしまうくらいだ。


「あ! 翔ちゃん!! あったあった! こっちこっち!!」


愛美の手が俺の手をさらに圧縮させた。


「早く中に行こう!! 入学早々遅刻はマズイからね。」


「分かってるわよ! ほら、もうひとっ走りよ。 翔ちゃんしっかりね。」


そう言いながら俺達は体育館の中に入っていった。





「20XX年度入学式を始めます。」


一人の教頭先生らしき先生の声がする。


俺達は開始13秒前に着いて何とか間に合ったみたいだった。


入学式では、体育館の中で生徒が椅子に座っている状態となっている。


並び順は、名前の早い中学校から順番になっていて、それの出席順になっている。


だから、今俺の隣には愛美がいる。華恋と岸田という名字で。


「ねえ、翔ちゃん結構生徒数多いね。」


それもそうだ。この学園への定員数は500人もいるからだ。1・2・3年と約1500名となるのだ。


「これより新入生代表から先輩方々への挨拶文を述べて頂きます。 ・・・新入生代表、春風美鈴はるかぜ・みすずステージへ。」


みんなが一斉にステージの方へと目をやった。


階段をミシミシと音を立てながらステージの上にある教壇の所に立った。とても落ち着いている表情だ。


「はは〜ん・・・。 あの人が例の春風さんね。」


「愛美知ってるの?」


「知ってるも何も、あの人前にモデルからのスカウトがあったんだって。」


「それで?」


「それでね、彼女悩みに悩んだ末、まず高校生活を充分に満喫してみたいって言って断っちゃったのよ・・・。 勿体無い話よね。」


確かにそのような感じだ。


今現時点で見る限り、容姿は言うまでもない。髪の長さはサラサラとした感触のようなストレートロングを繊細に帯びていて、ひらひらと舞うと彼女の心のピュアな気持ちそのものが伝わってくるようにも見える。


スタイルも言うまでもなく抜群。足はスラっとしていて胸の辺りの大きな膨らみが、男の心をモノにするような感じにもさせる。


「成績優秀で美人。おまけにスタイル・運動神経抜群。この学園のアイドル的存在なのよ?」


「へ〜・・・。」


俺は前に居る彼女の顔をず〜っと見つめていた。


「翔ちゃんその眼差しは何なのかな〜?」


「え・・・? それはその・・・。 言わゆる拝見みたいな感じです。」


俺は不意打ちを食らったような感じをした。


俺のタイプ上、申し分のない相手というコトに気がついたからだ。


「ふ〜ん・・・。翔ちゃんあ〜いう人が好みなんだ・・・。まあ、分からないコトもないけどね。さすがはアイドルね。」


愛美の表情が一瞬笑みからず〜っと遠ざかるような表情を浮かべた・・・が、また通常通りの顔に戻った。


「まあ、タイプというのと好きというのとは違いますから。」


俺もちょっと空気を読んで愛美を気遣った。


「でも、翔ちゃんが誰とどうしようが私には関係のないことだしね。」


顔は笑っているようにも見えたが、満面の笑みではない。いつものニッコリ顔でもない。 内心に何かを想っているような・・・そんな感じだ。


そうこうと話をしている時に、新入生代表が話しをし始めた。


「暖かい日差しが私たちの心の冷たさも暖かくしてくれます。冬の厳しかった寒さを押しのけるように・・・。そう、それが先輩達のコトでもあります。私たちは、この学園に期待と不安な気持ちを抱えたまま今ここにいます。その不安な気持ちを追い払ってくれる方々・・・先輩達と先生方です。ですから、私たちをどうか導いて下さい。正しいと想う本来あるべきの場所に・・・。 この先どんなコトが待ち受けているのかは分かりません。でも私たちはそれをどんな苦難があっても良いモノへと変えていきたいと想います。それをどうか見守っていて下さい・・・以上です。」


パチパチパチパチ―――――。拍手が体育館の中で鳴り響く。


癒し系の声とそれと照り合わせるような台詞がとても合っていて、心ときめいている人が見られる。


汚れていなく純粋な声。まるで女神様のささやきような・・・そんな感じだ。


「いい声の持ち主だったね。私女だけど、少し感動しちゃった。」


「うん。俺もすごく感動した。ホントに良い声だったな〜・・・。」


俺も心の底からこう思った。さすがはアイドルだ。





「良い挨拶文でしたね。 それでは次に学園長先生の話です。」


教頭がコホンと咳をして場を促した。


「え〜・・・本校は・・・・。」


と他愛のないお喋りが聞こえてくる。


まるでさっきの良い雰囲気だったモノを打ち消すような、オヤジ声。


みんなしてもう、聞く気ないみたいな表情をしている。


「・・・では、以上です。」


やっと学園長の演説が終わった。


「以上を持ちまして、20XX年度入学式を終わります。」


みんなの張り詰めていた思いが外に放出され、ため息や、「やっと終わった〜」という様な達成感の笑みを浮かべている。


「はあ〜〜、やっと終わったあ〜〜。」


愛美もそのうちの一人だった。身体全身をあちらこちらに伸ばして軽い笑みをこぼしている。


「それでは、新入生のみなさんは、この後すぐにご自分のクラスに入って明日以降の予定を言います。 ですので、前にあるクラス発表の紙を貼りますので見に来てください。では、解散して下さい。」


解散と合図と共に今まで「無」のような雰囲気が一瞬にして、ワールドカップ並みの盛り上げを見せている。


同じ仲間と外れて残念がっている人や、同じクラスになってテンションが上がっている人などさまざまな人たちが見られる。


「私達も見に行こっか。」


だんだん人が少なくなった頃に俺達は紙の貼ってある所まで行った。


「え〜と、岸田、岸田・・・。」


「え〜と、華恋、華恋・・・。」


俺達はお互いに自分の名前を探した。


「あ! あったあった。」


先に見つけたのは、ヤハリ愛美だった。


「あ、ホントだ!」


俺も愛美の後を続くかのように見つけ出すコトが出来た。


「・・・また同じになっちゃったね。」


「・・・うん。」


「改めてこれからもヨロシクね☆」


「おう。こちらこそ宜しく〜。」


これは何かの運命なのか? ヤハリ、コイツと絡むことが多く、何かにつけて同じになることも多い。


でも悪い気はしない。 むしろ嬉しい。


「あ・・・!」


俺は、改めてクラス発表の方へと目にやった。


するとそこには、「春風美鈴」と書かれた文字があった。


俺は、この時運命というモノを初めて考えた。


愛美はまだこのコトには気付いてない。


これからどうなるのか? この先には一体何が・・・?


「ほら、翔ちゃん行くよ! 早くしないとまた遅刻寸前になっちゃうよ!」


でも、この悩み的存在のモノを愛美の笑顔によって消え去った。 非常にスッキリした気分になった。


「んじゃあ、行こっか。」


「じゃあ、教室まで競争ね♪ 負けた人はジュースのおごりということで♪」


「あ・・おい・・・。 待てって〜!」


俺達は、誰もいない体育館を後にして教室に走りだした―――――。






なるべく早く更新するつもりですので、宜しくです。

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