PHASE-01 いざ出発
―――――ガチャン。
ドアの閉める音が無音にも鳴り響く。
「今日から高校生活が始まるな〜・・・。」
俺は、雲からひょっこり現われる太陽を細目で見つめながらそんなコトを思っていた。
そう、今日から高校生活への第一歩の足を踏み入れる。
ほんの1ヶ月前までは、中学生という義務教育だった。でも高校は違う。
今から新しい事々が起こりそうな気配がして、身体がむずむずしてしょうがない。 期待と不安というモノに引き寄せながら―――――。
俺の名前は、岸田 翔平「きしだ・しょうへい」。 身長168cmと高1ではごく普通の身長だと思われる高さだ。
容姿は、自分で言うのも何なんだが、格好良くもないし、格好悪くもない。 言わゆる「普通というやつだ。」
俺は、中3の秋でやっとこの「桜花学園」という高校に進学することを決意した。
両親は、今、宇宙旅行に行ってて、この1年は帰ってきてない。 よって、家には俺一人で住んでいるというわけになる。
だから、毎日コンビニ弁当という手で済ましている。 そう、栄養が偏った食事を取っているのだ。
でも、家に一人しかいないおかげで、受験勉強にも集中しやすかった。 だから結果こうなったと言ってもよいと思う。
「おっそ〜いぃぃ! もう、翔ちゃんったら、ホントに相変わらずねぇ〜・・・。 もう高校生なんだし、そんなんだとマシな大人になれないよ?」
コイツは俺の幼馴染の、華恋 愛美「かれん・まなみ」。小・中と一緒の学校に通ってた。 俺のコトを「翔ちゃん」とか「アンタ」って呼ぶことが多い。
容姿は、言うまでもなく、むっちゃくちゃ可愛い。 この俺がこんなやつと絡んでていいのか? と思うくらいの可愛さだ。
目はぱっちりと二重型になっていて、まつ毛も少し長い。髪の長さは伸ばしたら肩ほどにまであり、いつもはピンク色のゴムをはめていてツインテール型にしている。
口元を見るとキラキラと輝くような感じであり、少しエロティックみたいか、何人ものの男性を魅了しても可笑しくはないという感じをしている。
スタイルはまずまずの安定感であり、慎重は158cm。 至って普通の少女だ。
外見を見ると、癒し系と活発に動くような感じ系がする。
それと、兼ね備えた学園の制服となかなかマッチしているようにも見える。
性格は社交的で、ちょっと甘えん坊な所もある。 けど、少しわがままのトコもある。 でも、話していると楽しくないとは思ったことはない。あと、何かにつけて自分の言いたいことにはニッコリと笑う。 そう、まるで天女の笑顔かと思うくらいの・・・。
男なら誰もがオチルと思うくらいの笑顔。 そう、彼女が最も輝いて見える時みたいな感じの笑顔。 ホントに可愛らしい。
そのせいか、中3の頃はみんなコイツに惚れてしまったのか、ほっとんどの人がアタックした。
しかし、なぜかそれを断ってしまった。 その中にもイケメン級のヤツもいたようだが・・・。
俺は、その理由がとても知りたい。 なぜだが今の自分には分からないけど・・・。
でも彼女はそれを、決して他人に教えようとはしない。 そう、今の時点では迷宮入りなのだ・・・。
そして、俺の場合はこの彼女とは、今友達以上恋人未満という関係を飾っている。
そりゃあ、意識をしたことはないのか? と聞かれれば、「ない」とは言いキレナイ。 俺が見ても可愛いと思うから。
でも、それを表に出してしまえば今までどおりの関係が崩れ落ちる・・・。 少なくともそれに近いコトにもなる。
だからか、自然と普通の感情で接することが出来るようになっている。 これがいつまで続くかだが・・・。
「悪い悪い! ちょっとごちゃごちゃしてたら遅くなっちゃった。 ゴメンな〜。」
「まあ、今に始まったことじゃないけどね〜。 いいよ、今日は許したげる。その代わり、明日から遅刻したら、容赦はしないからね!」
愛美は、人差し指を1本上の方へ突き出して、ニッコリと微笑んだ。
「ううう…。…はい、仰せのままに…。」
俺は、この笑顔にホント弱い。何でも言うコトを聞きたくなるこの笑顔・・・。ヤバすぎる・・・。恋愛感情を持ってる男性なら、もう心臓が破裂するくらいのモノだ。
今日は、ホントにいい天気だ。太陽はもう頂上に達したのか、西に傾くスタンバイをするような感じに見える。
家から出るときには雲が結構な程あったが、今は雲一つすらない。まるで今から起こるようなコトがこの人生の中で最も価値のあるもののように…。
「じゃあ、出発しよっか〜! 早くしないと入学式に間に合わなくなっちゃうからね!」
「うん、じゃあ行こうか。」
小・中と一緒に登校していたコトもあって、少し呆れ気味の愛美だったが、俺の変わりのない性格を目にした時にはもう普通の態度に戻っていた。
俺達二人は、お互いの家の近くにある「そよ風公園」から学園に向けて一歩一歩足を踏み入れていった―――――。