1-5 達成報告とログアウト
「というわけで、クエストの達成報告に来ました」
フィールドでの狩りを一旦切り上げ、冒険者ギルドへと帰還。
ギルド長は……今回はちゃんと起きてるみたいですね。
「達成報告って、さっき受けた討伐クエストのか? 随分と早かったな」
「ライバルがいないので」
『アリーシアちゃんwww』
『いやまぁそうだけどさぁwww』
『ギルド長めっちゃ苦い顔してるwww』
まぁ、ギルド長的にはグラスランナーが不人気だというのはあまり宜しいことではないんでしょう。私的には快適に狩りができたので不人気万歳って感じなんですけど。
「そんな顔しなくても、今後グラスランナーの渡り人は増えると思いますよ?」
もうしばらくすれば2陣の加入が始まりますからね。
2陣は現在の3倍の人数が加入するとの話ですし、グラスランナーを選んでスタートする人も少なからずいることでしょう。
「だといいけどな……」
とはいえ、それでグラスランナーとしてプレイする人が何割くらい残るのかってのは別の話なんですけど。
プレイヤーの数が増えてもグラスランナーが扱いづらい種族であることに変わりはありませんからね。
その辺りについては運営のテコ入れが入ることを期待するしかありません。
「まぁ、今はそんなことよりクエストの達成手続きですよ」
元々はそのために帰ってきたわけですし。ちゃんと仕事してください。
「はいはい。リトルワーム、ラビット、グラスビーの討伐だな。……これでよし。報酬はカードに振り込んでおいたぜ」
▶チュートリアルクエスト『冒険者ギルドでクエストを達成しよう』を完了しました
ついでにチュートリアルクエストも達成、っと。
こっちの報酬は……修練の書? ああ、一定時間経験値が上昇するアイテムですか。
さっさとレベルを上げて初心者を脱しろという運営からのメッセージを感じますね。
▶チュートリアルクエスト『冒険者ランクを上げて始まりの街を目指そう』が発生しました
さらに追加でクエストも発生。
始まりの街は種族スタートしなかった場合の開始地点でしたっけ。
そういえば種族スタートを選択する際に、条件を満たすことで始まりの街に移動できるようになるって説明がありましたね。
とりあえずギルド長に詳しい話を聞いてみましょう。
「ギルド長」
「おう。どうした?」
「冒険者ランクを上げたら始まりの街に行けるようになるんですか?」
「ん? ああ、そりゃ多分『それ』のことだな」
そう言ってギルド長が指さしたのは依頼板の一角。
よく見てみると、依頼の用紙に混じってポスターのような物が貼られています。
「新人冒険者応援キャンペーン……ですか」
「内容についてはそこに書いてある通りだな。ここで登録してランクをEまで上げた冒険者に始まりの街行きの転移石を無料で進呈するってキャンペーンだ」
「なるほど」
ちなみに転移石というのは使うと登録されている場所へワープすることができるアイテムなんだそうです。
「このキャンペーンって期限とかは無いんですか?」
「無いな」
それならギルド長の言う通り素直にランクを上げた方が良さそうですね。
「じゃあとりあえず新しいクエストを受けて……っと」
討伐クエストは受けてしまったので、次は採取クエストにしましょうか。
薬草の採取、鳥の羽根の採取、ラビットの肉……は持ってますからここで納品して、あとは月光草の採取ですか。
「そういえばこういう採取クエストって〈採取〉スキルが無くても大丈夫なんですか?」
「採取するだけならスキルが無くったってできるぞ。あった方が効率は良くなるけどな」
採取系のスキル(〈採取〉〈解体〉〈採掘〉〈伐採〉の4種類)はそれぞれの行為を補助するためのスキルではあるが、別に無くても素材の採取は可能。
ただしあれば素材が入手しやすくなったり、品質が上がったりというメリットがあるので余裕があれば取っておいて損は無い、という説明をギルド長から受けました。
まぁこのゲーム、モンスターがお金を落とさない仕様になっているのでドロップ品や採取できる素材類は結構重要な資金源になるっぽいんですよね。
「となるとやっぱり〈採取〉と〈解体〉くらいは取っておきたいところですね」
初期スキル以外のスキルはそれに応じた行動を取ることで解放されるらしいので、今回の依頼をこなしている内に〈採取〉スキルが生えることに期待しましょう。
「じゃあ早速これからフィールドに――」
出ようかな、というところでピピピッとアラーム音。
おっと、もうこんな時間ですか。
「すいません。お昼なので一旦配信を中断してログアウトしますね」
『おつー』
『俺も飯食ってくる』
『おつー。午後からの配信も楽しみにしてまーす』
配信用のカメラに手を振りつつ、冒険者ギルドを出てログアウト。
続きはお昼ご飯を食べてからですね。




