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1-4 初めての戦闘

 というわけで、集落を出てフィールドにやってきました。

 右を見ても草原、左を見ても草原。

 ちなみに私以外のPCの姿はありません。


『いやホント誰もいねぇな!』

『過疎りすぎwww』

『グラスランナーって不人気種族なのかな?』


「……そういえばギルド長も渡り人(PC)が来るのは久しぶりだって言ってましたっけ」


 まぁ、周囲を気にせず好き勝手に狩りができるのは良いことですけど。

 混雑した狩り場は色々と面倒ですからね。そう考えるとこの過疎った状況も悪いことばかりではないと言えます。


「えーっと、討伐対象になっているのはリトルワーム、ラビット、グラスビーの3種類でしたね」


 おそらくその3種類がこの草原で出現する主なモンスターなんでしょう。

 そんな事をリスナーと話しながら辺りを見回していると……おっと?

 なにやら〈看破〉が反応したのでそちらに方向に視線を向けると、地面の一部が不自然に盛り上がってるのを発見しました。

 ……怪しい。

 警戒しつつ、足下にあった石ころを拾って投げつけます。

 TEC補正のおかげか、投げた石は放物線を描きつつ盛り上がりのすぐ近くに落ちて――


 かぽーん、と間の抜けた音と共に地面から何かが顔を出しました。


『フォッ!?』

『!?!?』

『なんか出た!?』


「うわぁ……」


 地面から真っ直ぐに生えてウネウネと蠢く太さ10センチくらいのそれ。

 現れたそれをよく見てみれば、〈識別〉の効果でリトルワームという名前と、HPを表す緑色のバーが表示されます。


「あー、これがリトルワームですか……」


『これでリトル!?』

『リトル……リトルとは……』

『てかこの見た目はちょっと……』

『ヒャッハー! ビンビンだぜェー!!』


 そのリトルワームですが、見た目はどう見ても完全にミミズですね。

 ウネウネする胴体と微妙にテカってる表面が普通に気持ち悪いです。


「……まぁ、かといってここで眺めていてもしょうがないんですけど」


 どうせ今後何度も戦うことになるのだから、さくっと覚悟を決めて早めに慣れてしまった方がマシでしょう。

 というわけで私は双剣を抜き、ウネウネ動いているリトルワームに素早く接近。

 相手が反応するよりも先に、まずは右の刃で――そぉい!


 銀線が胴体に吸い込まれ、血の代わりに赤色のポリゴンが飛び散りました。

 おっと、攻撃が入ると若干の怯みモーションが入るみたいですね。

 ならばとすかさず左の刃を一閃。

 再び怯みモーションの入ったリトルワームに右、左、右、左ぃ! と某ボクシング漫画のような勢いで連続攻撃を入れ――おや? 死んでる?


「ふむ。思ったより簡単に倒せましたね」


 まぁ最初のフィールドに出るモンスターですし、まずは体の動かし方に慣れて貰うためにちょっと弱めの設定になってるのかもしれません。


『ミミズを切りつけることに一切躊躇わないアリーシアちゃん男前すぎ』

『初勝利おめー』

『ミミズのアップがツライ……』


 コメントの反応を見る限り、視聴者さんの中にもリトルワームが平気な人と駄目な人がいるみたいですね。

 まぁ多少デフォルメされてても、普通にミミズですし。

 ……いやホント、どうして最初に戦うモンスターをこれ(ミミズ)にしたのか、制作者を小一時間ほど問い詰めたい。


「とりあえず狩りを続けましょうか」


 ドロップ品をざっと確認して、狩りを再開。

 取り合いも無いので少し歩けばすぐに次のモンスターに遭遇しました。

 ブゥゥゥンという音をさせつつこちらに向かってきたのは巨大なハチ――草原に出現するモンスターその2、グラスビーです。

 見た目は巨大なミツバチですね。飛んではいるもののスピードはさほど速くないので、攻撃を当てるのは難しくなさそう。

 こちらに向かって飛んでくるグラスビーにタイミングを合わせて、右手の刃で――そぉい!


 すかっ。


 あれ?


 ぷすっ。


 あ痛っ。って、今のでHPが3割以上削れましたよ!?

 慌てて左手の刃で反撃すると、今度はちゃんとヒット。

 リトルワームと同様に怯みモーションが入ったので、素早く次の攻撃。

 後はさっきと同じですね。

 相手が動き出すより速く左右の剣で攻撃を加えていると、数発目でグラスビーは地面に落ちて動かなくなりました。

 その身体が光の粒子になって消えていくのを見つめつつ、ほっと一息。


「……ふぅ。今のはちょっと焦りましたね」


 突っ込んできたと思ったらいきなりの急停止&急上昇でしたからね。攻撃モーションの一部だったんでしょうけど、おかげで最初の攻撃を外してしまいました。


『おつー』

『ヒヤッとしたねぇ』

『グラスランナー紙装甲過ぎでしょw』


「まぁグラスランナーが紙装甲なのは分かってましたけど、流石にこのレベルで打たれ弱いっていうのはちょっと想定外でしたね」


 いくらレベル1だとはいえ、最初のフィールドのモンスターに1発攻撃されただけでHPが3割も削られるとか、そりゃグラスランナーでプレイする人が少ないわけですよ。

 プレイングの難易度が高すぎますもん。


「まぁ、かといって止めるつもりは無いですけど」


 気に入ったキャラがピーキー性能なんてゲームをやってればよくある話。むしろこれくらい難易度が高い方がゲーマー的に燃えるってもんです。


「とりあえずはこのままレベリングを続けつつ、なるべくダメージを受けないような戦い方の練習ですかね」


 それと相手が複数だった場合の立ち回りも考えないと。立ち回りをミスるとすぐ死ぬのは紙装甲キャラの宿命なので注意が必要です。


「さて、できればまだ戦ってないラビットかさっきのリベンジでグラスビーと戦いたいところですけど……」


 インベントリから取り出した初心者ポーションでHPを回復させ、次の獲物を探して周囲を見渡し――


 かぽーん。


「………………」


 聞き覚えのある音に視線を向ければ、10メートルほど離れた場所でウネウネと蠢く黄土色の物体。


『ミミズwww』

『ミミズwww』

『ビンビンだァー!!』


 ……まぁ、出てきたモンスターを見逃すつもりはありませんけどね。

 双剣を握り直し、まるでこちらを挑発するようにウネウネしているリトルワームに接近。

 描写がリアルなゲームも善し悪しですねぇ……と、そんなことを考えながら、相変わらずミミズにしか見えない胴体に双剣を突き刺したのでした。

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