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1-3 グラスランナーの集落とチュートリアルクエスト

▶チュートリアルクエスト『冒険者ギルドで冒険者登録をしよう』が発生しました


「おん?」


『おっ?』

『おっ?』

『おっ?』


 集落に入ると、何やらクエストが発生しました。

 ミニマップにアイコンが表示されてますね。場所は集落の中央……というかあまり広くない集落なのでここからそれっぽい建物が見えてます。

 周囲のテントとは明らかに違う、丸太で造られたログハウス。どうやらあれが冒険者ギルドで間違い無さそうです。


「他と違うのは分かりやすくするためですかね」


 ともあれ特にやらない理由もありませんし、そのままチュートリアルに従って真っ直ぐに冒険者ギルドへと向かいます。


「ごめんくださーい」


 両開きの扉を開けて入った冒険者ギルドの中は、想像していたよりもシンプルな造りになっていました。

 正面に受付らしきカウンター、右手側には複数人が座れるちょっと大きめなテーブルと掲示板のような物があって、左手側には別室に続いているであろう扉が2つ。

 そしてカウンターの奥にはイスの背もたれに体を預けていびきをかいている男性が1人。


「………………」


 ……とりあえず男性に声をかけてみましょう。


「すいません。ちょっといいですか?」


 起きませんね。


「すいませーん」

「……んぁ? ……なんだお前ぇ」


 もう1度声をかけると、不機嫌そうな声で思いっきりガン飛ばされました。

 グラスランナーということもあって見た目は子供にしか見えないのに、態度は完全にガラの悪いおっさんですね。


『めっちゃガラ悪いwww』

『見た目子供なのにめっちゃオッサンなの草』


 リスナーも私と同意見。

 まぁ、目の前の男性を無視してコメントに反応するわけにもいきませんし、会話を続けましょう。


「初めまして。アリーシアといいます。冒険者登録をしにきました」

「……冒険者登録? ってことはお前、渡り人か?」


 『渡り人』というのはいわゆるプレイヤーのことです。

 この世界の住人たち――NPCにとって、我々が異世界の住人だということは神からのお告げという形で広く認知されている……というのが公式に書いてありました。


「はい。先ほどこちらに来たばかりの新人です」

「おお、そうかそうか。渡り人が来るのは久しぶりだな」


 おや? 何故か急に態度が軟化しましたね。


「冒険者登録だったな。すぐに用意するからその辺に座っててくれ」


 疑問に思いつつも、言われた通り近くにあったイスに着席。


「えーっと、新規登録用のカードはどこにしまったんだっけかな……」


 などと言いつつカウンターの裏でがさごそやってる男性に、ちょっと気になったことを質問してみます。


「あのー、このギルドは他の職員の方っていないんですか?」

「ここで働いてるのはギルド長の俺だけだ」


『まさかのワンオペwww』

『てかギルド長なのかよ!』

『えー、可愛いグラスランナーの受付嬢さんはー?』


 まぁ小さな集落ですし1人でも回せるのかもしれませんけど、確かにグラスランナーの受付嬢さんは見てみたかったですね。

 流れるコメントを眺めながら、待つことしばし。


「っと。あったあった。んじゃ、登録処理するからこれの上に手を置いてくれ」


 ようやくカウンターの裏から顔を出したギルド長が、1枚のカードのような物を取り出して私の前へ置きました。見た目は薄い金属のような材質に見えますね。

 言われた通りにカードの上に手を載せると、僅かに手のひらから何かを吸い取られるような感覚と共に、カードから光が放たれて――


▶称号【冒険者見習い】を獲得しました


「よし。もう手をどかしていいぜ」

「今のは?」

「カードに本人の魔力を登録したんだよ」


 ほほう。いかにもファンタジーっぽい技術。

 おそらくそれで偽造や第三者が勝手にカードを使ったりするのを防止している――という設定なんでしょう。


「このカードは身分証としても使えるから持っときな」


 受け取ったカード(分かりやすく冒険者カードという名前)は、無くしたら再発行可能だけどそれなりのお金がかかるし、再発行の度に必要なお金も増えていくとのこと。

 まぁ、これに関しては世界観というかNPC向けの設定で、我々プレイヤーからするとイベントアイテムなので無くすことがそもそもできないわけですが。

 ……ひょっとしてそういう特殊なイベントがあったりするとか?


「これで冒険者登録は終わりですか?」

「まぁな。これからギルドについて色々と説明するから、ちゃんと聞けよ」


 あ、はい。


「まず冒険者ランクについての説明だな。冒険者ランクはG~Sの8段階。つってもSランクは特別な活躍や功績を残したヤツに送られる名誉称号のようなもんだから、実質的にはG~Aの7段階になる」


『へー、Sは名誉称号なんだ』

『NPCに箔付けするためのやつ』

『あー、世界に何人しかいないとかいうやつね』


「冒険者ランクはギルドのクエストを達成することで上昇していく。つっても自動的に上がるのはDランクまでで、そこから先は昇格試験を受ける必要がある」


 ちなみに試験の内容はギルドや試験官によってまちまちで、指定されたモンスターの討伐やアイテムの採取といったものから、野良パーティでダンジョンを攻略してくる、試験官と一騎打ちなんてのもあるそうです。


「冒険者ランクがDランクになれば一人前の冒険者だと見なされるから、まずはそれを目標にするといいぜ。ここまでで何か質問はあるか?」


 特に無いので首を横に振って、続きの説明を促します。


「じゃあ次はクエストについてだな。ギルドが出している依頼(クエスト)を受けるのが冒険者の主な仕事になる。そこにある依頼板に貼られてるのが今出ている依頼だな」


 あっちにある掲示板っぽいやつですね。


「まず、見て分かると思うが、依頼板に張り出される依頼は色によって分類されてる。赤が討伐、青が採取・納品、緑が護衛、黄色が調査依頼だ」

「赤と青の依頼しかないみたいですけど?」

「護衛や調査は最低でもDランクからだからな」

「なるほど」


 護衛や調査はある程度のランクが無いと受けられないってことですね。

 まぁそれに関しては最初のマップですし、初心者向けの依頼しか置いてないっていうのもあるんでしょう。


「1度に受けれる依頼の数は冒険者ランクごとに決まってて、Gランクだと3つまで。キャンセルはいつでもできるが、依頼によっては違約金が発生することもあるから、そこは注意するようにな」

「了解です。護衛と調査以外はランクによる制限みたいなものは無いんですか?」

「無い。一応目安として難易度が表記されてはいるが、基本的にどの依頼も受けることができる。ただ、受ける依頼によっては条件が指定されている場合もあるな」


 ランクによる制限は無いものの、それ以外の条件による制限はあるみたいですね。

 専門技術が必要な依頼やパーティ向けの依頼、あと考えられるのは種族や性別による制限あたりでしょうか。


「依頼の中でも討伐と採取依頼は1日ごとに更新されるようになってるから、貢献度を稼ぎたいなら毎日覗いた方が良いぞ」


 討伐と採取系の依頼はデイリークエスト、と。

 そしてその1日はリアルの1日ではなく、ゲーム内での1日なわけですね。

 なおクエストの受注・報告は冒険者ギルド内であればメニューからも可能で、報酬は自動的にカードに振り込まれるとのこと。

 振り込まれたお金はギルドで引き出しができ、また預けることもできるので銀行代わりにもなってるみたいですね。


「以上で説明は終わりだ。何か質問はあるか?」

「いえ、大丈夫です」


▶チュートリアルクエスト『冒険者ギルドで冒険者登録をしよう』を完了しました


 一通り説明が終わったことでクエストが完了したみたいです。

 報酬は初心者用HPポーションと初心者用MPポーション。自動的にインベントリに送られるそうなので後で確認しておきましょう。


▶チュートリアルクエスト『冒険者ギルドでクエストを達成しよう』が発生しました


 おっと、新しいクエストが発生しましたね。

 ではとりあえず討伐依頼を上から順に受けて、っと。


「それじゃあ早速集落の外に行ってみましょうか」


『お、やっとフィールドに出発か』

『アリーシアちゃんどんな戦い方すんだろ?』

『ヒャッハー! 汚物は消毒だー!』


 ……いつの間にやら視聴者に世紀末が混じってた件。

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