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1-16 違う、お前じゃない

「マーダーラビットと戦いたい? やめときなやめときな。いくら渡り人だからって命を粗末にするもんじゃないよ」

「首刈り兎ねぇ。そういや道具屋のジィさんが酒飲むたびに自慢してたっけ」

「私の知り合いもマーダーラビットに殺されたんだよ。腕の良い狩人でよくお肉のお裾分けをしてくれてたのにねぇ」

「ここ最近は誰かが襲われたって話は聞かないけど、やっぱり怖いわよね」

「ぼくしってるよ! おそくまで外であそんでたらマーダーラビットにつれてかれちゃうってお母さんにいわれたもん!」


 その後も集落にいる人たちから話を聞いて回り、ある程度情報が集まったところで考えを纏めるために一旦集落の外へ。


『なんで集落の外に出たの?』


「情報の整理はリスナーさんと話しながら進めていくつもりなので、周囲に人がいる場所だとちょっとやりづらくて」


 端から見たら1人でブツブツ言ってる完全にヤバいヤツですからね。

 それに状況次第ではそのままボスエリアに突入することになるかもしれませんし、そういう意味でもフィールドに出た方が効率的です。


「さて、じゃあこれから集めた情報を整理していきますね。とりあえず私の考えを言っていくので、ネタバレは厳禁でお願いします」


『りょ』

『りょ』

『( ̄≠ ̄)クチチャック!』


 では口に出しつつ考えを纏めていきましょう。


「まず前提としてマーダーラビットを出現させるには複数の条件をクリアする必要があると予想されます」


 これについてはヘルプに『いくつかの条件を~』と表記してありましたからね。

 ただ最初のマップですし、条件自体はそこまで複雑ではなくおそらく2つか3つといったところじゃないでしょうか。

 それを踏まえて考えられる条件としては、


「1つはモンスター――多分ラビットを一定数倒すこと」


 モンスターの討伐数っていうのは他のゲームでもよくある条件ですね。

 復讐の兎というクエスト名や、内容にある『同じ感情を持った同胞の復讐ために』という部分、そして被害者が狩りの後に襲われてることを考えるとほぼ間違いないでしょう。


「もう1つは夜であること」


 これはクエストにある『闇の中からやってくる』という部分と、私が遭遇したのも夜だったこと、おじいさんが戦っていたマーダーラビットが朝になったら消えていたという辺りからの予想です。


「そしてもう1つ、少人数、あるいはソロであること」


 これに関しては多分そうなんじゃないかなーっていうレベルですね。ギルド長が言っていた「何度か討伐隊を組んで探索したけど遭遇しなかった」ということと、話を聞いて回った中で複数人が同時に犠牲になったという話が一切なかったことからこの条件を予想しました。


「とまぁ、こんな感じだと思うんですけど――どうですかね?」


『(゜д゜)ポカーン』

『あれ? おかしいなアリーシアちゃんが賢く見える?』

『そんな馬鹿な。だってアリーシアちゃんやぞ』

『アカウント乗っ取られちゃった?』


「リスナーの皆さんの私への偏見が酷い……っ!!」


 なんか脳筋扱いされてますけど、これでも私リアルでは大学生なんですからね?


『まぁでも結構良い線行ってると思う』

『これ以上条件が簡単だったらもっとマーダーラビットの被害が出てるだろうしな』

『あとは特定のアイテムを持ってるとか?』


 おっとリスナーさんからも貴重な意見が。

 特定のアイテム……この場合だとラビットの毛皮とか肉でしょうか。

 でも1個だけだと条件が緩すぎますし、いくつ以上持ってると条件を満たす、とかですかね? 念のためにしばらくはドロップ品を売らずに溜めておくことにしておきましょう。


「さて、ある程度条件の当たりも付きましたし、検証のためにこれからボスエリアに向かいますね」


 ――――少女移動中――――


 はい、というわけでやってきましたボスエリア前。

 今回はHPや満腹度もさほど減っていないので、そのまま尖岩の前へと移動します。


「ゲートの色は……青ですか」


 2本の尖岩を繋ぐ線の色は青。

 もうこの時点でハズレの予感がヒシヒシですね。マーダーラビットの時は確か赤いラインでしたし、多分このゲートの色が通常ボスとシークレットボスとを判断するポイントなんじゃないでしょうか。

 そんなことを考えながらゲートを越えると、今回はムービー無しでボス戦が始まりました。

 そして私の前にどどんと佇むのは白くて大きなモコモコ。


「やっぱり」


『知ってた』

『知ってたw』

『ですよねーwww』


 まぁ、現時点では想定してた条件をほとんど満たしてませんからね。

 むしろこれで出てきたのがマーダーラビットだったらそっちの方がビックリですよ。


「ともあれ元々このウサギにもリベンジ予定でしたし――あの時潰された恨み、しっかりとお返ししてあげますよ」


 双剣を構えると、Gラビットが動き始めました。


『バトルスタート!』

『相変わらず突っ込んでくるだけだな』

『てか前の戦いで思ったんだけど、Gラビットって実は攻撃パターン少なくね?』


 そうなんですよね。リスナーさんの言う通り、最初のフィールドのボスということもあってかGラビットの攻撃パターンはそれほど多くありません。

 まずは前回も最初から使ってきたどっすんどっすんと突っ込んでくる体当たり。

 次に私にとどめを刺した大ジャンプからの押し潰し。

 接近戦で偶に使ってくる後ろ足でのキック。

 そしてHPが減ってからの突進。この4つしかないんですよ。

 基本的にモンスターは攻撃モーションが決まっているので、動きを見ればどの攻撃が来るか分かります。動きが分かれば隙を突いて攻撃も容易でしょう。敵の動き、つまりモーションからの攻撃予測はアクションゲームの基本です。

 Gラビットは攻撃パターンが少なくモーションも分かりやすいので、冷静に動きを見て対処すればちゃんと勝てるようにできているわけです。


「よっ、ほっ、そいっ」


 体当たりを躱しながら攻撃し、大ジャンプ後の硬直を狙って切りつけ、キックを受け流して反撃し――


「おっと、来ましたね」


 そしてHPが減ったGラビットが、例の突進攻撃を使ってくるようになりました。

 前回は突進中に攻撃して逆に吹っ飛ばされる結果になりましたが、今回はちゃんと対策を考えてあります。


「――《ステップ》」


 突っ込んでくるGラビットに対して、《ステップ》を使ってギリギリで回避しつつ、すれ違いざまにそっと剣の刃を当てて滑らせると、側面一直線に赤い光……切り傷エフェクトが発生してHPが削れました。対してこちらのダメージはゼロ。

 実験は成功のようですね。

 ポイントはダメージを意識せずにあくまでも〈受け流し〉として対応すること。

 攻撃扱いだと筋力判定になってしまいますからね。〈受け流し〉をメインにすることで技量判定にしてしまえばいいわけです。

 与えたダメージはほんの僅かでしたが、そこは別に問題無し。ダメージを稼ぎたいなら他の行動をしてる時を狙えばいいですしね。

 そんなわけで突進攻撃を適当にいなしながらダメージを重ねることしばし。


「そいっ! そいっ! 《ツインスラ――おや?」


 どうやら今の攻撃でHPを削りきったらしく、Gラビットが全身を弛緩させて地に沈みました。


『あ、倒した』

『おめでとー』

『意外と呆気なかったな』


「元々リベンジのためにレベルも上げてましたしね」


 あとはやっぱり1回戦って行動パターンが把握できてたっていうのも大きいですね。

 最初に戦うチュートリアル的なボスですし、ちゃんとレベリングをして対策を練れば普通に勝てるっていう程度の強さに設定されているんでしょう。

 ともあれ無事にGラビットへのリベンジは成功させたので、次は本命のマーダーラビットです。

 とりあえず夜になるまでひたすらにウサギ狩り。

 条件が討伐数なのかドロップ品の数なのかは分かりませんけど、どちらにせよ片っ端からラビットを狩ってしまえば問題無いでしょう。

 ヒャッハー! ウサギは皆殺しだァー!!

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