1-12 死に戻り
………は!
気がつくと、私は赤い光の輪を出しながら見覚えのある広場に立っていました。
▶アリーシアは死亡したため、所持金が半減します
▶死亡ペナルティーで一定時間ステータスが半減します
ここは……グラスランナーの集落にある広場ですね。
結構良い感じに戦えてたと思ったんですけど……最後のあれ……というか今も感じているこの謎の倦怠感はいったい……?
戦ってる最中よりは多少マシにはなりましたけど、ひょっとして何かのデバフでも喰らったんでしょうか?
原因究明のため、メニューをちょいちょいと操作。
えーっと、このステータスが下がってるのはデスペナの影響で……それ以外におかしなところは…………あっ。
目に留まったのは、とあるゲージ。
「満腹度……。完全に忘れてましたね」
『死因:餓死w』
『いや直接の死因はウサギからの圧死だろ』
『アリーシアちゃん僕の顔をお食べよ』
満腹度。その名の通り、ゲーム内で物を食べると上昇するパラメーターで、これが低下すると空腹状態になり、全ての行動に大きな制限がかかる値です。
「つまり、あの戦闘中に急に体が動かなくなったのは満腹度が空になったのが原因というわけですか……」
そういえばこのゲームを始めてから1度も物を食べてませんでしたね。
最近やってたゲームはそういうのが無いやつばっかりだったんで、すっかり頭から抜けてました。
ちなみに満腹度を回復する方法はとても簡単。要するにお腹が空いてるだけなので、何かを食べればいいわけです。そう、食べればいいんですけど……。
「食べ物が無い……」
インベントリにはウサギ肉が入っていますけど、どうもこのゲームでは肉系アイテムは何かしらの調理をしなければ空腹回復アイテムとして認識されないらしく、そのまま食べようとしても食欲が減衰する感覚がして口の中に入れることができないっぽいです。
『いやしれっと生肉食おうとすんなwww』
『ワイルド過ぎる』
『アリーシアちゃん女の子としてそれはちょっとどうかと思うの』
やっぱり駄目ですかそうですか。
「……まぁ某ローグライクゲーみたいにHPが減るわけでもないですし、とりあえずこのまま冒険者ギルドに行きましょうか」
町中なら多少行動に制限がかかっても問題ありませんしね。
というわけで、重い身体を引きずって冒険者ギルドへと向かいます。
「どーも……クエストの達成報告に来ました……」
「おう、ってか大丈夫か? なんかすげぇ体調悪そうだけど」
ギルドに入った途端、ギルド長から心配される私。
「あー、いえ、大丈夫です。ちょっと満腹度ゲージが空になってるだけなので、全然問題無いですよ」
「いや、それのどこが大丈夫なんだよ」
呆れた顔でそう言ったギルド長が、何かをこちらに放ってきました。
キャッチしてみると、なにやら油紙に包まれた四角い物体?
「これは……?」
「携帯食料だよ。婆さんの店でも売ってただろ」
そういえば商品リストに載ってましたっけ。
あの時は名前しか確認しませんでしたけど、こんな見た目だったんですね。
せっかく頂いたので、有り難く頂戴しましょう。
「いただきます」
うーん、もそもそしてて味も微妙。喩えるなら固めたおから。食べれないほど不味くはないけど、少なくとも常食したいほどの味ではありませんね。
なんとか全部食べ終わると、ずっと感じていた倦怠感が無くなりました。ステータスを確認すると満腹度が2割くらい回復してます。
これで2割……。満腹度を満タンにするにはこれをあと4つも食べなきゃいけないんですか……。
「そんな顔しなくても宿に泊まれば飯くらい出るぞ」
あ、そういえば宿屋に泊まってログアウトすると時間経過でHPとMP、満腹度が回復する仕様になっているんでしたっけ。
元々クエスト報告が終わったらログアウトする予定でしたし、これはいいことを聞きました。
「ありがとうございます。早速宿に行ってみますね」
月光草の納品を済ませ、宿屋の看板が付いたテントへと移動。入口にいた店員らしき人に代金を払って中のベッドへ倒れ込みます。
「それじゃあみなさん、次の配信で」
ログアウト。




