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1-0 プロローグ

お焚き上げ投稿開始。

 7月も中旬を過ぎたある夏の日。


 ピンポーン、と響いたチャイムの音に、私は見ていたウェブページから顔を上げました。

 ドアホンとリンクさせた携帯端末で確認すると、そこには荷物を抱えた配達員さんの姿が。


「ふっふっふ。来た、ついに来ましたよ!」


 跳ねるように廊下を移動して玄関に向かい――っと、人前に出るんですから気を落ち着けないと。びーくーるびーくーる。


「暑い中お疲れさまです」


 ドアを開け、その向こうにいた配達員のお兄さんに笑顔で対応。

 いやー、待ってた荷物を持ってきてくれたので笑顔も2割増しですよ。


「――え、あ、こちらお荷物になります。ご利用ありがとうございましたっ」


 何故か一瞬驚いたような顔をしたお兄さんでしたが、私が荷物を受け取ると、来た時より少しだけ嬉しそうな声色でそう告げ立ち去っていきました。

 その背中を見送り、ドアを閉めて鍵を掛けてから、荷物を抱えた私は足取り軽く自室へと向かいます。


「おお……。こ、これが第4世代のVRヘッド……!」


 自室で荷物を開封し、まず取り出したのはスタイリッシュなデザインのヘルメット。

 『第4世代没入型VRヘッドセット』。現時点では医療分野など一部の分野でのみ使われている最新式のVR機器で、一般販売されている第3世代までの機種では不可能だった『嗅覚』や『味覚』の完全再現、『視覚』や『聴覚』、『触覚』といった感覚についてもより鮮明な再現に成功した機種らしい。

 もはや『五感』全てが現実と遜色ないレベルで表現可能だと言われており、この世代の機種をもって『VR』は完成とされるだろう―――と。そんな風に専門家の人達が、口を揃えて言うほどの製品なのだとか。

 ちなみに金額的にはハイエンドなパソコンがセットで買えてしまうような価格とも言われていて、正直普通の大学生である私ではまず手が出ない代物です。


「そしてこれが噂の『Eresia Online』ですか」


 クオリティの高いゲームを作ることに定評のあるトップハント社から今月頭に発売された最新のMMORPG。

 発売前からテレビやネット、雑誌の広告など様々なメディアで取り上げられたこともあって、公式での抽選が発表された当初は応募が殺到しすぎてサーバーがダウンする騒ぎになったのだとか。

 かくいう私もPCの前に貼り付いてF5連打をしたものの結局予約は取れず、その後いくつかの店舗で予約抽選に応募して全滅したという過去があります。


「京子さんには感謝しなきゃいけませんね」


 妙な条件付きとはいえ数量限定販売のため次の生産分までは入手は困難というかほぼ不可能とも言われていたソフトを入手してくれた叔母の顔を思い浮かべつつ、私はゲームソフトをパソコンに入れてインストールを開始。


「さて、インストールが終わるまでの間に色々準備をしておきましょうか」


 パソコンはインストール中なので携帯端末から公式サイトを開いて、っと。


 VRMMO『Eresia Online』。

 大型サーバーセンターによるクラウド方式一括演算処理を採用することにより、それこそ路傍に生える草の揺れにすら物理演算を掛けるというレベルで世界を再現するに至った、前代未聞のビッグタイトル。

 ゲーム的にはオーソドックスな中世ファンタジーRPGで、剣や魔法、弓などで魔物達と戦うの以外にも、鍛冶や裁縫、木工に料理といった生産活動をしたり、釣りやキャンプを楽しんだり、土地を買って農業や畜産をしたりと、種族・職業・スキルを組み合わせることであらゆるプレイスタイルが実現可能とのこと。

 ホームページに書かれているキャッチコピーは――


「『ファンタジーな世界で第2の人生を』。いいですね。夢が膨らみますね」


 さて、それはそうとしてやることをやっていきましょう。


 まずはVR機器の初期設定。

 と言っても、これはパソコンに繋ぎさえすれば後は自動的にダウンロードやインストールをやってくれるのでOK。


 次にゲーム内通貨の購入。

 これについては京子さんが出した条件のために必要な分だけ購入しておきます。

 ちなみにここでかかった費用については京子さんが後で補填してくれるそうです。私は別にいいって言ったんですけどね。


「……これでよし。あ、インストール終わったみたいですね」


 そうこうしている間にインストールが終わったので、私は早速ベッドに移動。

 VRギアを装着し、違和感が無いのを確認してから横になります。


「えーっと、電源ボタンは……っと」


 側面にある電源に軽くタッチすると、ふわっと体が浮くような感覚と共に意識が身体から切り離され――


 私は電脳世界へと旅立ったのでした。

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