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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

また会えたら 〜魔法ランクと勤勉ランクEだけど、総合ランクAです〜

作者: 桐山 要

「テストダルいぃ〜」


放課後。俺、ザードリはEクラスの教室に置いてあるボロボロで、チンケな机に突っ伏しながら、明日あるテストに対して嘆いていた。


「まあまあ。落ち着けって。俺だってあんまり勉強してないんあだからさ。お互い様だろ?」


俺を労うようにして肩に手を置くユイガ。お前は勉強しなくてもトップ10に入れるからいいんだよ。

 まあ、こいつは自身のスキルを使って心を読むことができるから実質カンニングができるんだよなぁ。本当に羨ましいよ。


「なこと言っても、お前、魔法とテストの成績以外は全部Aじゃん」

「さらっと心を読むな!全く。とはいえ、この学校はトータルバランスの良さで決めるからな。魔法と勉強成績が悪い俺は、上位に食い込めない」


そう、この時代の学校ではスキル。魔法。勉学。身体能力。技術。応用力のこの6つで評価を付けていく。そしてそれを合計して出されるのが、総合評価である。

 そして総合評価。ユイガはC。俺は、Aだった。

 とはいえ最近は全体のバランスがいい生徒を求めているのが現状だった。そう、俺がいい例である。


「やっぱり、Aクラスの人達は凄いよ。俺みたいにどこかずば抜けているわけじゃない。どこにも弱点がないんだ」

「ま、スキルと身体能力。それと技術と応用力なら、お前はAクラス以上だと、俺は思っているよ」


そう励ましてくれるユイガが、いつもよりも輝いて見えた。流石は女子にモテモテのユイガ君である。


「今、なんか言ったか?」

「い、いや〜。何も知ってないよ〜」


どうやら、女たらしと言ってはいけないらしい。ユイガは、殺意をむき出しにして、俺を睨んだ。


「で、ザードリ。お前はどうする?帰って寮で一緒に勉強するか?」

「そうだな。テスト勉強しておくか」


そうして、俺達は一緒に使っている学園支給の寮へ向かうのだった。



「今日の授業はつまんなかったよな〜」


と、人気がなく、光もない夜の道でそんな事を呟くユイガ。


「ああ。まさか、マール先生がみんなで仕掛けたトラップを全部回避するなんて」


クラスの男子生徒が仕掛けたトラップは計86個。それをあの男は、すべてを見透かしたように回避していったのだ。 

 まあ、格下の相手には何をしてもいいと、ルールには書いてあったから、Fランクの先生がそんな目にあっても仕方がないか。 


「お、おい。あれって」


ユイガが口を震わせ、指をプルプルさせながらも指した場所には、傷ついた少女と、そいつをいたぶる先生がいた。少女は何度も蹴られ、骨が折れている様子だった。

 しかし、マールは辞める気配がなかった。ドスッ。ボコッ。など、皆は聞きたくないであろう音がその場に響き渡る。


「や、やめろぉぉぉぉ!」


正義感溢れるユイガはそいつに向かって蹴りを放つが、片手で難なく止められ、そのままふっとばされた。

 ゴホッ。と、血反吐を吐くユイガ。やっぱり、身体能力がFランクでは、太刀打ちできないか。

 そう思った俺はユイガの前に立ち、挑発の意思を交えて手招きをする。


「ほう?Eクラスでもこんな仁義溢れた生徒がいたのか。なら」


そう言って、そいつは俺の目の前に現れて俺にその強烈な一撃を食らわせた。

 一歩後退り、崩れた体制を整える。


「私に対するいたずらも、止めてくれればよかったのにねぇ?」

「仕方がないだろ。俺は常に、寝てばっかの生徒でね。アンタのいたずらなんぞ、見れるわけがねぇんだよ!」


回し蹴りを放ち、そのままその勢いを応用したアッパーをお見舞いする。

 ドカッ。と、手応えを感じられる音が鳴る。そのまま、俺は畳み掛けるようにして殴打する。

 そして殴打を終えた時には、奴は虫の息だった。

 やりすぎたか?と少し罪悪感が募ったが、いや、お前もやってたしいいか?といって、自分を正当化した。


「ありえない。あり得ないあり得ないあり得ないぃ!」


次の瞬間だった。背中に強烈な痛みが走り、顔から一気に地面に激突する。

 何が起こった?そう思った俺は奴の姿を確認する。すると、そこには禍々しい雰囲気をまとった奴がいた。

 そいつは頭から血が流れるまで頭を掻いきながら、ぶつぶつと呪言のような事を言っている。


「それ見たことか!やっぱり、あの方から授かった力は素晴らしい!」


なるほど。ようやく納得したぜ。どうりこいつが、俺と渡り合えるほどの実力を手に入れたわけだ。

 グリグリと、靴で俺を踏みにじるマール。それでいい。追い込め。俺を。追い込んでみろ。それが、お前の敗因になる。

 何度も踏みにじられ、骨も何本も折れている俺は意識が朦朧とする中、スキルを発動するのだった。




 一瞬だった。俺とマールの決着がついてしまった。理由は簡単。俺がスキルを使ったから。


「ありえないぃぃ!」


半狂乱で叫ぶマール。しかし、俺はそれでも容赦はしない。

 俺は、失敗は二度と繰り返さない人間だから。


「格下相手には何をしてもいいというルールを知っているな?」

「あ、ああぁ。あぁぁあ」


今度は嘆き始めるマール。面倒臭いといったらありゃしない。


「だから、俺は格下であるお前を殺す。いいな?」

「い、いやだぁ!死んで、たまるかぁ!」


飛びかかって襲おうとする愚か者に、俺は人生のピリオドを付けてやることにしたのだった。





 テストが終わり、テスト返却となった日。マールではない新任の先生、コロニアル・エデスが俺たちの担任につくことになった。エデスから聞いた話なんだが、どうやら、先生はリベレイションの幹部に殺されたらしい。

 まあ、殺したのは俺なんだがな。

 そして、時間はあっという間に過ぎていき、テストがすべて返ってきた。

 放課後、誰もいないことを確認した俺は、息を大きく吸って、叫んだ。


「どぉぉぉおしてだよぉぉぉぉぉぉ!」


結果は500点満点中120点。評価はがEになることが確定した。

 俺の人生最悪の1日である。

 昔からシリーズ化してみたいと思っていた作品です。自身が作った中でも1位2位をあらそうぐらいよく作れている作品だと思っております。

 評価していただけると幸いです!

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