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魔王転生~勇者を求めて、魔王は旅をする~  作者: 壱田一
第2章 文明発掘鉱山/カイニ
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第2章第20話 決戦当日②


ガキィン、ザン!


「ぐあっ!」


「護衛を抜けた!べオ、先に行け!」


フジの黒雷が、ハンニバル護衛軍を纏めて吹き飛ばし、大きな穴が開く。

そこをべオは杖を片手に突き進む。

もはや混沌としたこの場所で援護射撃は意味をなさない。

求められているのは射手ではなく魔弾。死をいとわぬどす黒い殺意。


「…来たか」


ハンニバルは大剣を抜き放ち、べオを迎えた。


黄金の結界が足元に広がり周囲の風景が閉ざされる。


「…決闘魔法陣!」


べオが足を止めた一瞬、首元に大剣が振り下ろされる。

右耳に熱いものを感じた瞬間、べオは全身を大きく回し地面に転がった。


続けて何度も振り下ろされる大剣を避けて避けて避ける。キリがない。一旦距離を置こうとべオは後ろに跳んだ。


「つまらんな。その程度の力で我を殺せるとでも思ったのか?」


「はい、あなたなら僕一人で十分だと!」


「…ふっ、ならば証明してみろ!言葉ではらちが明かんからな!」


ーーー集中しろ。僕の中に巡る魔力、あの日オルトロスが残した魔力を、纏う。

黒い霧がべオの周囲に現れ、彼にまとわりついていく。


「…小僧、貴様は何者なのだ!?」


・・・決まっている。僕は、インディゴ師匠の一番弟子、べオだ!





「カイニ攻防戦も黎明を超えました。

はてさて、この世界はどの方向へと転がって往くのでしょうかな?それはこの盤上遊戯の様に容易いものなのでしょうか。ほら、こうやって持ち上げて動かすだけで…王手。私の勝ちです。」


カイニ玉座。


無人の大聖堂には奇妙に嘲笑を含んだ声だけが反響する。彼が話しながらに、パチパチと駒を置いては楽しむ様子も耳越しにわかる。


奇妙なメイクを施した白髪の男の前には、玉座がただ佇むばかり。

誰もいない。ーーー否、それらは常にそこにいた。


声にならぬ声がただ風となって男の髪を揺らした。

歴代のカイニ王たちの怨念は、塵の吹き溜まりとしてでしか意味を成しておらず、ただただじっとりとした視線のみが語りかけてくる。


悲しみが、無念が、怒りが、やるせなさは、誰にも届くことは無い。


愉快そうに声低く笑う。男はただただその嘆きを楽しんでいる。

男の一人遊びのつまみとしてしか、存在意義が存在しない。


パチンッ!


「…あーあ、また消えちゃった。そんなに僕の邪魔をして楽しいんですかぁ?」


「…さすがに目に余った。ペルセウス様から頂戴した使命に手を付ける様子もなく、残留思念を弄ぶだけのことに時間を弄するとは。見損なったぞ、友情のシャルエル」


「いつものことでしょう?それを言うならあなたは厳しすぎるんだ。ユーモア無くして世界は成り立たない、働きと休息は常にトントンがちょうどいいのよ?ねえ、規制のラヴォティエル」


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