第1章第16話 反乱戦争・破
遅れてすみません!
私事が忙しかったのもあって、投稿できませんでした。
これからは投稿ペースが遅れ気味になるかもしれません。
最後まで付き合っていただければ嬉しいです!
インディゴは城の階段を駆け上がる。
応接室の扉が開いており、国王が居ることを示す王冠が置いてあった。
「アッシュ!」
扉に手をかけ中に入る。
そこではアッシュとその従者たちが食事をとっていた。
だが違うのは皆、戦鎧に着替えている。
「…インディゴよ、そんなに焦ってどうした。儂はここにいるぞ。」
「アッシュ…お前、まさか」
「…先ほど連絡があってな、
精鋭軍が撤退したそうだ。
反乱軍は残り21万だが
頭である勇者ガインを失って草原で停滞しているらしい。」
「それは吉報だが、ならば何故その恰好を?
わざわざ死にに行くわけでもあるまいし。」
「…何…ちょっとした覚悟というやつだ。
それに国民は皆こういったものが大好きな物なのでね。」
「…詭弁だな。ならその剣は何のために研いである?」
「おっと、目聡いな。
…そうそう!それよりも、勇者ガインを沈めた者を知っているか?」
「…は?知るわけないだろ。
すっとお前のお使いでひーこら駆け回っているというのに。」
「べオだ。」
「…はあ?」
「何だ信じられんのかね?
素晴らしい働きだ、かの『絶対防御』の勇者ガインを昇天させてしまうとは!」
「…勇者オタクが出ているぞ。」
「構わんよ!それほどの働きだ!
む…入り給え、扉の向こうの者よ。」
「は、失礼いたします。」
そう言って入ってきたのはスカーレットだった。
真っ赤な髪に似合う紫紺のドレスを纏っている。
「…お忙しいところ御時間頂き感謝しております。
大森林獣人族総長ウォンガ・ヌルガン様を最後に
来賓の皆様が全員到着なされました。
これにて一日目の予定は終了になります。」
「うむ、引き続き護衛を頼む。それと…。」
アッシュは髭をいじった。
何か考えている顔だ。
「インディゴよ、大臣の護衛を頼む。」
「「…はあっ!?」」
二人そろって頓狂な声を上げる。
その裏返った声は正に姉妹というべきか
驚くほどそっくりであった。
「いやアッシュ…いえ、国王様それは…」
スカーレットの前であることを意識してか
インディゴは敬語に直した。
「……。」
スカーレットは少しイラっとしたようだ。
「くははっ!…なに、インディゴよお前が渡したいものはこれであろう。」
少し吹き出し、アッシュは手に持った手紙の束をインディゴに見せた。
「なっ、それは!?」
インディゴはポケットを探り愕然とする。
「…おま、アッシュ様いつのまにそれを…。」
「これで用は済んだはずだ、ほれ去れ去れ。」
アッシュはインディゴに手を振る。
「大臣もご苦労であった、残り二日もよろしく頼むぞ。」
「…はい。仰せのままに。」
言葉をぐっと堪えスカーレットは会釈をする。
「…行くわよ、”魔王インディゴ”。」
「…ええ、”スカーレット大臣殿”。」
きっ、と睨み合い、二人は出て行く。
後ろからアッシュの笑い声が響いてきた。
交わす言葉もなく黙々と二人は廊下を歩く。
「なあ…スカーレット。」
最初に口を開いたのはインディゴであった。
「…何でガーベラに味方したのだ?
ここエルドラドで反乱など、敵わぬ夢だと言う事は分かるだろう?
それだというのになぜ…。」
「…うるさい!」
スカーレットは立ち止まりインディゴの肩を掴む。
「あんたは私がいつまでも子供のままだと思っているの!?
いつだって私を遠ざけて、遠ざけて、遠ざけて!
ふざけないでよ!私だってあなたの…!」
スカーレットの目から涙が零れる。
スカーレットが最も嫌悪していた感情、言葉が溢れる。
「…お姉ちゃんの役に立ちたかった…!」
「…そうか。そうだったのか…。」
脳裏に過去の記憶が、若かったころのスカーレットの顔が映る。思えば、
彼女は常にインディゴを見ていた。
インディゴはただ傷付いてほしくなかったのだ。自分とは違う、暖かな場所で愛されて、幸せな家族を、絆を持ってほしかった。
インディゴはスカーレットを抱きしめる。
「…すまない、すまなかった。
誰よりもお前を思うあまり、何よりも酷い事をしてしまっていた。
…ごめん、許して…くれるか?」
スカーレットはインディゴを抱きしめ返した。
「…う”ん…許してあげる…っ…。」
共に膝をつき、深く抱きしめ合う。
「うむ、素晴らしい喜劇ですな。」
突如、湿った廊下に光が射す。
逆光がまるで陽炎のようにゴッフェの姿を照らした。
「あぁ~悲しいかな、ガーベラ様に命じられたので。
死んでもらいますぞ、インディゴ様。」
ゴッフェの手が白色に輝く。
「光魔法『アウルドラ』。」
ゴッフェの手から放たれた白色のレーザーが五本、インディゴに迫り来る。
「…ぬ?」
だが、突如現れた血の渦にレーザーはすべて吸い取られた。
「どうよ、私だって強くなったでしょ?お姉ちゃん。」
スカーレットが手をかざしていた。
「…裏切るか、スカーレット大臣殿?」
「当然!馬鹿姉に言いたいこと言えてすっきりしたからね!
今のあんたたちに従う義理もないわ!」
「…残念、今の貴方でしたらガーベラ様のお気に入りに成れたでしょうに。」
「はっ、あたしに老人趣味は無いわよ!」
スカーレットの手が真っ赤に染まった。
「泥血魔法『極獄の三針』!」
スカーレットの周りに、三つの巨大な剣が浮かび上がる。
「針…?」
インディゴは疑問を口に出さざるを得なかった。
「…喰らえ!」
ゴッフェに向かって鋭く剣が放たれる。
「 魔法。『 』。」
ゴッフェが短く唱えると、剣は全て空中で消えた。
「「なに!?」」
「重力魔法『宇宙円舞』。」
ゴッフェを中心に衝撃波が放たれ、廊下を破壊する。
インディゴとスカーレットは廊下ごと空中に投げ出された。
「くそっ!!スカーレット、無事か!?」
「大丈夫!この程度じゃ負けない!」
インディゴが下を向いたその瞬間。
ドゴオッ!!!!
エルドラドの城壁が破壊された。
同時に4つ、巨大な穴が開き
その中に4体のオルトロスが入り込む。
足が巨大なオルトロス、
腕が巨大なオルトロス、
翼が生えたオルトロス、
そして人間の形をしたオルトロス。
「馬鹿な!こんなものっ、どこから手を付ければ!?」
「いえ、それは違いますな。」
光の輪が飛んできて、インディゴとスカーレットを空中で拘束した。
「あなた達はすべてが終わるまで…ここ、観客席で見てもらうのですぞ。」
空中に立ち、ゴッフェは言い放つ。
「ゴッフェ…貴様!」
***
「まったく…あやつの趣味は最悪だな。」
アッシュは勇者時代の剣を抜きながらため息をつく。
「あがっ…うう”…。」
アッシュの前には、血塗れで操られているレドールがいた。
「待っていろ、息子よ。
今…解放してやる。」




