第1章第5話 ダンジョンにて②
かなりのグロを含みます。
苦手な方は注意してください。
「っうわあ!」
べオは落下していた。
下には泥沼が広がる。
「ぬんっ!!」
手から炎を出し、勢いを殺す。
だが、それでも勢いを殺しきれず、
べオは背中から落ちる形となった。
全身に泥がこびりつく。
「痛たた…レドール君は…。」
立ち上がり、周りを見渡す。
周囲は葦に囲まれており、少し先に岸が見える。
べオはナイフで葦を切りながら岸に向かった。
こつ、と足に何かがあたる。
だがどこかに流れていったのか、それの姿は見えなかった。
「ん?なんだ…?」
最後の葦を切り、べオは岸に乗る。
岸の先には、岩でできた城があった。
城の周りも沼に囲まれており、
一本だけ木の架け橋がある。
そこでべオは異変に気付く。
死体だ。
100や200では数え切れないほどのゴブリンの死体が
そこらに浮かんでいる。
「うっ…臭いが…。」
べオは袖で、鼻と口を覆いながら移動する。
行く道中では、オーク、ゴブリン、トロル、
などの亜人系のモンスターの死骸が転がっていた。
「…このモンスター達が本来のダンジョンの守り手なのか?
だとしたら、こいつらを屠ったのが待ち構えているはず…。」
がさがさと、茂みが揺れる。
「…!誰だ!」
べオは炎魔法を構えながら言う。
「待って…待ってくれ!
俺はただ、ここから逃げたいだけなんだ!
お願いします、助けてくださいぃぃ~~!!」
茂みの中から現れたのは、エルドラドの兵士だった。
だがレドール達とは違う一般の兵だろう。
醜く泣きながら、足に縋り付いてくる。
「うわっやめて!離してください!
いいから、赤い軍服の少年はここを通りましたか?」
「…言えば、助けて、く…くれるんで…?」
「知っているならば、の話です。
早く言ってください。」
「へ、へい!
あの城の中に入っていきました!
お供の兵士も一緒に!」
「よし!
出られる術はその少年が持っています!
あなたは待ってていてください!」
「あの…あなたが最後に入ったんですか?」
「…?はい。そうですけど…。」
「…だったらお願いします!俺も連れて行ってください!
あなたが死んだら、…俺だってもうお終いなんですよぉぉ~!
だの”み”ま”す”~~~~!!!!!!」
更に泣いてべオの足に縋り付く。
その時、城の方から男の悲鳴が聞こえた。
「だったら早くついてきてください!
もう猶予はありません!」
べオは駆けだす。
兵士も四つん這いになりながら、やっとの体で走り出した。
…城の城門は開いており、血が点々と床についている。
おそらくクレマンの血だろう。
血の量だけで言えば、もういつ死んでもおかしくない。
奥の方から何かが潰れる音が聞こえてきた。
ヒュッ!と音が鳴り、城の奥から兵士の死体が飛んできた。
レドールの護衛だ。
頭を潰されており、全身がぐちゃぐちゃになっている。
「くそ!急がないと!」
べオは奥に向かってさらに速く走る。
そこでは、剣を構えながら後退するレドールと護衛兵、
奥に横たわっている血まみれのクレマン、
そして目を爛々と輝かせながら、
威嚇を続ける奇妙な蛭がいた。
その蛭は全身から触手が生えており、
常に開いた口から酸を垂れ流している。
目はなく、15mはあるその巨大な体で天井に張り付いていた。
syurorororororororororororoororororororo…、
と音を鳴らす。
レドールがべオに気付いて振り返る。
「べオ!来たか!
君の魔法が要る!剣が通じないんだ!」
後ろから男が近づいてくる。
「うん、わかった!
…炎の神ダレイオスよ…汝の火花を」
べオが詠唱を唱え始めた。
だが、後ろの男に気付いたレドールが叫ぶ。
「べオ!!そいつから離れろ!!!」
「今、ここに借り…え?」
兵士がべオの背中にぶつかる。
「ごほっ…がっ…?!」
べオの腹から、剣が飛び出ていた。
べオは倒れる。
兵士は剣を引き抜き、蛭に向かって叫んだ。
「眷属様!やりましたよ!
早く、俺をここから出してくだせえ!」
syurururururuururururururuurururur…
蛭が何かを呟く。
ぐじゅ
兵士の腹から蛭の子供が飛び出た。
どぼどぼ、と音を立て
兵士の腹から腸と蛭の卵の殻が、混ざり合いながら零れ落ちる。
「?…ぐぼえええ…!?
何故、俺を…?」
兵士も後ろに倒れる。
「べオ!」
レドールの叫びが響く。
そして無情にも、
蛭はレドールに襲い掛かった。
じゅううううう…
音を立て、レドールの左腕が溶ける。
「レドール様!」
護衛騎士がレドールを突き飛ばす。
そのまま騎士は蛭に押し潰され、
赤黒い破片が部屋中に飛び散った。
部屋の中を動くのは、蛭だけであった。




