本土からの襲来(後編)
椎名「はあーーあ」
オキノ「なによ」
オキノと椎名は椎名のアパートで、焼肉の準備をしている。
椎名「ホントだったらよー。 外で焼き肉食えたのに… なーにが、おごってあげるだよ」
オキノ「うるさいわねー。 飲まれるのは仕方ないでしょ」
椎名「いやいや、20箱出しておいて、残り3箱とか、ふつうねーからな」
オキノ「何よ。 自分だって、プラスは2箱のクセに」
椎名「俺はコツコツためて、最終的に2箱プラスにしたのー。 だから、実質大勝利。 お前はめちゃくちゃ出したけど、その後大飲まれしてるから、実質大負けなんだよ」
オキノ「何よ。 その屁理屈は… あーやだやだ。 ギャンブル脳は、単純な収支計算もできないんだから」
言い合いながらも、てきぱきと、お肉や野菜ホットプレートを準備していく。
???「温めますか?」
椎名「おう、頼むわ」
オキノ「まあ、それでもいいお肉だから美味しいよ」
椎名「まあ、そうだな。 あ、タレは中辛でいいか?」
???「はい」
オキノ「私も―」
椎名「さあ、まずはタンからだー… やべー ポッカレモンあったか?」
???「ありますよー」
椎名「でかした」
ホットプレートの上にタンが並べられる。
オキノ「うーーーん。 いい匂い」
椎名「というか? お前ら飯食えるの?」
???「メイショは飲食可能ですよ。 むしろそれによって、食レポスキルなどが上がるんです」
椎名「へー、そうなんだ」
オキノ「まったく、椎名もこの人みたいに少しは勉強しろよな」
椎名「はは、まあ、明日からな…ところで」
椎名オキノ「誰?」
椎名とオキノは先ほどから食卓に混ざっている人物を指さす。
オキノ「椎名の知り合いじゃないの?」
椎名「知らねーよ… お前の知り合いじゃないのか?」
その人物はタンを皿に取って、ポッカレモンにちょんちょんと付けてから口に運ぶ。
その後、白米をひとつかみ頬張り、しばし咀嚼する。
???「つれないですねぇ… 椎名先輩… 私を忘れたんですか?」
というと、その人物は、髪を後ろで結び、メガネをかける。
椎名「三島かぁ。 どうしたんだ?」
三島「気付いてくださいよ。 はぁ… 昔からニブイとは思ってましたが…これほどとは…」
オキノ「だれー? 彼女さん?」
三島「それはないですね。 この人女っ気皆無ですから」
椎名「うるせー」
オキノ「やっぱりそうか」
椎名「納得すんな」
オキノ「でも、そのちょい悪系のオジサンのナリで女っ気もないって… めっちゃ残念な人じゃない」
椎名「う…」
三島「あーーー。 一応こんなでも、元先輩なのでフォローすると… モテない訳じゃなかったんですよ… 昔は… まあ、仕事にストイックで近寄りがたかったんですよ」
椎名「三島あああ… お前イイやつだなぁ」
椎名が三島に抱き着こうとするが、避けられる。
勢いがついた、椎名は壁に激突する。
三島「まあ、今はこんなですけど… 昔はコンサル業界じゃ、結構名の知れた人だったんですよ」
オキノ「ふううん」
三島「驚かないんですか?」
オキノ「まあね… ダメ人間だけど、デキル予感はしてたから」
三島「ほう…」
玄関が開く。
イズモ「お邪魔します」
イワミ「わーー、いい匂い」
ナリスナ「イワミ、靴は脱ぎなさい」
イワミ「はーーい」
三島「遅かったじゃない」
イズモ「ごめんなさいね。 なんかメダルが止まらなくて…」
イワミ「そうそう、山盛りだったんだぜ」
三島「まあ、そういうことだと思ったけど…」
イズモ「さて… この人が椎名さん…でしたっけ?」
三島「ええ、そうよ」
イズモ「…なるほど」
椎名「なんだお前、人を品定めする様な目で見やがって」
イズモ「イワミさん。 挑んでみる?」
イワミ「え、いいのか?」
イズモ「ええ、ちょうどイイと思うわ」
オキノ「ちょっと、待ちなよおばさん…いきなりきて偉そうだな」
イズモ「…偉そうじゃなくて…偉いのよ」
イズモはオキノを睨み付ける。
オキノ(な…なんだこのプレッシャー… う、動けない)
三島「椎名さん…まだ、戦ったことないでしょ? 私が指導してあげますよ?」
椎名「ああん?」
三島「メイショバトル… 挑みます」
椎名「ほほう… お前が俺に挑むか… 面白れぇ… おいオキノ… やるぞ」
オキノ「マ、マジか?」
椎名「ああ…受けて立つぜ… だが、その前に…」
椎名「まずは肉だ」