本土からの襲来(前編)
メイショッ計画とは、各地の名所を擬人化した実体をもつAIとコンサルタントを中心とした地域振興メンバーとで地域を盛り上げる計画である。
さらに、それを盛り上げる要素として、メイショ対決という要素がある。
メイショ対決は1対1の個人戦あるいは3対3のチーム戦で行われる。
基本的には対戦するメイショと同距離にある地域がランダムに選ばれる。
メイショは様々な方法を用いて、地域住民に呼びかけを行う。
最終的に、ポイントが高い方が勝者となり、メイショランキングがあがるのだ。
戦いは以下の項目で競われる。
・総売り上げ
・訪れた人数
・アンケート
メイショは半月の広報、強化期間を経て戦いに臨むのである。
強化項目は以下のとおりである。
・広報
・インフラ強化
・商品開発
・環境整備
それに
・資金調達 を加えた5つのコマンドから選択していくのである。
オキノ「以上、オキノちゃんの説明コーナーでした」
椎名「へーい」
オキノ「それじゃあ、本編行きましょー」
OPテーマ 「オキノのテーマ」
イカがうまいぞ(うまいぞ)
干すとうまいぞ(うまいぞ)
アワビ ウニ サザエ
美味しいものがいっぱいだ(いっぱいだ)
でもけれど、密漁ダメダメ(ダメダメ)
漁業権がいりますよー(いりますよー)
それさえあれば、無敵です
じゃんじゃん、海に潜りましょー
(サビ)
消えゆく命の灯は
この国の行く末密かに暗示する
ウシもうまいぞ(うまいぞ)
酒もうまいぞ(うまいぞ)
牛肉 タイ お酒
美味しいものがいっぱいだ(いっぱいだ)
でもけれど、泥棒ダメダメ(ダメダメ)
ぎょぎょっと警察動きます
それにつかまると、ごめんです
ぎゃんぎゃん、涙の毎日です
(サビ)
消えゆく命の灯は
この国の行く末密かに暗示する
椎名のアパートは、隠岐の島の中心地近くにある。
基本的にメイショとパートナーのコンサルは同居することになっている。
PPPPP
目覚まし時計がけたたましく鳴り響く
オキノ「うーーーん… 黙れー」バシッ
オキノは目覚まし時計にチョップをかます。
オキノ「うん… あれ? もう9時? あれ? 椎名は? どこだ?」
オキノは部屋中を見渡す。
どこにも椎名の姿はない。
オキノ「椎名― 椎名―」
オキノ「あれ? 昨日… であったよな? なんかいい雰囲気で、握手してーそのあと素潜りでアオリイカとって、帰ってから、それを捌いて食べたような気が…」
オキノ「うーん… まあいいや 散歩行こ!」 ペカ―
一方そのころ、隠岐の島に向かう連絡船の様子
イワミ「よっしゃー、ペカッたー」 ペカッ
ゲームコーナーでスロットを嗜むのは、石見銀山のメイショであるイワミであった。
小麦色の健康的な肌、髪はぼさっとしているが、目鼻立ちはぱっちりとした少女っぽい風貌である。
イワミ「いたっ」ベシッ
イワミをたたくのは琴が浜のメイショであるナリスナである。
白い肌、髪は肩までかかるストレートロング、鋭い目である。
ナリスナ「いつまで遊んでるの? イズモさん待ってるわよ」
イワミ「待ってよ。 あともう一回ジャグ連すれば、景品もらえるんだよー」
ナリスナ「何言ってるのよ。 メイショのくせに、俗っぽすぎるわよ」
イズモ「まあまあ、ナリスナさん。 長旅で退屈していたのでしょう」
ナリスナ「イズモさん」
結われた髪は♡型、着物に身を包んだ出雲大社のメイショ、イズモである。
イワミ「そーなんですよー。 もう退屈でー」
イズモ「…しかし…この程度のゲームで手こずるようでは先が思いやられますわ」
イズモは、コインをベットし、レバーを押す。
トントントンとリズミカルに7を揃える。
軽快な音楽が鳴り響く。
イズモ「さぁ、景品と交換してきなさいな。 特等室で待ってますわ」
ナリスナ(さすがイズモさん… 島根県トップメイショだけあるわ… けど、分からないわ…なぜ、わざわざ隠岐の島に行くのかしら… 本土でもう少し戦ってからでもよいのに)
イズモ「ナリスナさん… 眼が不安を語っていますよ」
ナリスナ「え! …いえ、そんな」ビクッ
イズモ「…これも縁です。 たまたま隠岐の島のパートナーガ先日上陸したのも…たまたま私が本日上陸するのも… 大事にしましょう」
一方そのころ、隠岐の島のパチンコ屋
椎名は先日の決心はどこへ行ったのか、朝からひたすら玉を打ち出していた。
椎名(昨日はなぁ… なんかノリで握手したけど… ぶっちゃけ何をどうしたら… ってか、おっちゃんは熱しにくく冷めやすいんだよなぁ…)
椎名の背後にオキノが忍び寄る。
オキノ「椎名ぁ… 何してんの?」
椎名「うわ、オキノ」
オキノ「GPSで探してみたら、こんなとこで遊んでー」
椎名「いや、まあ、あれだよ。 これはアイディアを出すためのルーティンなんだ」
オキノ「はぁ、何言ってんの?」
椎名「いいか、こう、玉を打ちながら、ひたすら回転数を数えているとだな… 心が無になっていくんだ。 無我の境地ってやつだ。 この時、余計な思考は排除されて、まっさらな心になるんだ。
で、そうこうしていると、色々あって、数字が揃うことがあるんだ。 その時脳内で汁がブシャーっと飛び出して、すっきりするんだなー。 で最終的に玉が山盛りになれば、超ハッピー。
修行にもなるし、お金も手に入る一石二鳥の遊びなんだ」
オキノはゴミを見るような目をした。
椎名「そんな目で見んなよぉぉぉ」
オキノ「…まあ…いいわ。 今日だけ、許してあげる」
椎名「ほんとか?」
オキノ「一箱もらうわよ」
椎名「あ、ああ。 一箱ぐらいなら」
オキノ「…いや、100玉でいっか」
椎名「え」
オキノは椎名のパチンコ玉が入っている箱から無造作に玉を掴むと、適当な台に玉を入れた。
ハンドルを回して玉を打ち出す。
玉は抽選開始のための穴に吸い込まれる。
玉が入った瞬間、台からけたたましい音が響き、虹色に輝く。
オキノ「椎名… 焼肉おごってあげる」
オキノが小悪魔のような笑みを浮かべて椎名を見つめる。
オキノ「その代わり、これ終わったら、仕事してもらうよ」
椎名はオキノの圧に押され、コクコクと頷いた。