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私の最後通牒
私の最後通牒
蟹沢は、いつもより早く出てきたように思えた。なにか用事があるんだろうか。なんにせよ、早くいなくなってくれるならそれに越したことはない。
「枷下くん」
何故か蟹沢は、直ぐには帰らずに入り口で立ち止まった。
「それじゃあ、私たちは待ってるから、あとで来てね」
……は?
思わず変な息が漏れた。
こいつ、今なんて言った?
今まで見てきた限り、蟹沢と悦啓が接触するのはこの喫茶店だけだった。それなのに、店の外で待ち合わせ?
しかも、蟹沢は私「たち」と言った。さも当然のように言っているけれど、悦啓と繋がりを持っている人なんて……あいつしかいないはず。
見たところ、悦啓も戸惑っているようだったけれど、蟹沢はそれには構わず歩き始めた。もしかしたら、半ば強引に言い渡されたのかもしれない。
本当は、ここで悦啓のそばにいるつもりだった。けれども予定変更だ。ここで上手くやることができれば、迫る危険を未来永劫、完全に排除できる。
これで最後だ。終わらせよう。




