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『第一回ドキドキ眷属会議!』

「『第一回ドキドキ眷属会議!』」

「なんですの、突然!?」

 青葉の急な号令に、朱種は目を丸くする。

 対して、青葉はとても真面目な顔で答えを返した。

「はい、実は、ユラ様が今後のことを考えて、我々眷属もより優れた連携を取れるように、お互いの意思疎通が必要だと言われたのです」

 青葉の言葉に、眉を寄せた朱種が首を傾げる。

「それが、そのドキドキ眷属会議ですの?」

 朱種の問いにこくりと頷いた青葉は、やはり真剣な顔で答えた。

「はい、リーダーとして新米の私のために、主様がお考えくださったのです」

「……主様が……ふぅん……そうですのね」

 青葉から、穂乃香の存在をほのめかされただけで、朱種は即座に態度を軟化させる。

 その変化に特に反応を返さない青葉は、与えられた眷属会議司会としての大役に頭がいっぱいだった。

「それで、どのようなことを話し合うのですか、青葉お姉様」

 緊張に表情を硬くしている青葉に、白果が声を掛ける。

「あ、えっと、ですね。最初は自分たちの報告で練習するのが良いと聞いています!}

「あらあら、青葉お姉さま。私に敬語はいりませんよ」

「え……あ、いや……」

 白果の言葉に頷きかけた青葉は、そこで我に返って頭を左右に振った。

「私はこれが普通の話し方なので……」

「そうでしたね」

 青葉の返答に白果はころころと笑う。

「白果と青葉が仲良しでし!」

「何の話をしてるのれす?」

 白果と青葉の様子に興味を刺激された蜜黄と黒華が駆け寄ってきた。

 青葉としては、決して白果と朱種が苦手ということはないものの、長く共にあった二人の参戦は安堵できるようで、ホッと表情を緩ませる。

 そんな青葉の変化に、白果は素直な気持ちを言葉にした。

「その表情は少し妬けますね」

「し、白果」

 そんな白果の言葉に、青葉は恥ずかしさと申し訳なさで頬を染め慌てふためく。

 一方、蜜黄と黒華はいつもの調子で、自分たちの疑問を投げかけた。

「ところで、今日は何の集まりだったのでし?」

「なにか会議と聞いたのれす!」

 蜜黄と黒華の質問に赤面して慌てていた青葉は、一瞬で冷静に戻ると「ああ」と我に返る。

「実は、ユラ様と主様の提案で……」

「姫様でし!?」

「姫しゃまれす!?」

「あ、はい。その……私達も五人になりましたので、お互いを知るべきだと言われまして……」

「確かに、姫様が言うことなら間違いないでし!」

「姫しゃまがお話をしなさいと言ってたということれすね!」

 確信をもって賛成する蜜黄と、穂乃香の意図を汲んだ黒華に、青葉は頷いた。

 そこへ朱種が口を挟む。

「それで、結局何について話しますの?」

 朱種の質問に対して少し申し訳なさそうに、白果へ視線を向けた青葉だが、はっきりと答えを示した。

「実は、それぞれがお供としてついている相手について語るのはどうかと思いまして……」

「なるほど、私は椿について語ればいいのですわね」

 青葉の言葉に朱種は笑みを浮かべて頷く。

「蜜黄は月奈について語るでし!」

「黒華はみどりれすね!」

 自分に続いて、蜜黄と黒華が声を上げたところで、朱種は白果に視線を向けた。

「青葉は奈菜について語るとして、あなたはどうなさいますの?」

「私ですか?」

 朱種に対して、白果はコテンと首を傾げる。

「そうですわ、あなたですわ」

 対して朱種はどこか不機嫌そうに、白果の事だと強調した。

 すると、白果は頬に手を当てて「うーーん」と唸る。

 内心で自分の問いが意地悪なのを自覚しつつも、負け越している自覚もある白果に対して勝利をおさめられそうな気配に、朱種はどう返すのか興味深げな視線を向けた。

 白果は自分に向けられた視線を優雅な笑みで受け止めると、皆が慌てる一言を口にする。

「私はお供がいませんから……主様について語ろうと思います」

「白果、それはズルイでし!!」

「姫しゃまのことなら、黒華もお話したいのれす!」

「ちょっそれはどうなんですの!?」

「え、えっと、それは、なんというかですね……」

 白果は「あらあら」と、一斉に自分に群がってくる面々に、困り顔を見せた後で、一つの提案を口にする。

「それでは、皆で主様について語るというのはどうですか?」

「いいのれす!?」

「賛成でし!!」

「ま、まあ、よろしいんじゃないんですの?」

「私も賛成です」

 こうして第一回眷属会議は、眷属全員で穂乃香を絶賛する場と化したのであった。

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