月奈の変身魔法講座
「どうも、るなです!」
「蜜黄なのでし!」
きょうもゆめのせかいでまほうのれんしゅうをするるなは、穂乃香ちゃんにおしえてもらったことを『おさらい』することにしました。
あ、えっと、ね。
『おさらい』っていうのは、おぼえたことをたしかめるってことだよ。
あかねせんせいとか、ダンスのせんせいとか、よく『おさらい』はだいじだよっていいます。
るなも、そうだなぁっておもうので、蜜黄とたしかめることにしたよ!
「じゃあ、きょうはへんしんまほうについて『おさらい』していくよ!」
「お復習いは大事でしね!」
「うん、るなもそうおもうよ!」
もともとだいじだなってわかってたけど、蜜黄にもいってもらうと、やっぱりってかんじがするね。
月奈はそんなふうにおもいながら、うなずいてたら、蜜黄がしつもんをしてきたよ。
「それで、何のお復習いをするでし?」
「あ、えっと、へんしんまほうと、へんげまほうのちがいについてだよ」
「変身と変化でしか、なるほどでし」
こんどは蜜黄が、さっきのるなみたいにうなずいてる。
なんだかおもしろいなっておもってたら、蜜黄がうなずきをやめて、るなをみた。
「それじゃあ、さっそくはじめるでし」
「りょーかい!」
「えっと、まずは、ふたつのちがいをかんがえないとだよね」
「そうでしね。どっちも似たものでしから、違いを最初にお復習いするのはだいじだと思うでし」
蜜黄もるなとおなじかんがえみたいなので、すぐにやろうとおもいます。
「まずへんしんまほうは、るなのつかってるまほうだよね」
「そうでし! 蜜黄と一緒に練習してる、月奈の得意魔法でし!」
「とくいまほう!」
蜜黄のいってくれた『とくいまほう』っていうのが、なんかすごくかっこよくて、うれしくなっちゃった。
「そうでし、月奈は変身魔法が凄く上手でし」
「ちょっと、蜜黄、あんまりいうと、はずかしいよ」
「本当のことだから、恥ずかしいことなんかないのでし!」
「そうだよね、ありがとうね、蜜黄」
「蜜黄は月奈のお供として、当然のことを言ったまでなのでし!」
「そうかもしれないけど、蜜黄はいつもるなをげんきにしてくれるやさしい子だとおもうよ」
るながうれしいきもちといっしょに、そういったら蜜黄ははずかしそうにしてた。
「て、照れるからそういうことは言っては駄目なのでし!」
でも、いやなんじゃなくて、うれしいみたい。
るなとおそろいだ。
「変身魔法は、月奈が魔女の姿になるのに使ってる魔法でしね」
「うん」
「それで、変化魔法って言うのは、ゆかりが姫様に変身した魔法でし」
「うん! アレはびっくりしたよね、穂乃香ちゃんがふたりになっちゃったんだもん!」
「でもでも、蜜黄は姫様が二人で嬉しかったでし!」
「るなは……もっといっぱいほのかちゃんがいてもいいかなっておもった……かも」
そしたら、奈菜やみどりととりあわなくてすむもんね。
「姫様いっぱいでしか、はわぁ~~~」
蜜黄がほっぺたをおさえて、くうちゅうでくるくるまわりはじめた。
そうぞうでうれしくなっちゃったんだね。
「それで、穂乃香ちゃんは、どっちもへんしんだけど、ゆかりさんがつかったのと、るながいつもつかってるまほうはまるでちがうから、ゆかりさんのまねしちゃだめっていってたんだよね」
「そうでしね。姫様の言う『変化の魔法』は、変身の魔法と違って、体そのものを作り替えてしまう魔法だから危険と言うことでし」
「つくりかえちゃう……?」
「月奈の使う魔法は魔法を解けば元の姿に戻るでしが、ゆかりの使った変化の魔法は元に戻らないのでし」
「えっと、まほうがつかえなくなるカチューシャをつけても、ゆかりさんは穂乃香ちゃんのままだったんだよね?」
「そうでし、だから、変身魔法と違って、変化魔法は危険なのでし」
「きけん……」
「例えば、犬に変化したらヒトの言葉はしゃべれなくなるでし。まほうもつかえなくなるかもしれないでし、そうしたらもとにもどれなくなるでし」
「そっか」
蜜黄に、すっごいたいへんなんだと、るなはうなずきます。
でも、もっとたいへんなことがあったのです。
「月奈が姫様に変化して、ちゃんと元の月奈に戻れなかったら、月奈のママに気付いてもらえないかも知れないでし」
「え?」
蜜黄のいったことに、るなはすっごくからだがさむくなりました。
でも、月奈が穂乃香ちゃんのすがたになっていたら、ママはるなにきづかないかもしれないのは、そうぞうできました。
ワンちゃんにへんしんしても、へーきかなっておもってたけど、ママがわからなくなっちゃうのはすごくいやです。
「み、蜜黄……」
「だから、変化魔法を使わないように気をつければ良いのでし、月奈は上手だから間違えたりしないのでし!」
かなしいきもちになって蜜黄をみたら、そういってわらってくれました。
「蜜黄、なんか、穂乃香ちゃんににてる」
むねがきゅってしたときに、いつもたけてくれる穂乃香ちゃんに……。
「そうでしか? 姫様に似てるでしか? どうしようでしーーー」
蜜黄はそういいながらまたくるくるまわりはじめました。
やっぱり、蜜黄にも穂乃香ちゃんは『とくべつ』なんだなっておもいます。
「あ、でも、まほうでへんしんならだいじょうぶだよね、穂乃香ちゃんやワンちゃんになっても……」