七十四話 用事と名付け
ちょっとやりたいことがあるので予約投稿。
「そーいやさ、今日って月曜日だよね?」
「そだけど、学校だっけ?今日はちょいと非雨にやってほしい事があって、休んでもらう事にするよ。」
「おぉ…今日休むんね…」
「ありゃ?嫌だった?」
「いや別に嫌では無いけどね。」
やって欲しい事が気になるが、それだけで休むのかと少々思う。一応、俺って能力者育成学校に編入予定だよね?最近いろんな事があり過ぎて頭からすっぽ抜けてたけどさ…
「んー、よし、おっけ、さて、早速やって欲しい事を言うよー。」
「さっき何やったのさ…」
「ん?学校に休むって言って来たんだよ?ごめんね付き合わせちゃって。」
「別に行こうが休もうが良いんだけどさ。うちの担任一日休んだってとやかく言わないと思うし。」
「では、非雨、これ触ってくれないかな?」
ツリスから差し出されたのはキラキラ光る青紫色の物体だった。
「…何これ?」
「あー…分かんないかなぁ…この前ペルさんの世界に行った時に、モンスターを倒した時に出て来たやつ。」
「…ませき?いやでも、こんなに光ってなかったはずだけど…」
「これはね、魔力石ってね、ロリアが持ってきた石なんだよね。あいつ曰く、『うちの精霊が頑張って錬磨したおかげで、効果爆上がりだよ〜。非雨ちゃんに使わせてあげなー。』とか言って3つくらい渡してくれたからね。」
魔力石…か。ゲームでは魔力を高めるって感じのパワーアップアイテムだけど、作品によっては精神すら操ると記述されてたからなぁ。
「精神は乗っ取らないと思うよー。私が試したけど何にも問題なかったもん。」
「ひっさびさに心読まれた気がする。」
「ま、まぁ手に取って念じてみれば、魔力は上がると思うよー。」
「んー…地球でも魔力の使いどころがいまいちわからないけど、上げれるものは上げてみるかな。」
ツリスから魔力石を受け取り、目をつぶり今手に持っているものに対し意識を集中させる。
掴んでいるものがどんどん溶けて小さくなってくるのを感じる…そして、完全に溶けきった時、私の何かが伸びた様な気がする。
「ん…ん?ちょいと魔法出してみて良い?」
「良いよー。」
何となくパッと思いついた魔法を手に出してみる。まず火の魔法。なんか手に火を出したまま火力調整が出来る様になっており、最大火力が伸びた様な気がする。
「ほいっと、一旦暗くしてみたよっと、どう?」
「急に暗くしないでよビックリした…まぁ、暗闇でも充分明るいね。部屋の隅っこがちょいと暗めだけどね。」
ツリスが部屋を完全に明るくしたので、次は氷魔法をやってみる。
(ほへー…なるなる、硬度が強化されて、よく分からないけど質量も上がったのかな?後、精密に氷を飛ばせる様になったかもしれない。)
「ツリスー、一回力任せにこの氷を叩きつけてみて良い?」
「はいよー、結界張っとくからぶちかましても良いよー。」
結界を張ってくれたみたいなので、力任せに叩きつけてみる。
結果、最大硬度でも、少しひびが入るくらいだった。少し硬度を小さくしたら、粉々に飛び散ったが、一つ一つ操れて、コレをぶつけたら並の人間は痛いじゃ済まないと思う。
「おぉー…多分結構氷を硬くしたと思うんだけど、それを叩きつけて、私の結界にほんのちょっぴりヒビを入れるってね…私が言うのも何だけど、非雨って立派なバケモンじゃない?いい意味でさ。」
「バケモンってなんだよバケモンって…」
「いやぁ、こんなに可愛い少女が、氷を地面に叩きつけて、昔ペルさんと組手した時にもちょっとしたことでは割れないこの結界に、ひびを入れたからねぇ…」
「この身体、ツリスが作って、なおかつ身体能力を結構上げて、魔力を強化させる事をしてたら、そりゃこうなるんじゃない?ちょっとツリスの結界の強度が気になったけどさ、もしかしたら弱く貼ったのかもしれないし。」
「強めに貼ったよ?なんなら、私が上げた魔力式銃で、撃ってみなよ、ヒビ一つ入らないと思うからさ。」
「あいよっと、じゃ、撃つよ。」
ツリスが結界を張ってくれたので、魔力指定を100にして、狙撃モードで撃ってみる。
「どんっ!って、本当だ、ヒビ一つ入ってないね。」
「これ、弱く貼ったんだよ?これを見ると、どれだけ非雨が力強く投げたか分かるなぁ…見た目は可愛い少女なのにね。ま、そこが非雨のいい所なんだけどね。」
「絶対褒めて無いでしょ…」
「いやいや、可愛い事は事実だし。抱きついて良い?」
「…まー、良いけど。」
なんか、ツリスってコロコロとテンションが変わる時があるよね。仕事で真面目になったり、今みたいに抱きついてきたり、姉みたいな優しい感じになったり、なんかあったら怒ってくれたり、色々とテンションが違う時がある。
「私が作った体だけど、やっぱり非雨は可愛いねぇ。この子が妹で良かったよ。」
「なんか悪いね、色々として貰ってるのに、何も出来なくてさ。」
「いーのいーの、非雨は嬉しがって私の奉仕を受けてると良いの!元はと言えば私のやらかしが原因で非雨を死なせちゃった訳だし…謝るのはこっちだっての。」
「あー…うん。今度、何かツリスが嬉しがりそうな事しとくよ。」
「ん?何か言った?」
「何でもない。それにしてもツリスってスベスベだね。」
「そぉー?嬉しいなー。」
近いうちに、ツリスが跳ね上がって喜ぶ事をしよう。と思った非雨であった。
《6時間後…》
「ツリスー、そう言えば用事って、私に魔力石を使わせるだけで終わりなの?」
「ん、違うよ。もう一つある。もうそろそろ「やほー、非雨。治ったー?」
「遮らないでくれるかなロリアさんや。」
「いやぁ、悪い悪い。」
ロリアさんが来た。まず言うべき事を言おう。
「ロリアさん、ごめんなさい。」
「ん。良いってことよ。ツリスを慕う気持ちでああいう行動をしてたし、悪気があってしたわけじゃないんでしょ?非雨がどれほどツリスに懐いていたか分かったしね。」
「あー…はい。」
なんだろう、なんか罪悪感が。なんか、俺がやったわけじゃないのに、もう1人の自分…いや、魂が勝手にやったことなんだよな…
ちょっとこんがらがってきたけど、ツリスがいう付き合ってほしい事ってなんだろうか。
「んでさ、昨日話した『あれ』、連れて来た?」
「ん、連れて来たよ。この子だよね?」
ロリアさんが指を鳴らすと、一点に光が集まり、それが消えた途端に女の子?が現れた。
「どう?」
「どうって言われても…可愛いとしか言いようが無いんだけど…って待って、この子、ツノ生えてない?」
よーく見ると頭に2本の小さなツノが生えており、背中からちょこんと見える小さな尻尾がある。
「えーと、種族…えーと、小さなツノで背中からチラッと見える尻尾…どっかで見たことがあるんだよなぁー…えーと、えーとぉ…」
「この子は魔人だよ?私が作ったー…えと、平和的な種族だからね。」
「まじん…?魔族と何が違うんですかね?」
「あー…どうなんだろ…私、魔人と精霊以外の事にゃあんまり分かんないんだよな…」
「こういう事は両方作った事があるペルさんに聞くと良いんだなぁ…私が知ってる範囲内で言えば、魔族が人型に近いものか、得体が知れないモンスターみたいなやつの2つに分けれて、魔人がモンスターと人に近いモンスターの混血だっけか?」
「私が作る魔人って、ツリスの人間に近い物なんだよね…ま、悪魔+人間って言えば良いのかな?分からないけど。」
ありゃ、あんまり詳しく把握してない感じなのかな?まあ、ペルさんが来たときに詳しく聞くとして、
「この子、ロリアさんにくっついて離れないね。親とか居るの?」
「親…一から作ったもんで、血縁関係は無いから…私が親って言えば良いのかな?」
「名前とかあるの?」
「名前…かぁ…やば、すっかり付けるの忘れた。」
「自分で作ったのに付けるの忘れたんかーい…」
今もその魔人の女の子は尻尾を揺らしながら俺やツリスを見ている。
「それにしても可愛いねぇ…ロリアさんって、精霊以外の事には興味ないと思ってたよ。」
「ツリスに頼まれたから作ったんだけどなぁ…それに、私は非雨に対しても興味はあるからね?」
「非雨はあげないよ?」
「分かってるって…」
…付き合ってほしい事って、これだけなのかな?
「それにしても可愛いこの子、口を開かないけど、声帯とかちゃんとあるの?」
「あるよ!まるで私がこの子を虐待してるように聞こえるじゃないか!」
「いや、何もそこまで言ってないんだけどね…」
「この子は人見知りでなぁ、なんとなく最近亡くなった魔人の魂を定着してみたらこんな感じになっちゃってね…」
「名前決めてみようかな?自信ないけど。」
「まじ?そりゃありがたい!」
「ロリア、本来1から作った人間、又は魔人とか名前とかちゃんと付けなきゃいけないんだよ?精霊とか、いつもそうしてるでしょ?」
「うっ…努力する…すっかり忘れてたでなぁ…」
ロリアさんがツリスに軽く説教?されてる合間にこの子を観察してみる。俺は基本、ゲームキャラクターの名前は当て字で付けたりするのだが。特徴をちょっと述べてみよう。
・小さなツノ、尻尾。
・赤髪紅眼。
・幼げな子。
の3つ。うーん…どうしよう。
「んー…名前を付けるのって難しいなぁ…この子の一生を兼ねる名前だから、真面目に付けないと可愛そうだしなぁ…」
「お、悩んでるね。どうする?」
「んー…率直だけど、テーレちゃんでいいかなぁ…」
「いいじゃん!可愛いし。」
「率直にって言ったけど、どこが?」
「この子の特徴を見て、そっから文字を削って決めた。これじゃダメって言うならばまた考えるけど…」
「テー…レ…私の…な…まえ…」
「ん?」
今までロリアさんに隠れていた女の子が始めて口を開いた。
「わた…しのな…まえ…てーれ…覚えた…」
「お、覚えた?気に入ってくれたの?テーレちゃん。」
「うん…私の名前…だい…じにする…」
「どうやら、これで良いみたい。」
「そうだね。この子も可愛いって言ってくれたし、ありがたいよ。」
テーレちゃんが、この名前を気に入ってくれて良かった。用はこれで良いのかな?」
「ひーあー、忘れてたけどお土産、今日も持って来たよー。」
「何を持って来たんですか?」
「多分今日ツリスに渡されたであろう魔力石。どう?」
「…見惚れるほど綺麗ですね。ありがとうです。」
普通に綺麗な魔力石だ。これ、多分博物館に提示出来るほどのレベルだと思う。
「さて次は…これ。」
差し出されたのは昔、前髪を伸ばし過ぎた時に強制的に付けられた事があるヘアピン。しかし、不自然に穴が開いていた。
「ん?私が知るこれって、ここ、穴空いてませんよね?」
「わざとだよ。ここにこの魔力石をはめ込めて…どう?」
おー…ヘアピンに輝きのある魔力石をはめ込む事によって、より綺麗になったような気がする。
「どうかな?」
「めっちゃ良いじゃないですか!これを私にくれるんですか?」
「そーだよ。その為に作ってたんだし。」
「あっりがとうございます!」
「褒められると嬉しいなぁ。なぁツリス。」
「それわかる。」
その後、ロリアさんからあらかた俺のためのお土産をもらったところで、ロリアさんは用事があるから、テーレちゃんと一緒に帰っていった。俺は今日もらったヘアピンに、魔力石を2つはめ込んで、綺麗だなぁと眺めたり、付けたりして楽しんだのだった。
さて、次回は記念話ですよー!
なるべく早く投稿したいです!笑




