六十二話 また始まったよ。
予約投稿その21
「ぜーはーぜーはーぜーはー…」
「はぁ…分かったよ、消去するよ…」
「はー…それで…よろし…はぁはぁ…」
「疲れすぎとちゃう?」
「生身で2時間全力疾走したら誰だって疲れるでしょ…あの何Vと呼ばれる引退した世界最高速の男や霊長類最強の女性ですら疲れると思うぞ…」
実際、その人達と私じゃあ比べ物にならないくらい努力の差があるだろうけどね!私は一回死んでこの力を手に入れたけどあの人達は…あー、練習とかで何回か死にかけてそうだな…とくにネット業界では(個人の見解です)散々ネタにされている霊長類最強のあの女性とか。身一つで獰猛な熊とやりあえるんじゃないかってくらい強いし、さぞかし何回か死にかけてそうだね。うん。
っとそろそろあの人が熊を私に投げてきそうな予感がしたので、この話はやめにしよう。人類最強、おそるべし。
「んで、今日はまた酒盛りでもするかい?」
「私は酒は飲まんぞ…」
「いいじゃない、あの時は急に度数が高い(と言っても20度だけど)酒を飲んだからね。5度くらいのほぼジュースと呼べる酒を用意しようじゃないの。」
「それは興味あるけど…5度でも酒だよね?」
「そーだけど、大人に成長させっから、深みが分かると思うよー?」
まー、大人に成長させて飲むから大丈夫でしょ。
…大丈夫だよね?精神は子供でも、肉体は大人だから呑んでいいよね?
ま、まぁ一回飲んでるし、大丈夫か。
「さてッ、私が来たッ!」
「ペルさん口調変わりすぎやしませんかねぇ。」
「ふざけただけだ。さて飲むぞ飲むぞ。」
「さて、成長させるかー。」
約3時間前に味わった胸のキツさをもう一回味わう。うむ、きつい。
てか思ったんだけど男だった頃の俺って、こういう胸に欲情してたんだな…
女の視点となって考えてみると気持ち悪くなってきた。元男なのにね。
自分を病みさせる過去を振り返るのはやめ、今は酒を飲もうか。5度って言ってたから、多分いけるはず。
「はぁーあ、つまんないな、度数が低いとこんなに酒は不味くなるのか。」
「まーまーペルさん我慢しなよ。ほら、私たちはまだ神になりたての頃、この酒を飲みすぎて酔ったんだからさ。久し振りに初心に帰ろうよ。」
「ツリスの言う通りだな。我慢するとしよう。」
私はツリスとペルさんの会話に耳を傾けつつ、酒の缶の蓋を開ける。
カシュポッって言ういい音が聞けたと同時に、少し飲んでみる。
んー、ほんのり甘さがあって、後から大人の苦味が少しづつ追ってくるって感じだね。これは美味いね。
そして一気してツリスを驚かせたのちに私はふと考える。
そーいや、ツリスが何故神になったのか。どうしてペルさんと知り合ったのかって。
気になる。けどちょっと酔いが回りそうだし、今話されても覚えきれないと思う。時間がある時に聞いてみよう。
ていうか、今の状態で獣人化してみたらどうなるんだろうと思い、獣人化してみる。
多分何も変わりはないと思う。いや、少し胸が小さくなったくらいかな?変わったのは。
ツリスが作った手作りエビチリをつまんで、二缶目となった酒をまたちびちび飲む。
多分アルコールに耐性がついたら、コーラみたいにグビグビ飲むんだろうなぁと思った。
オリィちゃんが起き、私が持っている酒を物欲しそうに見ていた。
「飲む?」
「いや、主人が飲んでいいとは言ってませんから飲みません。失礼しました。」
オリィちゃんがまたいつの間にミニサイズになっていた。
「私が飲んでいいって言ったら?」
「んー、多分飲めると思う…」
「じゃー、飲んでいいよ。許可する…ってか酒盛りではいつでも飲んでいいよ。それ以外は飲んじゃダメだけど。」
「じゃ、飲んでみます…」
私はツリスから未開封の缶を貰い、缶の蓋を開けてオリィちゃんに渡した。
私達みたいに片手で持つんじゃなくて、両手で持っている。凄く可愛らしい。
オリィちゃんが一口飲んで、飲み込んだ瞬間、缶を落とし、浮いていたオリィちゃんが落ちた。
何事かと思いツリスとペルさんが慌てるも、オリィちゃんは顔が劇的に赤くなっており、『うへぇぇぇ』と言っている。
どうやら酔い潰れたらしい。
「「いや弱くない?」」
「オリィちゃんはまだ(見た目)5歳児だから仕方ないんじゃ…」
「あ、そうか…」
私は三缶目に入った。エビチリが美味しいです。
そーいや今飲んでいる酒ってただ甘いだけだよね?確か父さんが焼酎とかをお茶で割って飲んでいる光景を見た。これいけるんじゃない?
「ちょっとツリスー。この酒って割れる?」
「ん?割るって?」
「お茶とかでこういう酒を割って飲んでたんだよ。父さんがさ。」
「あー、そーいう行程があったねー。私達は酒の本来の旨味をブレンドすることにより逃したくないからねー。ま、お茶とかコーラとかで割ってみなよ。」
ツリスがそういうと、おー○お茶といつものコーラが出てきた。
ちなみに今飲んでいる酒の色は透明だ。酒の名前は『たからむすこ』だっけか?父さんが飲んでいた酒によく似ている。
氷が沢山入ったジョッキを手渡されたので、お茶と酒を5:5の割合で飲んでみる。
…なんとも言えない味になった。お茶が勝っている。
ということで一気して、今度は8:2の割合で飲んでみる。
おおっ、これはいける。ちょうど良くなった。
ちなみにコーラで割ってみたが、どの割合にしても、酒は酒、コーラはコーラで個別で飲んだ方が美味しいとわかった。
割るために飲んだ酒は7缶目に突入し、つまみをどんどん食べているのでお腹が溜まってきた。
私も私で完全に潰れるとはいかないものの、酔いが回ってきた。
「ツリスー、お腹がいっぱいになってきたーよ?」
「そーかい。じゃ、寝る?」
「そーしようかな…」
肉体を元の年齢に戻した結果、急に目の前がグラっとなり、そのまま私の意識は失った。
「あーりゃりゃ、積み重ねてきたアルコールに耐えれなかったか。」
「ま、これでどんどん酒に耐性付いていくんじゃないの?」
「そーだといいけどね。」
「明日どーすんのさ。」
「それがさー、迷ってんだよね。」
「ま、自由にするといいさ。」
「そーさせてもらう。」