四十八話 友達ってなんだっけ?
予約投稿その2
いやいやちょっと待て、魔王?あの深い地獄を作ったりハーレムしてたり人類最強の男を完膚なきまで叩き潰したりしている魔王か?
「あのー、魔王…いや、父親か?その人はどんな感じだ?」
「んー、二言で言えば、甘いけど敵対する奴は叩き潰すって感じなのかな?」
「は、はぁ。」
んー、この世界の魔王は好戦的ではないみたい。
「父親が人間が居るところには行くなとは言ったけど、今日お忍びで来たんだよね。んで、強くて楽しそうな人いないかなーと思ってたら、ユキヒアちゃんがいたの。」
あ、戦闘狂では無いのね。よかったよかった…ん?
「お忍びで来てるって言ってるけど、怒られないの?」
「あー、怒られるね…ただ外に行くならまだしも人間の街に来てるからなぁ…」
そうなのか。あ、いま気になったことを聞いてみるか。
「そういえば、角とか初めて会った当初は見えなかったけど、君ってなんの種族なの?」
「んー、種族ねぇ…お父さんが言うには、まぞくって言うらしいけど…」
魔族…どっかのゲームでゲテモノ化している魔族が居るけど、この子は人間に近いね。角隠せば可愛い子じゃん。
「んでさ、いろいろブラブラしてて、こんな良い感じの路地を見つけたし、もう帰ろうかと思うんだけど、実はね…初めての友達なんだよね…」
あー、魔王の娘って言う立場とかで恐れ多くて友達になれないっていうやつね。あれ?ツリスと似てない?
「それでさ、お父さんに紹介したいの!初めての友達って!」
え?いやー、行くなと言われた所で娘が友達作って帰ってきたって聞いたら…喜ぶか殺されるかの二択だよね…
「大丈夫?私殺されない?」
「何言ってんの!お父さんは優しいから大丈夫だよ!」
でも不安だなぁ…ん?ティラちゃん?何やってんの?
「では帰るよ!手繋いで!」
あ、帰るのね。てか転移魔法の類いかな?即会う事にもなるのか…相手が魔王だから、緊張するな…
私は手を繋ぎ、数秒間視界が歪んだ後に、なんか豪華そうな部屋に私はいた。うん、これツリスの意識寄せに似たような感じがするよ。
「お父さん呼んでくるよ!ちょっと待ってて!」
あ、待てば良いんですね。んじゃ待ちます。
にしても、豪華やね…綺麗な服もあるし、家具とかも良さそうなものばっかだ。ちょいと、着てみたいなぁ…
っていかんいかん、人の物勝手に着るなんて阿保がやること、ダメダメ…てか、着てみたいって思ってなかった私…いやー、おかしいな…あの頃はそんなこと思わなかったし、俺って本格的に女の子の気持ちになってる…?いやいやいや、俺は元男。女の性別から戻れなくなったが、心は思春期真っ盛りの男子中学生だ。思う所もあるのだ。
と、思っていると知ってる気配…ティラちゃんと、知らない気配。この気配こそ魔王…ティラちゃんのお父さんなのかな?
ドアが開いた。お父さんの見た目はティラちゃんと一緒の角が生えている。それ以外はイケメンの男性だ。私は家具に座るわけにもいかないので、突っ立ったままの状態だ。
「…この子がティラが言ってた友達か?」
「そーだよ?」
…ティラのお父さんは、私の服をじろじろと見ていた。あ…着替えてねぇや…今の私の服装は、細長いダイヤ状の穴が空いている血濡れた服と、血がズボンまで届いていた。そして、ティラちゃんと戦った跡が残っている。
「まずは風呂に入ってこい。話はそれからだ。服は召使いにも選ばせる。」
「あ、お父さん。ユキヒアちゃんも?」
「この子はユキヒアと呼ぶのか。ユキヒアも入らせろ。このままでは騒ぎが起こる。」
「はーい。」
「あの…いろいろとすいません…」
「いいんだ。娘の初めての友達。娘の友達を大事に扱うのは親の仕事だろう。」
…この人本当に魔王?めっさ優しい父親じゃん。実はかなり強い貴族だったり?
あ、今は獣人化は解除してない。このままのほうがいいかもしれない。なんとなくだが。
「じゃ、父さんもこう言ってることだし、お風呂に入るよ。」
…会って数分で娘の友達に風呂を貸してくれる人っている?
そしてお風呂場に着いた。当然風呂に入るから裸とはいかないが素肌をめっちゃ晒すわけで…
私はバスタオルが置いてあったのでそれを体に巻く。いやぁ、女の子に対して晒すのは好きじゃないんで…元男の意地だ。
そしてティラちゃんもバスタオルを巻いてた………胸でかくね…?え?いやまぁ初めて見たときはちょいと膨らんでんなぁと思ってたけど、服を脱ぐとこんなになるんですか。どんだけきつい思いしてたんですかねぇ…
「じゃ、早速だけど洗いっこしない?」
わぉ、二人きりだからできるぶっちゃけだね…てか私と(胸以外)ほぼ同じ体系だけど、年はなんぼなんだろ…いや聞かないよ?気になるけど。
「あーはい、てかこういうことってやってなかったんですか?さっきティラちゃんのお父さんが『召使い』って言ってたけど、年が近い子としないの?」
「んー、体系は一緒な子がいたような気がするけど、あいにく年がね…話題が合わなくて楽しくないんよ…」
あ…これ遠回しに聞いちゃったかな?だ、大丈夫だよね?
「私、今18歳だけど、ユキヒアちゃんって何歳?お父さんが言うには、これくらいの子は10〜50歳くらいだって言ってたけど。」
以外と歳離れてるー。そして自分から言ったね。うん。直接聞いたわけではないからセーフだね。
そして体を洗い終わり、風呂に入る。不思議と体が癒されていく感じがする。
「んでさ、ユキヒアちゃんの事、いろいろと知りたいんだよね。友達なのに何も知ってないって不便だよね?」
んー、話しちゃいけない内容がほとんどなんだよなぁ…魔法のことくらいかな?話せるの。
「んー、じゃ、私の歳だけど、13だよ?」
「え!?13!?若いねぇ〜。17くらいだと思ったよ。」
もう17歳の姿みてるんだけどね!うん、聞かれたことはてきとーに捏造して話していくかね…
…
…
…
30分くらい入った後、風呂から上がった。戦いでちょいと疲労していた肉体も、疲れが取れている。うん、お風呂って不思議だね。
さて、私が話した内容は、どこから来たか、親はいるか、なんでこんなに強いの?ってくらいか。うん、本当の事話せないから、嘘を話したよ。例えば、強さ云々の話。ツリスから貰ったって言えないから、いつの間に使えるようになった、と話した。そこからこんな強くなるんだ〜とティラちゃんは目を輝かせていた。
さて、服だが…貴族の着てそうな服に、スカートがある…私、スカート初体験なんだけど…
「あのー…ごめん、スカート着るの初めてなんだ…」
ツリスにも変態姉貴にも私にスカートを着せなかった。まさか初体験が魔王の娘の前で着るというね。
…
…
いろいろと教えて貰った。いやー、ズボンしか履いたことがなくてだな…てか、履いてる最中に、ちょっと胸が締め付けられる気持ちがあった。なんでだ…?
もしかして…マジで精神まで女の子になってる?んで、締め付けられる気持ちは、男の頃の気持ちがあるから…いや、友達の女の子に一緒に風呂入るっていうのに、恥ずかしがらなかったし…これどっかでストッパーかけとかないと、男だった記憶が全て消えてしまうかも…やばい。心の課題として、考えていこう。
そして、髪の水気を新しく置いてあったタオルでとって、耳も尻尾も丁寧に拭く。
そして、またティラちゃんの部屋に入り直す。少し経った後、ティラちゃんのお父さんがやってきた。
「さて、風呂から上がったし、ユキヒアにいろいろ聞きたいことがあるんだ。」
私か…ボロを出さないようにしないと。
「私のことは娘…ティラから聞いているだろう。今は第216代目の魔王をやっている。魔王の私を、正直いってどう思う?」
どう思うって…いや、魔王に第○○代ってあったんだね…
「正直言って、各地に様々な種族に悪事を働く典型的な悪者って言うイメージがありますが…」
「そうか…やっぱりそう思っているのか…」
あれ?まずかったか?
「…ユキヒアよ、もしユキヒアが勇者になって、私を倒しに来ることになったらどうする?」
うわ、難しいなぁ…だけど、
「友達の父親を殺すなんてことはしません。それが例え、魔王であっても。」
「…優しいな。」
ん?優しい?友達の親殺すなんてやばいからね…あ、敵意バリッバリに向けている奴は倒すか逃げるかだけど、敵意は向けてないしむしろ優しくしてくれてる。私はそう言う人を殺しはしない。
「あぁ、気にしないでくれ。では我が娘と楽しく過ごしてくれ。」
「あ、はい。」
魔王…ティラちゃんのお父さんは部屋から出て行く。
「お父さんね、この魔王になる前に、相当な苦労と努力を積み重ねてここまできたんだ。一歩間違えれば死もあったし、人間が差し向けてくる勇者にも対応し…だから、ユキヒアちゃんのことを優しいと言ってくれたんじゃない?」
…魔王サイドも色々と大変なんだな…
とにかく、そんな話は置いといて、ティラちゃんと遊ぶか。
…
…
…
色々と遊び終わった後、私は魔王城を出た。そして気づく。どうやって帰ろうと。
(そんなあなたにツリスタクシー!身内なので料金はただでーすっ…ってボケはそれほどにして、困ってるみたいだからまた体ごとこっちに寄せるよー。)
ほっ、助かった…
視界が歪んだ後、いつものツリスの部屋にいた。
「ねぇ、ラデルちゃんどうしたのさ?」
あ…すっかり忘れてた…おうまいごー…
「ま、きっちり保護したから、大丈夫だよ。てか、まだ寝てるんだよねあの子…」
あれ?寝てたの?そうなんだ。
「さて、お姉ちゃんと呼ばれるようになったり、今日魔王の娘と戦った後に友達になった私の妹なわけだが…暇?」
ん、暇。家に帰っても寝れそうにないし、暗いから何もやることもないし。
「じゃ、私と一緒に飲もうや。」
あれ?それだけ?飲むってジュースの事だから大丈夫…だろう。
「って、んなわけないよね?私まだ13だからお酒飲めないよ?」
「ん、大丈夫大丈夫。あっちでは10歳から飲めるし、私が歳を引き上げて20歳にすることも出来るんだよ?」
あー、その手があったか。
さて、今更断ってもなんかやだし、素直に飲むか。出来ればジュース飲みたいけどね!
※お酒は二十歳から!非雨さんはツリスによって歳を上げて貰って飲んでるだけで、もし20歳未満の人が見てたら酒は飲まないでね!(作者は小さい頃間違えて酒を飲んでしまい地獄を見ました。)
追記…
タイトル変更しました。




