四十七話 裏路地での戦い
初めての予約投稿。
「ん…にゃ?ごしゅ…お姉ちゃん、どうしたの?」
あ、ラデルちゃんが起きた。てか地味にさっき言い間違えたよね?いや指摘はしないけど。
「あー、角の生えた女の子に決闘求められたから今からやるんだけど、良いかい?」
「お姉ちゃんは強いから絶対勝てるよ!頑張って!」
うおしゃゃ!勝ってやらぁぁ!
「着いた。ここでやる。」
お、着いたみたい。えーっと、木箱とか置いてあるちょいと広いスペースだね。ルールとかはあんのかな?
「えー、では禁止事項を言う。殺すな。以上。」
「へ?それだけ?」
「ああそうだ。」
もっと縛られると思ったんだけど、殺さなきゃいいんだよね?ならば幻覚魔法+獣人化で一気に仕留めようか。ちょいとバレるのが怖いけど…
「では、はじめ!」
あ?さっき誰言った?ラデルちゃんでも角の女の子も言ってない…男みたいな野太い声だった…
っと、んなこと気にしてると私がやられちまう。
えーと、角の女の子の武器はっと、レイピア二刀流ね。もしかしたら魔法を使えるかもしれないし、気を引き締めるか。
私は幻覚+獣人化をして、その後に女の子の突きが入る。二刀流だからか、すごく早い。ゲームとかではよく弱く扱われている武器だが、対人戦では強いよねこの武器。
っと、そろそろ攻めに行くか。と言っても、どう攻めようか…と言っても武器とか何も無いし、魔法しか無いけども。
と、今気づいた。女の子は突きに集中しているおかげで足元が疎かになってるでないか。
足元を凍らせれば滑ってバランスを崩すのでは?やってみよう。
私は足元を凍らせてみる。無詠唱だから範囲は狭いが、突いている女の子の足元を凍らせるに充分!
と、氷が足元に到達する前に女の子は飛び退けた。ちぇー、流石に上手くはいかないかー。
「足元を狙った攻撃…いいじゃないの…あと、貴女、幻覚使ってるよね?」
やっぱりバレてたー…ま、周りに人いないし幻覚を解くか。
私は耳と尻尾を超久しぶりに他人に見せた気がする…てか見せたっけか?覚えてないや。
「ほう、初めて見たぞ、猫と狐のクォーターか…ふふふ。」
そりゃツリスから貰った…いや、作って貰ったか?んー、わかんないけど、私の自慢の体なのだよ。
「さて、貴女も本気を出しているみたいだし、私も出すとしますかね…」
おー、本気ねぇ…いや殺されないとはいえ、未知の力を見るのは怖いよね…てか今まで手ぇ抜いてたんですかいな…
私はとりあえず構える。全方向から来ても対応できるようにしなければ…
と、後ろから鋭い殺気!私は避けたが、後0.何秒か遅かったら首にレイピアを突かれてたとこだね…てか殺さないと言っておきながら殺気を放つのはセーフなのか…?
そしてちょいと気になった。魔法使ってなくね?と。
そんなことを気にしているとレイピアを投げ捨て、何かを構え始めた。
「私の自慢の糸だ。本命はこっちなんだよねぇ。」
は?糸?どっかの海でそういう奴が出るやつを見たけども!
…これ、うっかりで『あ、首跳ね飛ばしちゃった』とかなんないよね?大丈夫だよね?
と、首に糸が飛んできた。幸い、獣人の視力のお陰でほっそい糸もはっきり見れるので、助かった。
…これ獣人化してなかったらやばかったね…ほんとツリスに感謝だわ。
とにかく避けなきゃマズイので、体を屈め、避ける。するとそこにも糸が飛んで来たので横に飛ぶ。飛んだ所のすぐ近くに樽があったので、蹴って破片を撒き散らす。んー、これが目くらましになるといいんやが…
残念、破片は当たらなかった…しかし無意味では無かったみたい。破片が糸の進行経路を一瞬だが足止めしてくれたので、狙いが少し狂ったみたい。今がチャンス!
武器が無いなら肉弾戦!と、言いたいところだが、女の子を殴りたく無いので、魔法で攻める。え?じゃあなんで決闘申し込んだんだよって?……流れだッ!(キリッ)
とにかく、沢山の岩石を尖らせて撃つ。だがそれも糸でガードされた。この人糸の使い分けが上手いなぁ。と、敬意を払いつつ、今度は火魔法をぶっ放す。これは糸でガード出来んやろと思ったが、なんと糸を巧みに操り、火をかき消していくでは無いか。この人やばない?糸の技術力すげーな。
うーむ、肉弾戦は最後の手段にするとして、とりあえず今撃てる魔法を試してみよう。
と思った。だがそれを試そうとした時に糸が迫ってきた。私は咄嗟に氷魔法で硬氷を出してガードする。そしてそれを蹴り距離を取った。最近氷魔法様々ですね…
てか何気に硬氷出すの初めてかも。うーむ、氷魔法はもっと研究すべきだね…
さて、私は武器を持ってないので決め手に欠けるんだよね…んー、武器が…あ、レイピアがあるじゃないか…すっかり頭から抜け落ちてしまった。
だが上手く回収できっかな…拾えれば後は素早さに物を言わせ突きまくるんやけどね。
ま、躱しながらレイピアを拾れえばいいかな?と、そう思ってたら糸が飛んで来たので、少し大袈裟に躱しつつ、レイピアを回しゅ…重っ…いや持てるけど、もっと軽いもんだと…
持ったものはしゃーねー、素人が上手く扱えるかどうか分からないけど、使ってみる。目指せ○の○車。
「ほう、私が捨てた武器を拾ったか…楽しくなってきたぞ…」
…このセリフ、どっかのアニメの戦うことを快楽とする人にする人が吐きそうな言葉だよね…
そしていつも通りに糸を飛ばしてくる。しかし狙いは私ではなくレイピアだった。
「これでまた武器がなくなってこっちが有利というわけだ。」
ありゃ、無駄な行動だったか、レイピアを拾ったのは。
うーむ、大雑把に動きながら詠唱して、魔法を放とう。このままではこっちがジリ貧だからね。
私は飛んでくる糸を躱しつつ、詠唱をする。
「なんだ?攻撃の手が尽きたか?」
糸のせいでこっちは策が無いんだよね…てかまず人型の敵と戦うことが始めてだから、仕方なく無い…かな?
よし、詠唱が終わった…使うのは闇魔法。黒い霧で視界を奪うって寸法よ。こっちも視界が奪われるけど、気配を察知してなんとかなる!
どす黒い霧が周囲を囲い、見えなくなるが、女の子の気配を察知したので、そこに向かって蹴りを入れた。
確かな手ごたえ。そして霧が晴れると、両手で私の足を押さえている女の子の姿があった。
「負けだ。参った。」
は?そのまま私を糸で縛れば女の子の勝ちではないのかな?
んまぁ、負けだと言ってることだし、足を避けるか。
「んー、それにしても、貴女強いなぁ、私の糸を回避するし、多彩な魔法を使うし、すごいなぁ。」
「いやー、糸を使うのは予想外でした。」
糸相手に無理に近づくとやばいってことを学んだよ。
「あのねあのね、貴女と友達になりたいの!」
友達か増えることはいいんだけどねー…なんか、この子相手だと、あの超有名なあのセリフが当てはまるんだよね…
「いいよ!友達になろう!私の名前はユキヒア!君は?」
私は名前を言った。次の瞬間、私は凄くドキッとするセリフをあの子は言った。
「私の名前はティラ!魔王の娘だよっ!あ!これは内緒ね?お忍びで来てるから!」
………はい?