四十三話 名前を教えてもらった
…おーまいごっと…
この子、私の尻尾を枕にして寝てる…
これじゃ迂回に動けないや…起こしてもなんか悪いしね。
という事で、天津から教えてもらった瞑想をやる…これで起きるまでの間、暇つぶしが出来る。
…
…
…
…三時間くらいだったのだろうか。瞑想を終わらす。いい暇つぶしができた。
さて、あの子はあの一口の食事以外何も食べてない。また作るか…あれはもう冷めて美味しくないようだし。
いや、ちょいと不安だけど、あれを作ってみようかな?私も食べたいし、あの子もきっと食えるはず。
そうと決まれば作りたい…が、この子をどうするか…いやね、一般的な奴隷の扱い(ユキヒアの偏見)はなんか、『私の綺麗な尻尾に汚らしい頭を乗っけるじゃない!』とか言って乱暴に退かして起こしそうだけど、あいにく奴隷だろうとなんだろうとこんな可愛らしい女の子にそういうことをするのは嫌なので、優しく扱う。頭に手を…うっ、脂っこ…のちに頭を洗わせておくか…
無事に起こさず私の尻尾から離れさせることに成功した。よかった。
よし、作るか。
…
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…
材料仕入れ完了ッ!よし作ろうか。
まずは、深鍋に肉の脂身を焼く。脂身から油が溶け出して美味しくなるのだ。
そして、ちょいとでかいブロック肉を焼く。全面いい感じに焼けたら、糸とかで丸く縛る。
ブロック肉を焼いた深鍋に、水、鳥の骨、醤油らしき液体を入れた後に糸で縛ったブロック肉を入れる。
そして6時間から12時間くらい煮込む!そう!私が作るのは焼豚!そしてそっから連想するものといえばラーメン!今日はそれを作る。さっきの手順はラーメンのスープ作り+焼豚の味付けだ。
お次は最重要な麺をつくる。料理本とかで見たが、ラーメンの麺をつくるのに、『かんすい』とかいうものが必要と書いてあったが、そんなもん知らん。それらしく作ればいい。
麺の材料は、小麦粉、卵、牛乳の三種。
小麦粉を入れて、卵一個入れて、牛乳を丁度いい硬さになるまで入れる。
こねこね、こねこね…ねこねこ…はっ、いかんいかん、集中せねば。
よし完成。意味あるか分からないけど寝かせておく。
これで終わり。具材は…スープ煮込み終わったらでいいや。
麺は今寝かせたばっかだし、スープは今煮込んでるし…うーん…
あ!漬け物作ってみようかな?主人から塩とか自由に使っていいと言われたし。
でもな…具材どうしよ…定番のきゅうりとかないしな…ええい!どうにかなるだろ!買いに行くか!
…
…
…
買い出し完了。もうお外が暗くなってきた。
よくよく考えてみたら、収納バックパックに白菜みたいなの入ってたわ…それも使おう。
使う材料はきゅうりもどき(たぶんズッキーニ)とキャロットと白菜みたいなもの。
まず、野菜たちを一口サイズに切る。そして塩もみ!こうすることで野菜の水分が飛んでいくはず…多分。
もう一つの深鍋に塩もみした野菜を入れ、木の蓋をした後、重し…どうすっか…漬け物石とかないしな…
魔法で作った重い氷を革袋に入れて、重し代わりに…滲み出ないことを祈ろう。
下準備完了。と同時に女の子が起きた。私にとってはグットタイミング。
「御主人様、おはようございます…」
「ん?今は夜だよ?」
「あっ…失礼しました…」
ん?なんだそんなモジモジして…なんかあったのかな?
「なんかあったの?」
「…御主人様…私を許してもらえますか?」
「はぇ?」
ゑ?どういうことなん?
「ご…ごしゅ、じんしゃまのまえで…ないて…しみゃったこと…もうしわけ…ございません…」
そういうことなん?てか奴隷ってひとつひとつの行動に恥じる精神でも持ってんのかな?てかまた泣いてるし…
「別に、人は泣きたいこともあるから、いつでも泣いたって私は構わないさ。」
「ひゃい…」
「ほらほら、泣くと可愛い顔が台無しだぞ?」
私は自分の服で涙を拭ってあげる。
「そいや、君の名前は?」
忘れないうちに聞いておく。
「……デル」
「でる?」
「ラデル…です…」
ラデルちゃんね…覚えた。
「ラデルちゃん。よしわかった。」
覚えたからなんだっていうツッコミはなしの方向でね。
さて、ラデルちゃんに飯をだな…とりあえず…
「サンドイッチでいいか?ラデルちゃん。」
「はい。大丈夫です。」
んー、声に元気がない…いやまあ誰だか知らない獣人の女から奴隷として買われるってこと自体あの子にとってやな事なのかな?ただ単に元気がないだけか?私的には後者の方が良いのだが。
とりあえず…肉を焼いて…その間にパンを切って、キャベツみたいな葉っぱを挟んで、焼き終わった肉を挟んで…
よし、これでいいかな?出来れば現実世界みたいにハムエッグを載せたかったが我慢。てかサンドイッチと言えるのか?いや言えるだろう。
「出来たよー。」
私は皿に乗せたサンドイッチをラデルちゃんに差し出す…が食べない。
「ん?どしたの?食べないの?」
「…御主人様が食べていいって言うまで食べません…」
うおっ、どっかのスタイルッ!?いや、気のせいか…しかし奴隷のシステム、面倒なものだな…
「差し出した時点で食べていいっていうやつやで。ほらお食べ。」
「で、では…」
ラデルちゃんはサンドイッチを食べた。んむ、問題なく食べてるようでなにより。てか食べるの早ぇぇ!
「ん…美味しかった…」
「まだあるけど食べるかい?」
ぶっちゃけ足りないかと思ってもう一つ作ってあったのだ。
「大丈夫で…す……」
とは言ったものの…ラデルちゃんや、欲しいと言わんばかりの、まるで餌を目の前に置いているのに待てと言われている犬の様な目をしているぞ…猫の獣人だけど。
「ん、そんなに欲しいんなら食べな。」
「で、でも御主人様が…」
「別に大丈夫。さ、食べな。」
ぶっちゃけギルドに行く前に食べた串焼きがまだ残ってるんだよな…ボリュームありすぎんだろがい…
「美味しかったです。」
「お粗末様でしたっと。さて、寝るよー。」
3時間前に寝たばっかだけど眠くなったから寝ようと思う。
「で、では御主人様…夜の営みを…」
「ブハッ!ガハッガハッ…」
思わず吹き出して咳き込んでしまった…こ、この子、どストレートに言ってきた…やっぱり奴隷ってこんなもんなのかなぁ…難しい。
「あのねラデルちゃん、私女の子、13歳の小さい女の子。ワターシオトコジャナーイ、わかった?」
「えぇ!?あ、はい。わかりました。」
あ、わかってくれたかな?驚いてたのが気がかりだけど。
「で、では私が年下として夜の営みの方法を…」
「ブッハァ!ガハッゴホッゲホッ…」
…年下なのにそういうワード知ってんのが私にとって驚きだよ…
「とにかくそういうのはなしで、寝るよ…」
「あ、はぁーい。」
私はラデルちゃんと同室で寝始める…うん、ちょっとラデルちゃんが怖くなって来たよ…
眠たいのでここで切ります…
もうちょい伸ばしたかったな…
ラデルちゃんの性格とかどうしよう…
追記…合計10万文字行ったぁぁ…これからも頑張りますぜぇ!