茶番四十六話 雪餅が暇つぶしするお話
さて、最近はGW…皆さんご存知ゴールデンウィークが訪れた。この前には祝日があったのだが、3週間前くらいに行われた授業参観の振替休日が、しゅくじとゴールデンウィークの間に来ていれば7連休だったのに…と、学校と家とツリスさんに嘆いたのは過去の話。今はゴールデンウィーク3日目、休みも中盤戦に入っている。
そんななか、俺はいつもどおりに家でゴロゴロしてはラデルちゃん、ソフランちゃんに布団を剥がれてはしっぽをモフられるというのを繰り返されている。まるで追い剥ぎをされた狐のように好き勝手されているが、可愛いロリと猫美少女に好き勝手されていることについては…あんまり不快な気持ちはない。
ていうか俺、こんななりだけど男だから、超役得として受け取っているのだ。ひゃっほー、最高。
俺が起き上がろうとすると、二人が寂しそうな顔をするので、俺は諦めてスマホをいじることにした。動画動画ー…新作動画はないから、飯テロ動画を見ようかぁ。
動画を見ながら俺は考えた。休み中、全然動かないのはどうかと。いくら魔力体であっても、太らないとしても、なんか気になってきた自分がいる。
んだから、今日は動こう。ついでに天津ん家に遊びに行こう。多分あいつは今日休みなはず…連絡して…と。
ごろごろとスマホを見て、広告をブロックしてからまた面白い動画を見て…20分が経過した。ラデルちゃんとソフランちゃんはゴローっとしている。多分しっぽはもふらないだろうと判断して、起き上がる。
「ゆっきー?どこに行くんー?」
「天津ん家〜。非雨も来る?」
「うちはちびっこ二人が居るからね!行けないけど、天凛ちゃんによろしく行っておいてねー!」
「あいよぉ!」
久々に糸射出装置を手に装備して外に出r…
「外さっむ!?今5月だよ!?」
思わず声が出てしまった。5月だから、まだ長袖の時期かなぁとも思ってたけど、動くから薄着にしてたんだよね。そのおかげか胸がね、うん。今度非雨に対処法を教えてもらおう。
とにかく寒いので、動くことを考えよう。息切れすれば、呼吸して身体が熱くなるはず…
だから、木に糸をかけて…引きよせぇぇてぇぇっ!身体が引っぱられてブランコのように引き寄せられていく。
感じる風がまだ冷たい。夏だったら快適な風だったろう。結構冷たい。やばみ。ぐるんぐるんと暴走した観覧車のように回り、楽しむ。
しばらく楽しんだあと、着地して、また天津の家に遊びに行く。高校生になって結構身軽になった自分だが、相変わらず糸射出装置で遊びに行く。
「あーまつー!いるかー!」
「おう、待ってたぞ。」
「ゆっちー!久しぶりー!」
顔パスって便利。と思いながら中へと入っていく。いつも通り2階に上がりだらける。
「雪餅って、見た目は女子だが、中身が男だから何か安心するんだよな。」
「え?なんでぇ?」
「お前は、中身も女子の子がずかずかと家に入ってきたら焦らないか?」
「まぁ焦るけど…非雨がいるからなー。」
「そう言ったら俺も天凛がいるんだが?」
「そりゃお主が創ったんだから多少はわかるだろうに。」
だべりだべり、話しながら音ゲーもやり、話し…
「そいや、お前の身体はいつ戻るん?」
「わーからん。ただ1つ言えることは、この身体には慣れちゃったって話。もうこの胸がね、慣れちゃって…」
「んまぁ肩凝るとか言うしねぇ。」
んで…話すネタがなくなった。どしよ。
たまにね、
「よしゃ!これフルコンボした!」
「そうか、ならALLPERFECTを目指せば?」
と返されるのがオチなのだ。ていうかだいたいそんな感じ。
そして、天凛ちゃんのご飯を食べて、(ご馳走様でした)そして帰る時間になった。
「あ、ゆっち!ちょっとまってー!」
「ん?なんですー?」
「非雨ちゃんに、これを渡しておいて!」
と言われ渡されたのは密封型のタッパ。何が入っているのか楽しみだ。もう下から見えてるけど。
「じゃーねー!!」
「またなー。」「またねー!」
……
ぴょんぴょーんっと家の屋根を伝い飛んでいく。気分はまるで蜘蛛の人。途中で割引品のドーナツを買っていくことにした。おいしいのよね、これ。それ以外は寄り道することもなく家に帰った。
「ただいまー!。非雨〜、天凛ちゃんが非雨に対して、これやるってさー。」
「おかえりー。なにこれー?」
「見た感じ夕飯のおかずだけど…肉野菜炒めじゃね?」
「お、いいねぇ。今日はエビの湯で身とタコの切り身だから、あと一品、どうしようかなーと思ってたのよね。天凛ちゃん、ナイスー!」
なるほど今日は海鮮系か。副菜に肉野菜炒めは重い気がするが、うまけりゃなんでもいいのよ。
と言う事で…
バン!完食!超美味しかった!海鮮系もなかなかいいけど、天凛ちゃんの作った肉野菜炒めも美味しかったなぁ。
…………
いつも通りにお風呂に入り、ソフランちゃんを膝に乗せてぽけー……としていた頃…
「や、雪餅。」
「…何?」
ツリスさんが問いかけながらおっかかってきた。あんさんのほうが姉やろうが。俺がおっかかる側でしょ!
「いま暇?暇じゃなくても拒否権はないからいいけどねー。」
「うぉい…んで…どしたのさ。」
「今日、久々にさ、糸射出装置を使ってたよね?」
「そーだけどさ、それがなにになるのー?」
「雪くんの戦いぶりをなんとな~く見て見なくなっちゃってさー…大丈夫、ご褒美はたっくさんあげるから!」
「でも痛いの嫌だしなー…まず、戦闘経験のないただの一般人だよ?」
「だけどだけど、糸射出装置というものがあるじゃないか!それを駆使して闘う姿が〜…みってみたーい!」
あと一時間くらいしたら寝ようと思ったのに……
「まぁ…痛いのをなくしたらいいけどさ…」
「おっけ!なら、バリアを貼ってあげるよ!私が指定した数を倒すと、ご褒美の量を増やしてあげるよ!」
「バリアが壊れたときは?どうするの?俺死んじゃうの?」
「そんときは私の力で引き上げたるから安心して戦いなっ!」
…いいか。運動になるし、頑張るゾイ。
そう思った雪餅は、転移して向かうことにした。
………
転移の力ってすげぇ、と何回も感じる。
そんでもって、体育館くらいの真っ白い部屋に転移されました。
「じゃ、私は上から見てるから、頑張ってねー!」
「はいへい…」
すると、黒っぽい靄が上に出来て、そこから…ぽよんぽよんのスライムが5匹くらい出てきた。
スライムって、核を壊せばいいはず…。粘体は斬撃はあんまり効かないと思うけど、貫通して核を壊す…感じでやってみる。
すると見事に核が割れて…ふ、増えただと!?3匹斬ったのが、核が割れて小さな6匹のスライムになった。ならば…打撃で壊そう!と言うことで、踏んでみる。
ズチュッ…と音と共にスライムが消えた。音がなんかやな感じだが、倒したことは倒したことになる。それを何回か繰り返すと、スライムが全滅した。
スライムを倒すと、次は熊が出てきた。おいおい、レベル高すぎない…?と思う。
熊が立ち、威嚇するように吠える。ちょっと怖いが、壁の端から端までピンと伸ばしたピアノ糸より鋭く丈夫であろう糸を張っておく。そんでもって怖いので背を向ける。
すると、手が僅かに引っ張られる感じとともに、ドサァッと音とともに真っ二つになった熊がいた。俺への配慮かどうか知らないけど、血は垂れ流していない。良かった。
もし血がたれていたら、俺は思いっきりリバースしてた所だろう。断面図も、鉄をスパッ!と斬ったようにまっさらでグロ注意もない。
罠としては上出来なやり方かもしれないが、これが出来ない状況になったら…と考えると、自分から攻撃するのも必要なのかもしれない。さながらどこかの忍者のごとく粉々に打ち砕いてくれよう。
もう一匹出てきたので、天井に糸を張って…
「てぇぇぇぇぇぇぇえい!!」
と体重に身を任せて熊にライダーキックをかます…が、避けられる。なら、振り子の要領で背後から後頭部キックをしよう。
ドーン!!と後頭部を踏み抜いて、熊が、前に仰け反る。体にかかる運動量を減らすため、糸を引き上げながら上昇する。あ、やべっ、揺れている状態で引き上げたから…からだがまわるー!!ぐるぐるぐるぐるー!
[2分後…]
やっと吐き気が収まった…熊は上に居る俺をジャンプして狙おうとするが、クローも天井には届かず、まるでバスケゴールの網を触ろうとする小学生みたいになっていた。
さて…仕留めよう。糸を外し、ハンマーナックルを…っ!
ドーンッ!と大きな音がなると同時に、俺の2つの拳は頭に直撃していた。結構強い衝撃があったが、多分…頭が割れたようで、熊が倒れた。
間髪入れず、また熊がやってくる。倒して、また出る。お、今度はちょっと大きい。あ、めちゃでかくね…!?ならば糸で一閃!スパン!と斬れた。きもてぃぃー!
そしてそれをしばらく続けて…推定30分後。
「お疲れ様。もう必要な敵の数は…倒し過ぎだね。5体も倒し過ぎ。よく頑張ったねー。」
「えー!?なら倒し終わったら言ってよー!」
「ごめんごめんっ、スイレンと一緒にお酒をね、クイッと飲みながら見てたんだよー。」
「戦いぶりを見て楽しかったぞ?いい酒のアテになった。」
「もー…疲れてきたからさぁ…そういうのはもっと早くやってよぉぉ…」
「あははっ、ごめんごめんっ。さ、こっちおいで。疲れを取ってあげるから〜。」
言われたとおりにツリスさんの近くに寄る。なんと抱っこされた。俺はすかさず『は…?』と気が抜けた声を出したのであった。
「ちょちょちょ!?なんで抱っこしてるの!?俺齢16の高校生だよ!?なんで!?いい年してるんよワイも!」
「そんなに慌てなくたっていいじゃないか〜。見た目は小4くらいの美少女なんだから〜。素直に甘えてもいいのにー。」
「でもっ!俺男!こんななりだけど!!はずいわぁっ!!」
「むー…疲れを取ってやろうと思ったのにー…」
「もっと他にも方法はあるでしょうがー!!この前みたいに撫でたら疲れが取れるとかしてよー!!スイレンさんもなにか言ってくださいよぉっ!」
「カカ、面白いからそのままでいいぞツリスー。酒が進むわぃ。」
「スイレンさんもそっち側かいっ!!」
あはは…抗議し疲れたよ…
そんでもって、なんとか膝枕に落ち着くことができた。ナデナデをもらい、身体の疲れが取れていく。
そういえば…俺はなんか忘れているような…ん〜…
「あ、俺明日学校…学校やん!?え、やばない?寝れてないよ?ワイ。」
「だいじょぶだいじょぶ。神である私がそのことを見越して雪餅の闘いぶりを見たいと思ったんだから。」
「と、言うと?ふざけた事言うと、俺のしっぽもふりを無しにするからね?」
「…私、そんな信頼されてない?」
「…まぁ我も少しだけ。」
「みんなひどい!!」
…
「別にふざけた事を言うつもりじゃなかったんだけどな…えっとね、雪餅が満足行くまで寝れる部屋を提供してあげるよ。時間の面は心配しなくてもいい。時が進まないルームに入れてあげるから。」
「ほむ…じゃ、もう寝ていい?」
「いーよー。ゆっくり休みなー。」
そう言われると、ツリスさんとスイレンさんに案内されて、部屋に案内される。部屋の名前が飾ってある額縁には
『時の流れがここだけ遅くなる部屋。
許可制です。立入禁止。』
と描かれてあった。許可制で立入禁止って書いてあるけど、ダイジョブなのかな?
「心配しなくてもいいよー。だって私が決めたルールだもん。」
「あぁ、そ~言うことね。納得。」
確かにやりかねんな、ツリスさんなら…。
と言う事で入ってみる。すると空気の感じが変わった。なんか音がシャットアウトされたような…そんな感じ…?
「んま、ゆっくりしなよー。ここにはネットもお風呂もご飯もあるんだから、気が済むまでここに居な?」
「はーい。」
その後、『ゆっくりしなよ?』と言ったツリスさんがスイレンさんを酒飲みに誘い、雪餅と同じ部屋でドンちゃんやったのでした。
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