茶番三十八話 イブとマスの子供達(神様もいるよ)
無事間に合いました。
みんなは、冬と聞かれれば何を思い出すのだろうか。
雪…俺の名前に雪って付いているけども。そして、鍋。雪が溶けるくらいに暖かくて美味しい。最近のマイブームはチゲ鍋。節分…まだまだ先のお話だ。雪だるま…雪が降り積もったらワンちゃん作れるね。
だけど、うちらの世界では、クリスマス…そう。今日はクリスマス前日、イブの方。イヴだっけ?わがんね。
高校も冬休みに入って…なんとか赤点も取らずに冬休み突入できた。クラス順位は…察して。
冬休みの課題もツリスさんが案内してくれた、『時伸ばし部屋』…だっけか?それで課題を終わらせた。
ん〜…こういう時って、サンタコスプレをするのがいいのかなー?ていうかサンコスってあるのか…?
…
今俺は自分の身体の変化を日記とスマホに記入している。最近髪が紫がかってきて、身長も胸の大きさも少しずつ小さくなってきている。
服とかは、ツリスさんが持ってきてくれる。だいたい今は小学5年生くらいまでに落ち着いている。しっぽの大きさもほんの少しだけ小さくなってきている。ツリスさんの魔力が抜けてきている証拠であるのだろうか。
魔法を使うための魔力錬成はするのだろうか。しっぽの手入れはちゃんとしなくても良くなるのかな、と色々思うところはあるが…今日を生きてりゃなんとかなるさ。
冬休み前に電車を乗り過ごして1時間くらいロスしたけどだいじょーぶだいじょーぶ。あれ涙が…()
「おにいちゃん!明日とあさってって、なんの日かしってるー!?」
「ん、クリスマスイブと、クリスマスだね。」
「せーかーい!!サンタさん、来るといいな〜♪」
やっぱり幼女のソフランちゃん。クリスマスイベントは楽しみらしい。実際自分もちょっとだけ期待してる。
期待の話はとりあえず置いておいて…最近はやっぱり寒い。冬だから寒いのだろうが…純粋な女子生徒は足を出すスカートだから、物凄く寒いのだろう。あんな寒さ、肌タイツ1枚で足りるものなのだろうか…?
「最近、また一段と寒くなったよねぇ…雪餅さんや。」
「それな〜…流石に家の中でも半袖半ズボンはキツくなってきた…」
非雨は保温魔法を使って体温を調節している。魔法使い便利。だけどやっぱりそんな人でも寒いときは寒いらしい。
俺は動きやすいという理由で半袖短パンの姿でいるが、布団から出るとそれはもう寒いこと寒いこと奥深し、なので長袖長ズボンにジョブチェンジしようかと考え始めている。
あ…寒いから、寝るときにもこもこなパジャマを着ると凄く快眠できるようになったんだよね。あれは〜…最高。
「ゆっきー、クリスマス、なにか予定とかあるー?」
そして暇になったのか、非雨が話しかけてくる。お主、今料理してるやろ、火から目を離していいのか?
「ん、ないとは思うけどね〜。ツリスさんが突然予定をぶっこんでくる可能性があるから分からないんだよね。」
「だーよーね〜…は〜…自分の炎魔法、あったか〜…」
自分の指に炎をともしている。パフォーマンスかは知らないが結構危ないと俺は思うな。
「ん、危ないからやめろっていう目をしてるけど…着火して燃えないように温度は下げているんだよ?25℃くらいだからね!」
「25℃の炎って延焼するっけ…?」
まーいいか。そういうのは調べれば出てくることだろうし。
「今日のご飯は、大根と鶏肉の煮物だよー!」
「おっ、味がしみておいしいやつだねっ!」
さて、味がしみるまで待ちましょうか。
………
非雨が、
『やっぱり味がしみるまで暇だからさ、もう一品作ったよっ!』
と言い作ったのは、ほうれん草のおひたし。鰹節を添えて、薄口醤油をかけてやればもう立派な一品だ。というかそれらと煮込み料理を合わせれば立派な晩御飯だ。
「そろそろできるよー!」
「「はーい!」」
ご飯を自分で持って待機しておく。味噌汁は〜…よし、あるある。味噌汁は熱いから、ソフランちゃんの分まで持っていこう。
「よい…しょっと。じゃ、いただきますしようか!」
「「いただきまーす!」」
よし、食べよう。骨についてる鶏肉をほぐして大根に乗せて食べる…!ん〜…!至福のひととき…!しっかりと出汁がしみてて…!
「うまい!」
「おいし〜っ♪」
「ありがとねっ♪」
いやぁ…ご飯が止まりませんなぁ…身体が大きくなったから、食べるスピードも少し早くなったため、いつも最後に食べ終わる…ということはなくなった。ていうか今までが遅すぎたのだ。
「ねぇねぇ!おにーちゃん、おねーちゃん!」
「ん〜?モグモグ」
「どうしたの?ソフランちゃん。」
「こーこーでは、どんな事をやってるの〜?」
「こーこー?」
「おねえちゃんたちがいっているがっこうなのっ!」
「ふむふむ…えっとね〜。やっぱり勉強は欠かさずやってるね。体育は〜…陸上…つまり、ずっと走ってたりもしてるよ。」
「わたし、ずっとはしれない…」
「だいじょぶだいじょぶ。休憩時間は取ってくれるし、走るの終わったら、野球とかサッカーをしてるんだよ?」
「お〜…」
……
「と言う事で、高校はだいたいこんなことをやってるんだよっていう話は終わりだね。私たちはまだ1年生だからあまり濃い内容はやってないけど…」
「けど?」
「いずれパソコンとかを触るようになるし、ソフランちゃんが憧れている仕事に対する勉強もするんだよ〜?」
「わたしのあこがれ〜…ツリスねえさんみたいに…はむっ…けふぁのひゅひをふぁおしたい!(けがの人を治したい!)」
「ソフランちゃんの将来の夢は、お医者さんかな〜?俺も将来、ソフランちゃんに診断を受けてもらいたいな〜…」
「…!わたし、むぐむぐ…!おいひゃしゃんになる!もぐむぐ…!」
ソフランちゃん、意図は分かったけど、しっかりと飲んでから喋ろうね…?
だけど、ソフランちゃんがやる気を持った。これは良きことなんだろう。
………
「「「ごちそうさまでしたー!」」」
女世帯(俺の中身は男だけど)のご飯は完食。まいうーでした。
この後俺のしっぽの手入れを非雨にやってもらってすいみーんたーいむっ。とはならないんだよね。今日、俺は夜ふかしをしよう。
というのも、前日、ツリスさんに、
『そろそろ自分の魔力も収まってきた頃だし…魔力錬成とか再開してもいいよね?』
と言ってみたところ、
『ん、んじゃ明日の深夜、ソフランちゃんと非雨が寝たら連れて行くから、起きててねー。』
と言われた。この事を話したら、ソフランちゃんはともかく非雨は絶対に起きているだろうし、内緒にしておいたのだ。
……
とゆーことで、俺のしっぽていれたーいむっ。と言ってもこの前やってもらったことの繰り返しなんだけどね〜…。
「きょ〜は毛先がぼさぼさだね〜。なにしたのさ?」
「しっぽをぶるんぶるんってやったら、壁に激突しちゃってさ…痛かった…」
「あ、昼前に『いぎゃいっ!』って言ってたのは、そのせいだったんだね〜?」
「あれはホントにやらかしたと思っている。」
と話しつつしっぽを手入れされている〜…しっぽの毛が整えられていく感覚は、なんとなくスッキリするような感じだ。
「はい、手入れ終わり〜だよっ」
「ありがと〜ございます」
手入れタイムが終わり、就寝準備に入る。上記のように、俺は夜ふかしをするのだ。
消灯!パチッ。
男の頃はスマホを使わないと見えなかった暗闇が、狐の人化…?魔族化…?のおかげで夜目が通るようになった。
そのためいつ寝たかわかる…んだけど…静寂。寝息すらないことは、まだ寝静まってないことだ。この状態で待っていろというものだから、俺まで寝てしまうかも…
……
…も…もうねる…ねむ……
「ごめんごめん、予想以上に非雨が寝付くのが遅かったから、転移させるのが遅れちゃったよ…」
「ふぇぇ…?ねむいよぉ……」
「全くもう…だったら、雪餅の耐性を消去、でりーとして〜…」
「んぇ…?」
「しっぽもふ〜っ!!」
「ひゃひぃっ!?」
まっ……て…それはっ……しぬっ…!しんでまうっ!いきのこれないっ!
「はひ……参りました…」
「うむ、よろしい。」
…なんとか落ちついた。
[おれは!いぎを!もーしたてる!]
「なんで耐性切ってまで起こしにかかるんだよっ!揺さぶるとかでもいいじゃないかぁ!」
「そうでもしない限り起きないかなーと思ったんだよね。雪餅は眠るときは眠るし。」
「う、うん…耐性切るのなら、しっぽじゃなくて、耳にしてほしかったなぁ…しっぽ、非雨に手入れしてキレイになってたんだからさ…」
「ん〜…それまでは頭が回らなかった。ごめん。」
むぅ…なんだか憎めん…
「今、ちょっとしっぽを整えるけど、魔力鍛錬が終わったら、しっぽを完全に整えてあげるよ。」
「だ、だったらそれで許す…」
「それが終わったら、また雪餅をあっまあまにしてあげるよ〜。」
「そ、それって…」
「そう。雪餅がものすごく安心するあの胸密着の寝方。」
「はうぅぅ〜…」
めちゃ恥ずかしいが、実際安心するから不思議なのである。
「んま、起こしちゃったからさ、一所懸命に魔力出して、お風呂入って、私とたくさん寝よ?」
「そうでもしないと帰れないならなぁ…頑張りまっせ。」
重い胸を持ち上げ立ち上がる。そして約5ヶ月ぶりに魔力をいじる。これだけ期間が空いているとやっぱり放出量は減る…
けど、しばらくやっていなかったことが、久しぶりにやると、「なんかできる!」というあの現象…いま起きています。
とはいえ、5ヶ月も空いているとから…ツリスさんの魔力も少しずつ、少しずつ抜けてきている。その証拠として、髪の色が紫かがってきている。
まず髪の毛が紫なのがアニメキャラみたいなものなのだが…そのツッコミはうちらの人に言ってもいつも通りの反応しか帰って来ないからあまり言わないようにしている。
指先から魔力のやつ…狐火だな。
それがだいたい15分維持できるようになった。これを成長…といえるだろう。久しぶりにやってこれだ。もっと上手くなる。
「よーしっ、15分維持できるようになったね。おめでたいおめでたいっ。」なでなで
「ん…俺は…もう小さい子じゃない…」
だけど嫌な気はしない。不思議である。
結局俺が維持できた分数分だけなでなれた。飽きるだろと思うかもしれないが、ツリスさんのしっぽのナデナデが結構よかった。
そして汗をかいたので、二人きりで温泉へごう。今は仕事をしている神が多くてあまり利用者が多くないらしい。
いつものように神のチート能力で転移して、天界の温泉宿らしき所に着いた。
「おーいっ、おっちゃーんっ。私だ〜。」
「お?ツリスじゃないか、その子は連れかい?」
「私が育ててる人間だよ、顔パスって言うことで、この子も一緒に入らせていいかい?」
「がめついなぁツリスよ…今回だけだぞ?」
「やったぁっ。」
「あ、ありがとうございます…」
へこへこと頭を下げる俺。やっぱり人間体じゃない人が出てきたらびっくりするって…
そしてやっぱり人間とは違うなにかを感じる。そしてちょっと温泉が楽しみ。
「神によってはね〜、結構温泉めぐりとかしてることが多いんだって。んで、神に与えられた暇な時間を使って、ゆーっくりと温泉に入るんだよ〜?」
「ツリスさんも、その類?」
「そのとーりっ、さっ、入るよ〜?」
と言う事で、着替えて、やっぱり和風の扉を開け…
ていうか、着替えて、という一言でよく済ませれるよね、俺。仮にも女の子の身体で胸も大きいし…やばい。
「あれ?シャワーがない…?」
「そうそう、人間と違って、神はお湯やシャンプーとかを自分で出せるから、こういう光景はあまり慣れないよね。」
「でもこの前非雨が言ってたよ?シャワーとかもある温泉もあるって。」
「そりゃ天界の温泉経営者の好みだろうね〜…景色を大事にするか、疲れを飛ばすための機能性を重視するか…それか、両立させるか…」
「人や神には色々好みがあるもんね〜…」
「そ。じゃ頭を洗ってあげるから、頭を出しな?」
「はーいっ。」
頭を出し、ツリスさんが文字通り魔法のシャワーを出して頭を洗ってくれる。自身が洗うよりもきもち゛えぇなぁ。
「耳も洗うからね〜。狐耳に水が入らないようにするんだよ〜?」
「あ…俺、それのやり方がわからなくて、ずっと狐耳に水が入ってた…」
「おいおい…私がやり方を教えてあげるから、ちゃんとやるんだよ?」
と言われ狐耳をまさぐられる。耐性を付けているので大丈夫だか…なんか頭…脳内に入ってくる。
「あ、行けそう…。」
「出来るかな?」
ぴたっ…!
「おっしゃ!出来た!」
「おめでとうっ!」
「よしゃー!」
うれしい…耳を閉じれたのは嬉しいのだが…絶対褒められてると思うのだが…
そう、何も聞こえない。耳を閉じると全く聞こえない。口パクしてるツリスさんしか居ない。
「…?」
「あ、あれ…?聞こえない感じ…?じ、じゃあその間に耳を洗おっか〜…」
と言われ、しゅわしゅわな泡に耳が包まれる。泡とツリスさんの体温が心地よい。
耳を閉じているからといって感覚がなくなるわけでもない。音が聞こえなくとも、ぱちぱちとかを感じれる。
〜…♪自然としっぽが揺れてしまう。こう言うのは好きな部類なのだ。耳の閉じ方がわからなかったら、この泡が耳の中に入って地獄を見るだろう。
ツリスさんのシャワーがかけ終わったので、耳を開いてみる。
「あっ、音がある!」
やっと聞こえた。セルフ耳栓している気分だった。
「そうだった、そうだった。普通の狐族は、耳を閉じると音が聞こえなくなるんだった。ごめんごめん。」
「ん、あの泡と手が暖かかったし、気持ちよかったから別にいいよ。またやってくれると俺的にはすごくありがたいんだけど…」
「それくらいならおーけーおーけー。いつでもやってあげるよんっ。」
よっしゃ。うれしみ。
さて自分は身体を洗い終わったので入r…
「ちょっと待てい。しっぽが終わってないでしょ?」
「あっ…忘れてた。失敬失敬。」
そうだった。俺には8本のもふもふしっぽがあるじゃあないか。
「はーい、しっぽを一本一本丁寧に洗っていくよ〜?まず一本出して〜?」
「りょーかーいっ。」ぴょこっ
一本だして〜…は〜ぁぁぁ…ごしごしされるぅぅ…ツリスさんの手があったか〜…
「雪餅、最近非雨にしっぽの手入れしてもらってるでしょ?」
「うみゅ?しっぽの扱いに慣れている非雨に任せてるけど…」
「ふむふむ…自分のしっぽの手入れ、ちゃんと自分でやってるかな〜って思ってね。」
「たまには自分でやってるよ…でも、俺がやるより、非雨のほうが毛先の整い具合とか、モフモフさが違うんだよね〜…」
なのでたまに自分がやりつつ、非雨に任せているって感じだ。
「そろそろ自分で出来るようにならないと、自分が困ってくるよ?」
「そうなのは分かってるんだけどね〜…いつツリスさんの魔力が切れて、人間に戻るかもわからないし…」
「だから、今度さ、耐性を切って、洗い方を覚えるまで自分のしっぽの手入れをし続けるというの「そんなの拷問じゃないかぁっ!!」
頑固拒否させてもらう。耐性があってこそのあのモフモフなのだ。なかったら…俺は多分、男としての尊厳を捨てることになるだろう。
「捨てて本格的に妹になってもいいんだよ?」
「るせっ。」
余計なお世話だって言いつつ、しっぽを洗われていく。水を吸ってしっぽがモフモフじゃなくなったが、まぁ乾けばいつものふわふわもふもふしっぽが戻るであろう。
「じゃあ入るね?」
「はいよっ。私は自分の身体を洗っておくね?」
湯につか……ふわぁぁぁ…なんだこれぇぇぇ…入った瞬間疲れが一気に吹っ飛んだ……それに、なんだか肌がすっべすべになっていく気がする…
温泉のやつで美肌、疲労に効果があると書いてあるやつがあるけど…これ、最高級のやつじゃないの…ぉ?
「〜〜……♪」
水分で重たくなっているはずなのに、しっぽが揺れてしまう。なんだこの中毒になるような温泉……
……
「よっと…雪餅、生きてる?」
「気持ちよすぎて溶けそう…やばくない…?」
俺のしっぽをかき分けられた後、ツリスさんの膝の上に俺がライドインする形になった…いや、入っていないな、乗っかっているな。
「でしょー?これは神の私でも効能がヤバすぎて気持ちよすぎてとろけそうになっちゃうよ。」
ふむむ…やべぇなこの温泉…。
そして早10分。とろけそうになったらツリスさんが引き上げて…の繰り返しで見事に逆上せた。気持ちよすぎるからね。妥当な結果と言えよう。
………
「あ゛あ゛〜…しごかれるぅ゛ぅぅぅ〜…」
「変なこと言ってるんじゃないよ少年。」
「実際しっぽをしごいてるのは事実じゃないかな!?」
と、しごく…と言うよりかはしっぽの水気を撮って、手入れをしてくれている。既に身体に付着した水分は吹き終わり、大事なところだけを隠す下着だけを着て手入れをする。要するに夜の女子会?的なやつ。
「何考えてるねん少年、ていっ。」
「いてぇっ!?」
と脳天チョップを食らったところでしっぽの手入れが終わり、服を着る。もこもこ、温かい。もちろん用意したのはツリスさんです。
そしてツリスさんの転移でツリスさん宅に戻り、いつもの部屋に戻る。
「さっ、お風呂上がりといえば?」
「言えば…何…?」
「酒盛り…と言いたかったけど、雪餅がお酒飲めないし、フルーツ牛乳で我慢するよ。」
と言い、両手の手のひらを広げると瓶のフルーツ牛乳が降ってくる。
「さ、飲みな?冷え冷えキンキンだよ?」
「では…いただきますっ!」
フルーツ牛乳を流し込み…お風呂に入ったあとでも、少しだけ熱された身体が冷えていくのが感じる。そして、甘いっ、うまいっ!
「くっは〜っ…お酒もいいけど、これもいいね〜!」
「飲み終わるのはやっ!?」
どこぞの剣持った子供より早い牛乳の飲み干しを感じた。多分一口で飲んでるからあれより早いんじゃないかな。
俺も飲み終わった。美味しかった。
そして休息の時間がやってくる。要するに眠たくなってきたから寝る。さっき冷たいもの飲んだけど、お腹はツリスさんが温めてくれると思うから多分下さないと思う。そういう事だから、遠慮なくツリスさんを抱き枕にして眠ることにした。
「おっ、グイグイ来るね、雪餅。」
「るせ〜…たまに甘えたいことだってあるんだよ。」
「いつも非雨に甘えてるのにね〜?」
「それは言っちゃ…いけん…」
会話をする毎に眠気が増していく。ツリスさんの柔らかさと体温がちょうど抱き枕としてちょうど良くて…
…背中を優しくとんとんされている気がする。いつの間に俺はツリスさんに身を任せていたようだ。
頭も働かない中、ツリスさんが「おやすみ」と聞こえたのを最後に眠りの沼に引きずり込まれた。
………
「おはよーっございます」
特に何もされずに起き上がり朝の挨拶を口ずさむ。右には非雨、左にはソフランちゃん。奥にツリスさん。寝転がっているが、多分寝たふりだろう。
(よくわかったね雪餅。)
当たってたし。
そして両隣の姉妹が起き上がり…非雨さん、寝ぼけて目をこするのはいいけど、しっぽまで擦り付けるのはなんでです?わざとです?寝ぼけてるのかな?
「ん〜…おにいちゃんおはよ〜…」
「おはようソフランちゃん。今日はなんの日か、わかるかい?」
「クリスマス!(*´∀`*)/」
「おめでとう、正解だよ。」と言い褒める意味でソフランちゃんの頭をナデナデする。幼い子は褒めて伸ばすのが基本なのだ。多分。
「ゆき〜…私にもなでて〜…」
「お主は甘やかす側でしょ…?」
「おねえちゃーん!」
「はーい?」
「おねえちゃん、よしよし〜♪」
あ、ソフランちゃんにナデナデされたから、非雨の眠気がぶっ飛んだと思う。顔を満面の笑みにして
「ソフランちゃーん!♪むぎゅ〜♪」
「きゃ〜♪」
朝から騒がしいが、これなら不快な気持ち一切なく、いくらでも見ていられる。
「よ…っと、今日はとりあえず、七面鳥やパエリアを作ってみようと思うんだ。」
「しちめんちょー!ぱえりあー!」
「美味しそうだね〜。俺も手伝えることがあるなら手伝うよ。」
とみんなと朝の会話を交わす。
「…。」
「ツリスさん?」
「あ、あぁなんでもない。ツリスマスツリ〜…」
「ツリスマス!?」
「い、いや、クリスマスツリーだね、持ってくるから待ってて。」
と言うと使わなくても帰れるはずなのに、転移魔法陣を展開し始めたツリスさん。
消える途中で「ツリースさんツリー」とおふざけで言ったら、顔を赤くしながら転移していった。いつもやられているお返し。いいのが見れて満足満足。
転移の力を得た狐の人…この場合はツリスさんだね。30分もかからず朝ごはんの時に戻ってきた。
そしてツリースさんツリーと言った俺に特に何もすることも無く朝ごはんのときが過ぎていった。あ、朝ごはんは美味しゅうございました。
朝ごはんを食べ終わった俺らは、4人掛かりでツリーを設置することにした。
そしてツリスさんの魔力を流して点灯!ぱちちー! 立派なクリスマスツリーが出来上がりました。
「まだ日も落ちてないのに、すごく明るくてキレイ…!」
「流石私の魔力だね…!狙った通りに魔力の調整ができたよ。あ、眩しかったら言ってね?すぐに光を弱めるから。」
「「「はーい!」」」
クリスマスツリーが立って、それらのイルミネーションに見惚れつつ、ソフランちゃんにもふもふされること1時間…
「ねぇねぇ、みんなで雪遊びしないかい?」
「ゆきー?つめたいよね…?」
「確かに雪は冷たいね。かと言って私の魔法で温かい雪にしたって、季節感がなくなってしまう…。だから、手袋とか防寒機能のある服を私の収納庫から持ってくるから、待っててね、あ、雪餅だけ、私のところについてきてね?」
「な、なんで俺だけ…?」
「そんなん後々。とゆことで非雨、こたつの中でソフランちゃんにしっぽをモフらせながら待ってて〜。」
「私も行きたかった…(´・ω・`)」
「ん〜…とにかく、おねーちゃんのしっぽをもふもふしてるー!」
とソフランちゃんが締める形で言った後、転移で機能も来たツリスさんの部屋に来る。
「という訳でぼーかんきのうの服〜…ぼーかんきのーのふくー…」
「…なんでわざわざ転移する必要があったん?」
「収納庫は私の魔力に比例して大きくなるんだよね。」
「うんうん。」
「私、これでも地球の神様じゃろ?」
「自分でこれでもって言っちゃうんだ…」
「うるさいぞゆきっ!もちもちー!」
「ぷくーーっ…」
物理的に目にも止まらぬ速さで俺のほっぺをもちもちもちもちされた。ほっぺたがちょっと痛い。
「ふぅ…んで、上には上がいるけど、私の魔力は凄く多くて強いんだよね。んでそんな私が収納庫を使おうというのなら…?」
「ほぼほぼ無限に収納できて、その量が半端ないからここに転移してきた…?」
「その通り。よくわかったね。」
「流石にここまで説明されたら多分わかるよ…?」
「そっかそっか。じゃあ、話を切り替えて…そろそろ出していくからね?」
「ほーいっ。」
と言う事でツリスさんの収納庫の中身を見てみよう。中身は人間だけど、身体は狐族の目と耳を持つ人なんで、何が出てくるのかは分かるのだ。
結果として
・よく分からない酒瓶→1000個以上
・キラキラ輝く宝石→わがんね
・ツリスさんのおつまみセット→色々
・多分国宝レベルの武器→種類いっぱい
他にも色々あったが、俺は数えるのをやめた。酒瓶なんか、数えているだけで頭がショートしてしまう…1000個くらい数えた俺を褒めてほしい。
「あった〜!防寒用のもっこもこの手袋とジャンバーがあった!」
「なんでそんなに酒とか出す必要があったのさ…?」
「今日、スイレン達と一緒に酒飲み会をするんだ。クリスマスが終わったら、雪餅も参加するかい?ただおつまみをたべるだけでも良いからさ。」
「考えておくわ。眠気の関係と小腹が空いてきたら、だけど。」
酒飲む会には興味はある。この前会ったスイレンさんにも『メリーツリースマス』って言いたいからなんだけど。
防寒用の服やら手袋やらが見つかったので、みんなのところに戻ることにした。そしてそれを装着し…ツリスさんによる雪国への転移がまた始まる。
「このてぶくろ、ものすごくもこもこする!」
「でしょう?ソフランちゃんに合うサイズがあってよかったよ。」
「まるでおにいちゃんやおねえちゃんのしっぽを触ってるみたいに、もこもこする!」
「…ツリスさん、なんか手袋とかの感触とかいじった?」
「いやいや、全然そんなことないよ。雪合戦しているときに雪餅の耐性が切れて、悶えている所を見せたら教育に悪いからね〜…」
そりゃそうだ。俺だってしっぽに雪玉当てられて、『ひゃひぃっ!?』って声を上げたくない…急に当てられて、びっくりした声も出そうだけど。
「ツリスさん、ソフランちゃんが着替え終わったから、行こ?」
「ほいほーいっ。」
指を鳴らしてみんなを転移させる。指を鳴らすのはかっこをつけるためだろうか。まずみんなを転移させるだけでもすごいと思うのだが…
「転移させるイメージをつけてるんだよ。決してカッコを付けているわけじゃないんだ。」
「ツリス姉ちゃん、すごーいっ!」
「ほへぇ…ツリスさんでも、魔法にイメージをつけるんだね。」
なるほどと思った。そして、距離が長いのか、10秒くらいかかって、全面白銀の雪景色に到着した。
「ゆきだー!!」
「雪餅だー!!」
「おい…」
確かに白銀っぽい髪色だけど…最近紫がかってきたけど…ま、まぁ雪合戦をしようか…
「雪合戦しよっか?」
「するー!」
「よし、打倒ツリスさん。次点で雪餅。」
「なんで俺ぇ!?」
と非雨さんの打倒宣言が入ったので、返してやろうと思う。いざ頑張れよ俺の身体。狐の獣人のすばやさをみせてやれー。
そうして雪合戦が始まる。雪球は投げやすく速度も出やすいので、あまり固めないで投げている。多分ツリスさんが持ってきた防寒服とかだと思うから、耐久度やらは大丈夫だと思うけど。
ルールなどは…10発あたったら退散という形になった。ツリスさんも参戦するが、強すぎるため、めちゃめちゃ手加減してもらっている。
俺と非雨、ソフランちゃんとツリスさんの2ペアで戦う。自己申告制なのでズルしようと思えばできるが、しないでおく。多分ツリスさんの鉄拳(耐性切りしっぽもふもふ)がやってきそうだからね。
とまぁ結果として俺とソフランちゃんが残ったわけなのだが、幼女相手に本気になれるわけでもなく…負けた。
と言う事で第一次雪合戦大会はソフランちゃんの優勝だった。
「私もソフランちゃんのチームに入ってたでしょ!?」
「結果的にツリスさんは先に10発当たって退出してたのでノーカンです」
「悔しいいい!!!」
…………
雪合戦を数戦した後、雪国本場の玉こんにゃくをお小遣いで買って食べることにした。寒い土地で食べるアツアツな玉こんにゃくは、からしを付けて食べると美味しい…のだが。
「あっ…ごほっ……はふっ…からい…ぐふ…」
男の頃のノリでからしを付けたらやっぱり辛かった。少しずつ幼女の身体への道を進んでいる俺にとって、この身体ではまだ早い体験だった。
「くぅ…からしを付けて食べる玉こんにゃくが美味しいのに…」
「おにいちゃん、おとな!」
「まぁまぁ…からしを付けなくとも十分美味しいじゃないか。」
と宥められて玉こんにゃく編は終わりとなった。あぁ、愛しと言うわけでもないけど、からし玉こんにゃくが食べたい。
………
ツリスさんの転移で自宅に戻った。やっぱり転移は強いと思う自分がいる。
ツリスさんの魔力が日々抜けてきている自分だが、自身の魔力体の身体で転移を覚えられるように努力したいところだ。
まだ夕飯まで時間があるため、テレビを見ることにしよう。珍しくツリスさんも見ていることだし、曲芸でも見たいものだ。
「私は動物園の見世物か何か?」
「ある意味そうかもしれない。人間には持ってないものをたくさん持ってるもんね、ツリスさん。」
「ツリスねえちゃんはすごいもんね!」
「そ、そう?」
やっぱりソフランちゃんのデレにはものすごく弱いツリスさん。俺も非雨もそうなのだが。ないとは思うが。もし喧嘩をしたとしても、ソフランちゃんの仲裁で止まりそうだ。
そういった感じでテレビを見て時間が経ち、夜ごはんの時間となった。
「今日は七面鳥だよ!」
「「おーっ!」」
その他に、お刺身盛り合わせ、サラダ、コンポタ(1時間前から作っていた)が出てきた。これは結構クリスマスしてたんじゃないかと。
ではっ、手を合わせて…
「「「「いただきまーす!」」」」
七面鳥のもも肉を手にとってしゃぶりつく。俺が焼いたときはいっつもパサパサになるもも肉が、肉汁がたっぷり溢れてすごく旨い。最高です。
みんなもニコニコとしていてとても目に良い表情をしていて、もう笑顔です。これがずっと続いたらもう我が生涯一片の悔いなしって言って魂を天国に送り届けそうだよ。
刺し身盛りも…適度に脂が乗ったエンガワをわさび醤油につけて…ぱくっ……ん〜……コリコリとしていて、くどくない脂が甘くとっても旨い。これは、ご飯が進みますなぁ。
七面鳥の肉をサラダと一緒に食べることによって、野菜も一緒に摂取できて、実質100カロリーほど摂取できる。どこぞのパンみたいに0カロリー理論は通用しないと思う。0カロリー理論は通用しないが、肉汁が野菜と絡まって旨い。
うまいばっかりしか言ってないが、それほどうまいのだ。今度、自分で七面鳥で出汁を取って、激ウマ鶏スープをつくろう。
そして満腹。
「ごちそうさまでしたっ。」
「あれ?もうお腹いっぱい?」
「うん。非雨の七面鳥の火の通し加減がぴったりで…肉汁たっぷりで美味かったよ。」
「ふふっ、どういたしまして♪」
褒めたら、頬を赤くして喜んでくれた。こっちまで嬉しくなってくるぜ。
ということでみんなが食べ終わったので…
「「「「ごちそうさまでしたー!」」」」
うん。主にツリスさんと非雨さんのおかげででっかい七面鳥が完食。全部空っぽである。
「ふぅ〜…おなかいっぱいだよ〜…」
「美味しかった?」
「おいしかったのっ!特におにくがおいしかった!」
お、ソフランちゃんも七面鳥を選んだか。目がいいね、多分ツリスさんも評価するよ。ほんとに肉汁たっぷり外カリカリ中ジュワジュワの最高な肉やぞ。
「ふふふ〜…私の魔法の腕が上がったってことだね〜…♪」
「この肉、非雨が焼いたのは知ってるけど、魔法で焼いたの?」
「うんうん。オーブンみたいに火力を調整しながら焼いたから、肉汁たっぷり、中はしっとり外はカリカリの最高級な焼き加減になったんだよね♪」
ほほぉ…やっぱり魔法はこういう事ができるんだな…すごい。俺も早く真似したい。そして厨二病の如く魔法を使いたい。
………
ご飯を食べ終わった後、ツリスさんが『クリスマスにふさわしいやつを準備してくるから、ちょっと待ってて。』ってみんなに言って10分くらい経った。だいたい一瞬で終わらせるツリスさんにとっては珍しいと俺は思う。
「ただいまっ。」
「うおわっ!?だから目の前に転移するのはやめてって!非雨にしてよ!」
「なんで私なの!?ま、まぁツリスさんなら、しかたないかぁ…とも思うけど…」
「みんな、ひどくない?(/_;)」
だってツリスさんが自分の能力を駆使してやばいことをやっていることは俺らもわかってるし…
「人間や天界の法には触れてないよ!多分。」
「「たぶんなんかーいっ!」」
……
「ツリスねえちゃん、どこにいってたの?」
「えーとね、クリスマスに相応しいことをしようと思ってね。非雨達のために簡易的な世界を作って、花火を打ち上げようかなって思ってたんだよね。」
「「「は、はなび?」」」
「そうそう、花火。うちあーげーはーぁぁなぁぁぁびぃぃぃ、の方の花火。」
「さっきのツリスねえちゃんのこえ、すごくきれいだった!」
「にししっ。ソフランちゃんに褒められるとうれしいなぁ♪」
えーと…少し思った。花火は花火と言っても、『ド○リアさん、○ーボンさん、見てください!このきれいな花火を!』みたいなやつじゃないよね…?ツリスさんなら有り得そうで怖いんだが…?
「流石にそんなことはしないからね!?普通に中に火薬が入っているきれいなやつだからね!?」
「ほっよかった。」
「ん〜?どういうこと〜?」
「星を爆発して、その景色を楽しむんじゃないのって雪餅が聞いてきたんだ。私もそんなことはしないさ。」
「ツリスねえちゃんなら、ほしをどっかんできそうなのっ!」
おぅ…これはソフランちゃんも俺らの影響を受けているな。ちょっとびっくりしてるしツリスさん。
「…うぉっほん。そのことはおいておいて…花火については、ソフランちゃんはわかるでしょ?」
「うん!たーまやーってして、きらきらひかるやつでしょ!?」
「正解っ!えらいねぇ!」
「えへへ(〃∇〃)」
なんだろう、ソフランちゃんが喜んでいると、こっちまでにっこりとしてしまう。もうこの家の癒やしのソフランちゃん。可愛い。
「うん。ソフランちゃんはあいも変わらずかわいいねぇ。」
「ほめてもなにもでないよぉ♪」
あーもう、にこにこしてるとこっちもニコニコってしまう…かわいい…天使…
「じゃあ、もう準備は出来ているし、見に行こっか。今回はね、突然の思い出しだったってのもあるし、300発くらい用意しておいたよ。」
「さ、さんびゃっぱつ……」
「そして、飽きないようにバリエーションも多彩だよ。楽しみにしててね?」
「すごーいっ!あーいうのがたくさん見れるの!?」
「うんうん。それよりもっと大きいのをたくさん用意しているよ。」
「相変わらずツリスさんは凄いな…」
どこまでも桁違いだな…と思った。そして、『はーい、転移するよー』の声とともに、視界が変わる。
………
転移した所の周りを見る…がっ…真っ暗…狐の夜目で非雨達を視認していると言っても過言ではない。男の頃だったら、視力が激ヤバなので、見えなかったのかもしれないけど…
「では、これより花火大会をはじめまーすっ!」
「観客は俺らだけだけどね。」
「みーえーなーいー!」
「あぁ、ごめんごめん、ソフランちゃんには、暗視魔法をつけておくからね。」
ソフランちゃんの頭をなでる。そして魔力を感じる。
「あっ!見える!まっくらだけど見える!」
「でしょ?さ、花火を上げるからね?」
そして定番の指鳴らし…から数秒後に、夏の花火大会では聞きなれる音が出る。ひゅーーーーっと音がなれば、ドカンと一発。お膳立ての小さなやつではなく、花火大会のフィニッシュを飾るような大きさ。
「わぁ〜〜…きれい…」
「でかくて綺麗…!雪餅っ、また上がったよ!」
「おぉ…今度は猫ちゃんがたくさん…更にネコカン…題材はともかく、見惚れるね…これ…」
「題材ってなんだよぉ、失礼だなぁ。私がもっと花火を上げるから見とれてなさいっ!どかーんっ!」
と言い、花火をどんどんと上げる。ダイヤモンドの形やぱちぱちとなる天空花火などさまざまなものが打ち上げられる。
「あっ、あれなにー!?ほしが出てきたー!」
「どかんと鳴ると色んな色が散りばめられる星の花火だよっ!まだまだ沢山あるからどんどん上げるよー!」
まるで1つの銀河、2つの銀河と増えていく星の数。5発上げるだけで、真っ暗だった夜空が星空となった。色んな色があるので、人によっては不快かもしれないが、俺らには好評だ。
そしてきれいな花火がたくさん打ち上がり…ツリスさん情報によれば、ラスト1発になった。
「最後に、花火で私達を表現してみようと思ったんだよね…じゃ、打ち上げるよ!」
「「「はなび(花火)で?」」」
そりゃまた興味のある題材…前座があれほどすごかったから、出来は最高級と見られる…
「では、ご覧あれっ!」
というと、聞きなれた音が出て…炸裂するとともに…ソフランちゃん!?
「わ、わたしがはなびになってるー!?」
「すごーい!ソフランちゃんの花火だー!って私のもあるー!?」「そして花火が残ってる…つまり?」
「そう、雪餅と私の花火も上がるよ!
その瞬間に俺とツリスさんの花火が上がる。みんなの花火が集まって…記念撮影的な集まりとなり…す〜っと消えていった。
「おねえちゃん!きれいだったっ!だけど、ちょっときえていくのがさみしかった…」
「花火が消えても、私達は近くにいるから大丈夫だよぉ?」
「そうだよっ!ソフランちゃんは私のかわいいかわいい妹だからねっ!」
「それに、天使でもある。」
「…!みんな、だいすきーっ!!」
みんながソフランちゃんに対して優しい言葉をかけ、嬉しくなったのか更に天使反応を見せるソフランちゃん。いつまで経ってもやっぱりソフランちゃんは天使であった…。
そして、1番はしゃいでいたのもソフランちゃんだった。俺らは花火を生で見たことがあるから…と言っておくが、今まで見てきた花火大会が何だったんだっていうくらいボリューミーで質が良かった。もう2つの意味でお腹がいっぱいだった。
ツリスさんの転移で戻ってきたが、まだ俺には一仕事残っている。
実は学校の暇な時間を使って、ソフランちゃんのマフラーとエプロンを塗ったり編んだりしていたのだ。え?知らねえって?当然だよ、だって言ってなかったもん。
エプロンはソフランちゃんの服から採寸して、マフラーは75センチから1メートル当たりを編んでおいた。ま、まぁ、結構説明書と
か見たけど…いいよね!
と言う事で、急ピッチでツリスさんに頼み込んで、気配を消す魔法を教えてもらった。ツリスさんに頼んで道具を貸してもらうというのもあったが、これだけは自分の力でやりたかった。地味にこれが初の魔法を使う機会だが、魔力式とかも短期的だけど覚えた。
ツリスさんが言うには、持って7分らしい。すぐに覚えられる初級の気配を消す魔法らしいので、狐火を維持するよりも魔力が消費されるらしい。
…教えてもらうために、サンタクロースコスチュームを着せられた。ま、まぁ雰囲気にあってるからいいや…露出多いけど…寒い!
うぉほんっ。と言う事で家に転移させてもらって…ソフランちゃんが寝たのを確認して作戦開始、これよりスニークな隠密行動を求められる。
ただプレゼントを置くだけと侮るなかれ、見た目の割には結構鋭いのよソフランちゃん。
そーっと、そーっとぉ……
「…むにゃ…」
ビクッとなったけど、寝言かな…良かった。よし…接近完了、後は枕より上らへんにプレゼントをそっと置く。あー…物体にかける消音魔法とかあったらいいのにな…
よし…置けた…維持できる魔力が少ないから…さっさと撤退して着替えよう…
脱出成功!ミッションクリア!良かったよくやった!後は着替えるだけ…とりあえずサンタコスを畳んで置いて…もこもこパジャマを着て…よし終わり…俺も寝ようか…。サンタじゃないふりもしなきゃいけないしね。
再度入室。ソフランちゃんは寝ていることを確認。ばって隠れる訳でもなし、本当に寝ている。
布団をかぶって…いやぁ…寒かった肌にもふもふ毛布が染み渡るぅ…おやすみぃ……
……
『まったく…なぜ我がツリスの代わりにサンタ役をしなきゃならんのだ…ツリスには良く酒を飲んでいる仲だから別に良いのだが…』
そうぼやくのはこの前雪餅をツリスさんの娘だと勘違いした神、スイレン。
「…さっさと済ませて、ツリスとの酒飲みの続きをやるか…」
そう言うと、雪餅に教えられた気配を消す魔法よりも強い術式を展開し…人間相手だと捉えることもできない隠れ方をした。
仕事をこなすようにみんなのプレゼントを置いていく。置くときに生ずる「コト…」という音も出ない。
仕事終わりのスイレンはそのまま転移し戻り、ツリスさんと酒飲みの続きをした。
………
「ねーねー!箱があるよー!」
「ん、んぅ…?ソフランちゃん…?どうしたの…?」
「ね…ねむ…しぬ…おれ…しぬ…」
俺は魔力を使った反動でまだまだ眠いのだ。そしてソフランちゃんがすごく慌てている…プレゼントを見たのだろう。
「わたしのもあるけど…おにーちゃんや、おねーちゃんのところにもある!」
「えぇ!?」
「な、なんでぇ…?」
お、俺らにもクリスマスプレゼント…?もうもらえる歳じゃないと思ったんだが…
とりあえず開封…開けてみると…なんだこれ…アクセサリ…?サンタにどうもありがとうと脳内で思って、首にかけてみると…
「…なんか今なら魔力をうまく練れる気がする…」
「そう?あ、プレゼントはなんだったの?」
「俺はこのなんだかわからないアクセサリだけど…非雨は?」
「私は〜…これっ、多分、しっぽの毛づくろいをするくしと、耳あてだね!いや〜…有難いものだよ…冬は耳が冬の風に当てられて凍えそうだったからね…」
ふむふむ…確かに便利そうだ。ソフランちゃんは…エプロンとマフラーに目を輝かせてて、もう1つある箱に気づいてなさそうだ。
「ソフランちゃん、もう1つプレゼントがあるんじゃないかな?」
「え!?ほんと!?」
更に目を輝かせて箱を探しているソフランちゃん。見つけたようで喜んでいる。
「なにが入ってるかな〜♪」
多分サンタさんに感謝しているであろうソフランちゃんは開封し始める。ちなみに俺はそれらのプレゼントをした覚えがない。
「おにーちゃん!おねーちゃん!ハンカチと、さんかくきんと、もこもこてぶくろがはいってたのっ!」
ハンカチと、三角巾と、手袋…本当に入れた覚えがない…ん〜…入れ間違え…いや、もしかして…
…ある程度察しが付いてきた俺は…まぁやりかねんわな、と思いつつ、ソフランちゃんが喜んでいるのを見れたので、満足したのであった。
次回も頑張ります。
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