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『元』少年は姉妹になったので次女になる  作者: ただの雪餅
本格的に茶番の世界で愉快なぱーりない
130/148

茶番三十三話 熱い日の雪餅達

夏休みになっても投稿ペースは変わらなさそうです。

みなさま、首を長くしてお待ちくださいorz

……俺は今、夜のテレビニュースを見て絶望している。(現在時刻は午後の8時だが)

6月であるというのに、真夏日並みの暑さが襲うっていう事実。最北端の所ですら30度超えてるってもはやふざけてんだろ。

と言う事で明日から週末(現在火曜日)にかけて最高気温32度以上の気温がガンガン襲うであろう。最低気温は25度から28度という熱帯夜待ったなしの気温だ。


「ん〜…明日から30度、かぁ…」

「わたしも暑いの、ちょっとやだかな…」


非雨達も困っている。暑い、と言ってメリットがあるのなら、洗濯物が早く乾くのと、太陽光発電がハッスルハッスルするくらいしかメリットが思いつかない。


皆さんも歴史で習っている通り、その原因は俺らの便利な生活、二酸化炭素の出しすぎ。

地球がもう限界、と言う声を上げてるに違いない。ツリスさん、頭ぽっぽして怒ってるに違いない。いや、そうじゃない事を祈ろう。仮にも地球の神なんだ。


「いざとなったら、私の魔法で何とかするしかないかぁ…」

「頼りにしてまっせ非雨先輩。」

「おねえちゃん、頑張れー!!」


そう、非雨氏は全属性の魔法使い。火の扱いからその他に長けてもろもろ、全てお任せなのである。

そういや、俺もこの身体だから魔法は放てるらしいが…ツリスさんからドクターストップがかかってるのでやる気はない。許可が降りてからだ。


「ま〜ず〜は…水魔法をミスト状にして、風魔法で振りまいてから熱を奪ってやれば…涼しくなるかな…?」


すごい現実的に魔法を使おうとしてる。確かにミスト状になった水を身体に浴びたらめっちゃ冷たくて気持ち良かったし。ミスト状だから、服もそんなに塗れることもない。もしも濡れてしまったら、風魔法でカラッと乾くであろう。


と、非雨が魔法をこのように使えば上手くいく、と考えつつ、就寝の時間が来たのであった。

これが、嵐の前の静けさ…か…暑がりの俺にとっちゃ地獄になるだろうな…




………




「う……蒸し暑い…」


不快な蒸し暑さを感じ起きる。俺は今、魔力の身体なので汗は出ないのだが…多分人間の身体だったら汗だっらだらだっただろう。


「おにーちゃん!ここすずしいよー!」

「うぬぬぬ…!!」


そこには、非雨の手からぶわっと溢れ出るミストを浴びているソフランちゃんが居た。

…これは、ヤバいな。主に非雨の疲労が。ツリスさん、ヘルプミー。


「んな人を便利屋みたいに呼ばないでよ…ていうか、こうなったのは人間達のせいなんだからね…?」

「そういってなんやかんや言って出て来てくれるツリスさん、非常に助かってます。」

「(´Д`)ハァ…全く…」


やれやれと言った感じで周囲(主に天井)に氷の塊を貼り付けた。


「これがあれば、23度くらいまで気温が下がると思うよ。」

「ありがと、ツリス。すごく助かった…」

「ツリスねえちゃん!ありがとう!」


……あ、ツリスさん、なんてことないっていう表情をしてるけど、ソフランちゃんの『ありがとう!』で表情が緩んだね。


「…うぉっほん。」


ツリスさんが表情を正すために咳払いをした。


「いちいちそこんとこまで実況しなくていいんだよ雪餅くんや…」

「こりゃ失敬失敬。にしし。」

「小悪魔的な笑みを浮かべてなぁ…」


ツリスさんの珍しい一面に面白がっているだけだよ〜。とそろそろ自重しよう。


「…雪餅の便利屋見たく呼び出されたけど、ちゃんと用があって来たんだよ…それも雪餅の余計な考えによって遮られたけどね…」

「申し訳ない。」

「んでだ。こんな暑さだ。みんなで海にでも行こうかなと思ったんだ。」

「うみ!おさかなさん!」

「海、ね〜。泳ごうかな…?」


ピクッ…泳ぐ…のか…


「雪餅、あんまり乗り気じゃない顔してるけど…」

「あ〜…なんでもない…」


…全く泳げないんだよ…俺…男の頃も泳げなかったし、こんな身体じゃ浮くことも出来ずに溺れるんじゃ…


「そゆことね、雪餅、安心しな〜。」

「あってめ心読みやがったな」

「神に向かって『てめ』とは…お主の秘密をバラしてやってもいいのだぞ?」

「本当に申し訳ない。」


脅されたぁ…


「ツリス姉ちゃん、おにーちゃんの秘密ってなに〜?」

「……………雪餅は、泳げないんだってさ。」

「……俺は燃え尽きたよ…うん…」


そしてあっさりとバラされる俺の秘密。もう笑え。うぅ…


「だけど、魔力体って、基本呼吸は必要としないから溺れる心配はないんだよ〜?」

「ふぇ…?ほんと?」

「ホントホント。」


衝撃の事実である。いやまぁ確かに魔力を主体とした身体って言ってたし、呼吸しなくても魔力さえあれば大丈夫らしい…ね。


「だけど泳げないってことには変わりないじゃないかぁ…うぅ…」

「まぁまぁ、浮き輪とか浮かべて泳げばいいんじゃない?」

「うぅ…」


悲しいのです。うん。まぁ溺れることは無いから、それだけは安心なのかな?


「さ、6月の休日に行くから、そのときに備えて準備しな〜?」

「「「はーい。(!)」」」


海を見たことがないソフランちゃんがすっごいテンションが高くなっている。

俺と非雨は1回だけ海を見たことがある。男の頃に溺れかけたのはいい思い出だぜ…(血涙)


と言っても、6月に行くからね〜。あっつい中、海に入るのは気持ちよかった。あんときは死にかけてたけどね。リアル異世界転生しかけたよ。ほんと。




[翌日の6月2日の昼頃…]


今日は一人で買い物に行くことになった。非雨から2000円を持たされて買いに行く。簡単に言うとお使いである。


そして外に出たら…


ムワッ…


「あっつ…暑すぎる…」


一応魔力の身体?だから熱中症は起きないと思うけど…暑すぎる。

というか魔力の身体、と言うけど、ちゃんと骨らしい物体が身体に入ってる。強いて言うなら…無呼吸でも過ごせる事と、心臓の鼓動か聞こえづらい事。触感は人間でも、中身は魔力なんだろうか、不思議である。


そんなこんなでお使いを済ます。

すごく暑い、と思いつつ、学校、駅、コンビニを通り…


「スーパー、とうちゃくっ…!」


食材の宝庫(個人差)、スーパー到着。

どっちかっていうとドンキ○○テやビ○○の方が食材の種類も多くて値段も安いのだが、近くにこのスーパーしかないのでここに来た。


と言う事でスーパーin。幼女形態で商店街で買い物しようものなら、多分可愛い狐の人さん見たくオマケを沢山もらえるであろう。多分。


ま〜ず〜は〜…最近熱くなってきたから、そうめんセットと…(そうめんと小ねぎとめんつゆの事)お肉と…ネギと玉ねぎとニラともやし…あ〜と〜は〜…みんなで飲む用にコーラとスプライトと午後の紅茶をかごに入れてっと…


うん。以前の俺なら1.5Lの飲み物を買った時点でダウンしていただろう。しかし今は魔力の身体。このくらいなら多少重い、と思うくらいなのだ。


そんでもってセルフレジに向かいバーコードをかざす。そして袋に入れて…


[エラーが発生しました、係員をお呼びください。]


…何故か俺がやるといっつもエラーを吐きやがるんだよね、このセルフレジ。多分俺の使い方が悪いんだろうけど…


店員の力を借りつつ会計終了。持参してきたリュックに荷物を入れてレッツラ帰宅。


やっぱあっつ…なんでこんなに熱くなるんかな…ふぃぃ…あっちょっ、髪の毛ふっつかないで…!



ふ、ふう…髪の毛、ゴムとかで結んだほうがいいのかな…?そのままたれ流しにしてるんだけど…ふっついてしまう…


よし、女の子の先輩の非雨に聞くとしよう。うむ。

さっさと帰ろう。すごく暑いし…


帰る道中、俺は暑い中何をしていたのかを思い返す。 小さい頃は、祖父母に連れられ川や温水プールで泳ぎ…小学4年からはずっとゴロゴロとして…ロリ形態では天津宅に行って…そして今現在は海に行こうとしている。


これが陽キャだったら夏冬構わず彼女とあっついにゃんにゃんタイムしてるんだろうなぁ…けしからん、けしからん。


と思い返していたら案外時なんてすぐ過ぎるもので、家に付いた。


「たっだいま〜。」


と扉を開けた瞬間に、心地良い風を感じる。この暑さなんてぶっ飛ばすほどの、人をだめにするエアコンみたいに。


「お〜…ゆき〜…おかえり〜…

「もふもふ〜♪」


非雨さんは多分暑さで寝っ転がっている。そしてソフランちゃんはこの暑さにも関わらず非雨のしっぽをもふもふしている。


「ソフランちゃん、熱くないの?」

「むしろ涼しい〜!もふもふ〜♪」


涼しい…?と思い非雨を見ると、『お前も私のしっぽをモフっていいんだぞ』と、言う感じで顔に現れている。そんなに…?


しっぽもふっ…なぬ!?


「すげぇ冷たい…!なんで…!?」

「ふっふっふ…雪餅よ、魔法という存在を忘れているな…?」

「(゜Д゜)…

その手があったか…!」


やっぱり まほうのちからって すげー!

…いやちょいマテ茶。


「…魔法としっぽに何が関係あるの?」

「よくぞ聞いてくれました…!と言ってもそんな凄いことじゃないんだけどね。ただ風魔法と水魔法を合わせて使ってるだけなんだよ?」


風魔法と水魔法…ふむ…


「それをしっぽから放ってるの?」

「いえすっ!」


これが魔法の応用…すげえなぁ。

俺も一気に2属性を操ってみたいもんだよ…!

そう思いつつ俺は非雨さんのしっぽをモフるのであった。






午後の紅茶。そして午後8時。子連れの夫婦なら子供と一緒にお風呂に入っているであろう。

そう、お風呂に入ります。


流石にロリ形態ではないので俺は一人で入れるようになったのだ。身長が伸びたから、もしコケたとしても溺れることはないからね。


一緒に入る気満々だったであろう非雨はショックを受けたような顔をしていた。


そんな非雨から目をそらし俺は着替えを持ちお風呂場ゴー。

半ズボンを脱ぎカゴにシュー!超エキサイティング!

…うん、こんな馬鹿なことやってないでさっさと入ろう。上着脱いで…胸当て外して…パンツを脱いで…よし、すっぽんぽん。


狐耳としっぽが人間の身体には合わないかもしれないが、それが何とは言わないがそそるものがある。少なくとも俺はそうである。


と言う事で、身体を洗う。ちょいとばかし、男の頃より洗い方を変えている。俺は忘れやすいから、何度も繰り返し覚えようとするのだ。


非雨曰く、女の子は髪の毛が傷つきやすいから、優しくシャンプーをかけて洗う…丁寧に…俺は長い髪なのでしっかりと毛先まで洗う。


泡を落とすためにシャワーシャー。泡を落としたら、髪の毛を守るクリームを均等に塗っていく。


塗り終わったら洗顔。肌を傷つけないように、泡をつけた手で顔を覆う。若干泡が口に入ってしまうのは仕方のない事、さっさと泡を落とす。


「じ〜っ…」


鏡を見る。蒼を練り混ぜた銀髪…同じ色の狐耳、しっぽ…

あの時はツリスさんと同じ銀髪だと思っていたが、よく見てみればツリスさんより青みがかかっている髪の毛になっている。


…そんで、背が高くなったから…心なしか…胸がぽよんぽよんとしている…おっきく…なってない…?


胸を持ち上げると、ドラゴン娘が出てくるアニメのように、ぽよん、ぽよんと擬音が出てきそうにぽよぽよとしている。

やっぱり胸を支えてみると重いのに、もうこの重さに慣れてしまった俺は末期なのだろうか…


股間はいつものようにつるぺたである。男のときに生えていたものはなく、ほんとにつるっつる。毛なんか一切生えてない。

というか、髪の毛、まつげなどを除いてまったくムダ毛がないよね、この身体。自分で言うのも何だけど、モデル体型なんじゃないかな…?俗に言う、グラビアアイドル…ってもんなのかな?今の俺の身体は。


髪の毛を束ねてお風呂ザバーン。肌は健康的な肌である。日焼けなんてしてないくらいの。


…よく考えてみたら、自分の身体、可愛いもんだよねぇ…まるで自分が2次元に入ったようだよ…

やっぱり、中身が俺じゃなかったら、アイドルとかになれたんじやないかな…?多分国民的スター的な感じでさ。


流石に買いかぶりすぎか、ははは。だけど、アニメ並みに可愛いのは、俺の知り合い以外ほぼ居ないと思うけどね。


……

「これ…浮いてるな…」


胸がお湯にぷかぷか浮かんでいる。俺はなんとも不思議な感覚を覚えている。ていうか、そのおかげっちゃああれだけど、女の子の大事なところが見えない。地味に良かった。青少年には刺激が強すぎるからね、うん。

絶賛俺がピッチピチの青少年なんだけどね!色々怖いので、トイレとお風呂以外は触らないようにしてるんだよ!


…まだまだ、女の子の身体には知らないことが多すぎるなぁ…女の子の日とか、まだ来てないし…ていうか来るのか…?この身体でさ…


「ふぅぅぅ…」


なんやかんや色々考えていたら30分くらい浸かっていたようだ。

指を見て…うむ。やっぱりしわくちゃになってないな。これが魔力体か…。


湯船から立ち上がって…うわっ…胸おっも…やっぱり意識すると重く感じちゃうのかな…?


しゅっ…ぱっ…しゅっ…ぱっ…

身体の水をなるたけ落とそうとしてます。たぶん、いみはない。かなしい。


身体の水を落としきった後、タオルで拭いてあげる。やっぱり胸と股間部辺りは…拭かなきゃなぁ…いやだなぁ…うん。




身体を拭いて、服を着る。この無駄に大きくて形のいい胸で苦しくならないようにゆったりとしたパジャマを着ている。といってもやっぱり胸が目立ってしまうのだが…


「やっぱり…お風呂上がりは暑いなぁ…」

「ゆっくり休みな〜?」


非雨が俺の髪の毛を乾かしてくれる。ここんとこ自分の身体の手入れは全て非雨に任せっきりになっている。やっぱりわからん。お風呂の手順しかわからん。手入れの仕方、覚えんとな…



〜おれのかみが かわきおわった!〜


熱くないように風魔法に水魔法を練り入れて使ってくれたらしい。非雨の気遣いに涙すら覚えてしまう…まぁ、元からやってもらってたのだが…



「髪は乾ききったかい?」

「ぬわぁぁっつ!?」

「あ、ツリスさんやっほ!」


ツリスさんが突然影から出てくるもんだから焦ったよ!!ていうか俺の声でソフランちゃんが起きちゃったし!せっかくの安眠を起こしてしまって申し訳ない…


「おはよぉ…つりすおね〜ちゃん…」

「すまんねぇ、起こしちゃって…」


ツリスさんがソフランちゃんの背中をさすりつつ撫でている。ソフランちゃんは口角を上げている。嬉しそう。実際嬉しいんだろうけど。


非雨にしてもらいたいなぁ…おつといけないいけない。我慢せねば。



「んで、ツリスさんはなんで来たの?」

「今日はね〜、非雨に作ってほしいものがあってね〜。」


…あれ?よく見ると、ツリスさん、耳としっぽを出してません?なんで?


「細かい事はどうだっていいのさ。非雨、材料を出していくから、作ってくれないかな?」

「あいあいっさ!」


ツリスさんが材料を出していく。酢、米…油揚げ…油揚げ…?


「もう分かってると思うけど、非雨には、稲荷寿司を作ってほしいんだよね。」

「なぜ稲荷寿司…?」

「私によ〜く似た狐さんのお祝いって感じかな?」

「なぜお祝い!?」

「一人でお風呂入れるようになったでしょ?」

「元から入れるわあ!!!」


あ…そうだった、ロリ体型で溺れかけたの忘れてた…

んで、この身体になったから一人で入れるようになったんだった…

ていうか、非雨よ、微笑ましい顔をするのはやめてくれ。お主よ、俺と一緒に入れなくて残念そうな顔をしてたじゃないか。

ソフランちゃんよ。お祝いと聞いて嬉しそうにして跳ねているな。ソフランちゃんは可愛いから許す。


「と言う事で、作り方は任せるから、最高の稲荷さんを作ってくれ!」

「りょかい!」

「わたしもてつだいたい!」

「よしっ!ソフランちゃんがいるから美味くなるのは確定だな!」


ソフランちゃんが手伝うと言ったから非雨とツリスさんはもう頬が緩みまくっている。実際ソフランちゃんの真心込めて作った料理は、形は悪くともすごく美味しいのだ。人を笑顔にさせる幼女パワーってすげぇ。


…あれ?俺って何も手伝うことなくね…?俺って足手まとい?





稲荷氏…もとい稲荷寿司を作る簡単な工程をおさらい。

味がなんにもついてない油揚げに、醤油、出汁の元、みりん、砂糖を入れ煮詰めていく。粗熱を取る間に、酢飯を作る。乾燥させんことガーゼをかけて粗熱を取ったら、酢飯にごまを入れ、油揚げを開き、酢飯を入れて、完成!

ちな、酢飯を作るところは手伝ったよ。何もできないかと思ってたから、よかったぁ。


「ねぇ、お兄ちゃん?」

「ん?何?」

「しっぽ、すごく揺れてるよ?」

「なぬっ!?」


しっぽに意識を向けると、ぴーんってなった。もしかして、いやもしかしなくとも、これ…無意識で揺れてるよね?


「あはは、雪餅、狐族になってから感情がわかりやすくなったねぇ。」

「お主のせいやぞツリス氏ぃ…」

「これはこれで可愛いんだけどね。」


て、よーく見たら非雨がスマホを持って撮影してるし!やめい!盗撮じゃ盗撮!



…だけど、狐の人になってから、多分普通の油揚げ、普通の味付けなはずなのに、絶品料理を食べた気分になれる。なんだ?稲荷寿司は狐族のクスリなのか?そんくらい、ハマるし美味しい。


ていうかよく見たらツリスさんもしっぽを振りながら食べている。てか、普段見れない顔してるけどな!こう、美味いものを食べて頬が落ちる的な、そんな感じ。




…………




稲荷寿司を食べたあとは、なぜかツリスさんに連れられる。


「ゆっき〜や。お主はこの前狐火を出したよね?」

「ゆっき〜ってなんだよゆっき〜って………うん、確かにあの温泉宿で狐火を出したけど…」

「それを応用したものを教えようかなってね。」


そんとき、ツリスさんが

『魔力体だから、色んな魔法を織り交ぜてやれば、更に強くなれるんだけどね』ととんでもない早口で言ったのだ。ふふふ、狐族のこの耳を舐めるでないぞ。だけどその魔法織り交ぜが気になるから…


「その魔法織り交ぜってどんなやつがあるの?」


と聞くことにしたのだ。好奇心は猫の子供をも殺すと言うけど、今は狐の人だからね。殺されないもんね〜。


「一番簡単なのは〜…それこそお風呂場で出した狐火を使って、水を沸騰させたり、冷やして氷にしたり…こんな感じかな?」


これは非雨がやっていた事の狐バージョンなのかな…?だけど、人間だった俺にとっては魔法が使えるだけでもすごい事なのだ。


「もっとすごいやつもあるんたけとね〜。影を操って引きずり込んで攻撃したり…逆にその狐火が癒やしの力になったりとかね〜。」


影ェ!?いやあ、凄くねぇか…?


「でしょ?私も初めて聞いたときはびっくらこいたよ。」

「その影を操るのって、ツリスさんは出来るの?」

「教えてる身がその技を使えないなんて有り得ると思う?」

「うん。」


ソースは俺だ。ネットから書きほじってきた情報をただ教えるだけ。ちなみに、実際にできる人も居るから、例外多々って感じ?

あ、ツリスさんがずっこけた。


「う、うぉっほん…!とにかく影を操るのはまだ早いから、狐火の火力調整を練習して、魔法のステップに入っていこうか…!」


ご、ごまかされた…けどまずは狐火か…頑張りますか。



…すぅ…身体に流れる…魔力の流れ…を感じて…指先で…念じる…!


「よしっ…!出たっ…!」

「ふむふむ、次は、これをどれだけ長く維持できるかだね〜。」

「えっ?これを維持するの?」


正直言って指元に対してずっと念じなきゃ行けないから集中力がやばくなる…!だけど…集中…集中…!



……



「あっ…やばっ…」


5分間指先を念じ続けて、集中が切れた。そんでもって狐火が消えた。


「ふふっ。まぁ5分間はまぁまぁかな?と言っても、最後の1分間は、狐火がゆらりゆらりと小さくなってたけどね〜」


う、うるさいやい。そんくらい分かってたよ…長い事集中する事は苦手なんだよ…


「この調子だと〜…やっぱり小さな風とか、さっき出てた狐火の影を20秒操るだけで、スタミナが切れるんじゃないかな?」


2、20秒かぁ…どうせなら5分、10分、いずれは1時間くらい止めていたいなぁ…


「狐族として生きていくと、1時間くらい余裕で付けていられるよ?」

「いや俺は人間の姿が恋しくなったら、人間の姿に戻る予定だけど…」

「うーん、残念…」


んな悪質セールスマンのごとく狐族に種族転換を進めないでくれ…元は人間なんだからさ、俺…


「よしっ、今日の練習は終わり!また私の気が向いたら、雪餅を教育してあげるよ〜。」

「え?なんで?」

「なんでって、息切れした状態で練習を続けたって効率が悪いでしょう?今の雪餅は、魔力を消費している。その状態で最高のコンデションを目指したって、なんにもなんないからさ。」

「だけど息切れしたって練習続ける海外勢兄貴姉貴もi「人間と狐族は違うんだから、ね?」


あっ、はぁい。

ツリスさんがそこまで言うなら俺も従うしかないよ。


と言う事で非雨の居る所に戻ることにしたが…ん…?あ…


「…(もじもじ)」

「どうしたの?雪餅。」

「お風呂…もっかい入らなきゃなぁ…」


そう。魔力に対して集中したら、なぜか汗が出たのだ。そりゃもう人間のように、15分フルエクササイズした時のように汗が出ているのだ。流石に背中に滝のように流れるほどではない。

だが、45分フルエクササイズをした時には、全身汗まみれで、自分の出した汗で滑って転びそうになるくらいだったよ…


と…いーうーこーとーで〜、


「お風呂にもう一度、in!」

「どこぞの理系大学生かな?」


汗をかいたあとのお風呂は格別…水分補給もしっかりとしたからね!



この後は特に何も起きず20分が経過して…雪餅とツリスさんは風呂から上がるのだが…


「ふぇぇぇぇ…あちぃぃ…」


バタンキューの姿勢でへばっている。つまるところ逆上せたのだ。学習しねえな、と思わないでください。だって暖かくて気持ちいいんだもん。


今はツリ姉に介護されています。バタンキュー状態なので動けないのです。


「だぁれがツリ姉じゃ若造狐めが…」

「はひゃあんっ!?」


ちょっと待って今しっぽには耐性付けてないから刺激がダイレクトにっ…!


「あっははw愉快じゃ愉快じゃw」

「むぅ…更に動けなくなったじゃないかぁ…」


今のお触りで腰が抜けてしまったのだ…情けないとは言わないで…ホントにビックリしたんだもん…


「仕方ないなぁ、今日は私と一緒に寝よっか?」

「…仕方なくしたのは誰なんだよ…」

「ツリ姉って言った雪餅だよね〜?」

「あっはいすいませんでした…」


反省。余計なこと言わなきゃよかった…


「うん。ホントに反省してるみたいだね〜。その証拠として、しっぽと耳もぺたんってなってるからね〜。」

「ふぇ…?」


やっぱり、しっぽと耳は無意識に動いてしまうものだな…


「さ、そろそろ寝よっか?今日はどうする?私のしっぽで雪餅の耳をかきかきする?それとも私の心音を聞くかい?」


…う〜…


「抱っこされて寝たいなぁ…腕枕とかさ…そんな感じ…」

「分かった。じゃ、よいしょっ…」


ツリスさんは俺を軽々持ち上げる。持ち上げられるのはロリ形態以来かな…?

そして布団に仰向けに置かれたと思えば、俺の首からツリスさんの腕が支えてくれる。仰向け、と言ってもしっぽには負担がない。


…あ〜…これこれ…こういうのがいいんだよ…しっぽ…欲しいなぁ…

ん…ぎゅう…もふもふ…あぁ…幸せ…



「…雪餅、幸せそうだねぇ…可愛くて天使みたいだよ…」


雪餅が隣で寝ている中、隣で一人つぶやく保護者(ツリスさん)であった。

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