茶番二十二話 雪餅の悩み
予約投稿。
「んーーーーーー…」
俺は今自分の身体の事について悩んでいる。
まぁ、この身体、お分かりだろうが、7、8歳くらいの女の子の身体である。そのくせ胸が何故か大きい。
「……雪餅、下着姿で鏡をじーっと見ないで…笑えてくる…ぷぷっ…」
「だぁれのせいだと思ってんだよまったく…」
「ははは…でも、ソフランちゃんが見ると、誤解を招くかも知れないから、そういうのは風呂場でやってね?」
「ああ、悪い悪い。」
といっても、粗方見終わったので、普段着に着替え、スマホをいじる。
「いやー…見た目だけ見ると、スマホをいじる小学生にしか見えない…笑」
「中身は中学生だからセーフなんだよ。」
「そうだった。そして私も中学生だった。」
非雨の謎の回答に苦笑いしつつ、まだ消費し終わらない展凛ちゃんのミントチョコアイスを食べる。うまぁい。
「雪餅やーい、暇ー?」
「ものすっごく暇ですねー。」
「天津ん家に遊び行かないの?」
「あいつは展凛ちゃんの点検やって、異常が無いか確かめるらしい。」
「あ、展凛ちゃんって、人工生命体だってこと、すっかり忘れてた。って、ん?あの子って機械?培養された人間?どっちなのかな?」
「あー…点検してるって言うから、機械なんじゃねぇの?だけど、この前触った時は温もりを感じたしなぁ。」
「うーん…」
「うーん…」
行き詰まってしまった。だけど、攻略法はすぐに見出せた。
「天津に聞けばいいじゃないか。」
「あ、その手があったか。」
さて、解決したので…何もする事が無くなった。
「暇じゃーーい。」
「ん?じゃあ、私の尻尾でも触るかい?」
「喜んで触らせていただきます!!」
「食いつき方が半端ないね…」
でも、こういうモフモフとしたものが好きなのだ。好きなものには抗えないのだ。
「もっふぅ!」
あぁ〜…たまらないぜ…
本当にモフモフで、触り心地が最高で、ずっと触っても飽きない。展凛ちゃんのミントチョコアイスのごとく大好きなものだ。
「ふぅふぇ〜…」
「たまに変な声出すよね。」
「だって気持ちいいんだもん〜」
何度でも言おう、この尻尾は最高である。
「んあぁぁぁ…お兄ちゃん、お姉ちゃん、おはよ…って、2人とも何やってるの…」
「あー、雪餅が私の尻尾触っていて、今、気持ち良さで昇天しているところ。」
「ごめん、お姉ちゃん、ちょっと分かりづらいかな…?」
「ソフランちゃん…だいたい合ってる…モフモフさわさわ…」
「あ、合ってるんだ…」
さて、充分堪能し終わったので、尻尾から離れる。うむ、余は満足じゃ。
「あれ、もう終わりなの?もうちょっと触っても良いんだよ?」
「今は満足したから、また寝る時に頼むわ。」
「ういっす。」
さて、非雨がソフランちゃんにご飯を作っている為、俺1人でゴロゴロしている。ソフランちゃんとも一緒に遊びたい…いや、セーフだよね?男の時ならアウトだけど、今はちっさくなって、女の子だからセーフだよね?心は変わらず年頃の男の子だけど。
と、暇していたら、いつも使う糸射出装置で何か出来ないかと思った。手に嵌めて、何か出来ないかと模索する。
…!物を持てるじゃないか!
いっつもこの糸に引っ張られてばっかりだけど、今度は物を持ち運んでもらおうじゃないか。
ハンガーとか、買い物かごとかを糸で持てる事を確認しつつ、糸で持つ練習をしていたら、
「ご馳走様でした!」
ソフランちゃんが食べ終わったらしい。
そして、ソフランちゃんは、ちこちこと俺の所に向かってきた。
「ん?何か用?」
「お兄ちゃーん、どーん!」
「うぶっ!?」
ジャンプして俺に抱きついて来た。身長がほぼ変わらない為、抱き上げるのは大変だった。
「ちょっ…この姿で抱くのは厳しいって…!」
「ふへへー…お兄ちゃん!あ、今は私と同じ女の子だけど、私のわがまま、聞いてくれてありがとう!」
「う…うん、よろきょんで、こーえーだよ…きゅぅ…」
余りにもソフランちゃんの『ありがとう』の破壊力が凄いので、呂律が回らなくなった。あれは凄い、魔性の『ありがとう』だ。
ただ単に嬉しかったってのもあるけど。
「急にソフランちゃんが雪餅の所に向かっていったと思えば…なぁに2人で楽しそうな事やってるかな?」
「おれは…いまうれひさのあまりぇ、しょーてぇしひょうでひゅ…」
「雪餅、あんたどんな事をソフランちゃんにさせられたらこうなるのよ…」
「ん?お姉ちゃん、ただお兄ちゃんにありがとうって言っただけだよ?」
「あー…よっぽど嬉しかったんだね。」
はい、マジで嬉しいです。ロリにこんな事言われたら昇天しそうです。
「んっんぅ!
*おれは、正気にもどった!」
「なぁにRPGっぽく言ってんのよ…」
「はは、ごめんごめん。」
「いや、怒っては無いけど…」
さて、本格的に何もする事が無くなったので、最終兵器、『スマホ』をいじろうではないか。
サイトを回し見して、動画を見て、ミントチョコアイスを頬張る…うん、これこそ至高。
動画に、『可愛さは正義』と書かれたタイトルがあるが、誠にその通り、と心の中で思いつつ、またアイスを口に入れる。
…ドアの開く音。誰かが来た。非雨が向かっていった。
「っと、お邪魔しまーす!」
「あ!展凛ちゃん!」
「やっほぉ!非雨ちゃん!今日の昼ごはんで、おかずが余っちゃったから持って来たよ!」
「ほんと!?ありがたい!」
「いやぁ、私と非雨ちゃんの仲じゃないの!」
「あ、上がっていく?」
「うん、暇だからね!」
玄関が騒がしいので見にいくと、展凛ちゃんと非雨がごはんに関する談議をしていた。
「あ!雪餅さん!こんにちわー!」
「もう天津からの点検終わったの?」
「その通りッ!私が言うのもなんですが、日に日にハイスペックになってますよー!この展凛ちゃんは!」
…いつにも増して、展凛ちゃんのテンションが高い気がする。
「あ、これ、昼ごはん、余分に作り過ぎて余っちゃったんで、どうぞ!ていうか、受け取ってください!」
と言われ、貰ったのは八宝菜。タッパーに入れている。
「…嬉しいんだけど、わざと作り過ぎたの?」
「はい!雪餅さんと非雨ちゃんが喜ぶかと思って!」
うぅ、何という心の広さ!こんな子を持つ天津が羨ましい!しかも可愛いし。
「えーっと…もしかして、余計なお世話でしたか…?」
「めっちゃありがたい。感謝だよ!ミントチョコアイス、今日も美味しく食べているし。」
「あ、まだあるんですね、正直、今となって作り過ぎたと思いましたが、大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫。自分が好きな味のアイスだから飽きずに食べれているよ!」
「そう言ってくれるとありがたいです!」
…うん、ちょっと言いたかった事があった。
「て、展凛ちゃん?上がっていいよ?玄関でずっと話しているとアレだし…」
「え、あっ!?はーい、すいませーん…」
ちょっと顔を赤らめて家に入っていく展凛ちゃん。余計な事言っちゃったな…
んで、展凛ちゃんが座ったので、コップにオレンジジュースを注いで出す。
「いつも俺が天津ん家に行った際、色々としてくれてありがとね。」
「いえ、こっちが好きでやっている事なんで…てか、お兄ちゃん、甘い物がそんなに得意じゃないから、甘い物好きの雪餅さんや非雨ちゃんに、クッキーとかの手作りお菓子をあげると、すっごく美味しそうな顔して食べてくれるので、それが嬉しくてまた作っちゃお、ってなっちゃうんですよね…」
「え?俺、そんなに顔に出てた?」
「はい!なんなら、明日、お兄ちゃんに聞いてみればどうでしょう?」
ちょっと恥ずかしいなぁ…と思いつつ、展凛ちゃんと非雨とソフランちゃんとの会話が進んでいく。
《えー、そろそろ5時になります、最新のお天気情報をお伝えします。》
あ、もう5時か、早いなぁ。
「ん、そろそろお兄ちゃんが心配してそうなので、帰ります。ジュースとお菓子、ありがとうございます!」
「いえいえこちらこそ、おすそ分けしてもらって。市販の物でごめんねー。」
「大丈夫です!では!また明日ー!」
「じゃあねー、展凛ちゃん。」
展凛ちゃんが帰っていった。
こういう、夕飯までの空き時間、何をする事が無いのだ。
何もする事が無いので、非雨の行動や、ソフランちゃんが非雨や俺に対してやる行動を見る事にする。同居しているからこそ、できる暇つぶし法だ。
30分程眺めていたら、非雨が
「3人で一緒にお風呂でも入る?」
と提案して来た。
なんかこの流れ、どっかで見た事があるような…
うーん、入ってもいいんじゃないかな、と思う気持ちと、やめといた方がいいって言う気持ちが半々である。
結局、いくら同居している人だとしても、裸…まぁ、下着姿は見てるわけだが、裸を見るのは恥ずかしいので、断ろうとしたら
「お兄ちゃんも一緒に入ろ!」
と言われてしまった。
う、断れない…ま、まぁ、あんまり非雨達を見なければいいかと思い、
『一緒に入る』との返事を出した。
と言っても、お湯をはらなくゃいけないので、湯船を掃除する。非雨がやると言ったが、流石にこれだけはやらないと、この家に居る意味が無いので、俺がやる、で押し通した。
非雨が俺の事を思って家事全部やってくれるのは良いんだけどね…まぁ、風呂掃除くらいはやらなきゃ、男の名が廃るってもん…あ、今の姿、ちっさい女の子か…
掃除が終わり、お湯を張ったところで、下着姿から普段着に着替える。
まぁ、どうせすぐ脱ぐのだが。
《お湯がはり終わりました。》
と言う音声メッセージを聞き、まず湯加減を確認する。うんばっちし。
カゴに俺の着替えを用意し、先にシャワーを浴びる。
うむ、身体を洗い終わったので、先に湯船に入っていると、
「やっほー。」
非雨達が来た。俺の前に惜しげも無く裸体を晒している。俺の精神衛生上非常によろしく無い。
「ん?なんで雪餅そっぽ向いてるの?」
「はっ、恥ずかしいんだよ!非雨達の裸を見るのが…って、言わせんな!」
「あ、ごめん…だけど、一緒に入っちゃうー。」
「かぁぁぁぁぁぁ…」
この後は、ソフランちゃんが湯船で俺と遊びつつ、3人一緒にお風呂から上がり、ご飯を食べた後、眠りについたのでした。
最後まとめが雑になったのは許して…
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