七十八話 小さくなってもお姉ちゃん
ごめんなさぁぁぁい!言い訳させて下さい。連続投稿がキツすぎてサボってました…すいません…
今では老いた(といってもまだまだ元気だが)あの方へのリスペクトを込めて。
「行ってきまーす。」
「行ってらっしゃーい。」
4度目の登校時挨拶を交わし、学校に登校する。
今日もソフランちゃんとオリィちゃんはくっ付いて来ている。ラデルちゃんだけ一人ぼっちだが、ツリスが面倒を見てくれるし、帰って来たら…あれ、そんなにラデルちゃんと遊んでない…
今日、帰って来たらラデルちゃんと遊ぼう。
今日はなんとなく登校時のルート観察をしてみる事にする。と言っても、見慣れたアパートと自販機、後は人だけだが。
犬と散歩している女性、ランニングする男性。自転車を漕ぐ集団など様々だ。
登校している際に、男子生徒からの視線がちらちらと感じるようになって来た。惚れられても困るんだよな…俺元男だし…
とか何とか考えている内に校門に着いた。生徒会長と1クラスの生徒達が挨拶運動しているので、挨拶を返す。挨拶運動の男子生徒の視線が凄かった。
下駄箱に靴を取り出そうとすると、一枚の紙。覗いて見ると、
『今日の昼か放課後、学校の屋上に来てください。
1年生より。』
…うちの学年より下の子から呼び出しくらっちゃったよ…考えられるパターンとしては告白か話し相手か冷やかしか。これは古典的な呼び出しかもしれない。
とりあえず下駄箱でじっと紙を見つめるなんて変人にしか見えないので、教室に向かい改めてチラ見する。
俺にとって一番良いのは話し相手のパターン。みんなと話せるのは例外もあるが心の安らぎになる。一番ダメなパターンは告白。どうせ一目惚れとかそんな感じかもしれない。相手の性格とか分からないのに一方的に告白を受ける気はない。
ていうか、俺元男だから、女の子らしい告白の断り方が分からない。素直に『ごめんなさい』で良いのだろうか。
まぁ、行かなきゃ良いかと思い、準備し、読書する。オリィちゃんもソフランちゃんも、目をこすり着いて来たので二度寝中なのだ。
先生が入って来て朝の回。内容を纏めると
・廊下で奇声を上げる女子が居るから気をつけるように。
・トイレの使い方。
・地域住民に迷惑を掛けるな、苦情が来た。
との事。
特に俺には何も関係ないなと思い朝の回が終わる。雪菜さんが来て、『ここの数式わかった!?』と聞いてくる。数学のノートを貸してやる。雪菜さんは喜んでいた。
1時間目は家庭科。縫い物をする。
昔女の人は縫い物を結構すると聞いた事がある。
先生の話だと、女子が指に針を刺して怪我をすることがあるので注意しろとの事。男子はー?と他の女子が聞くが、今年度は男子が器用らしい。
作成途中の縫い物を受け取り、糸を縫い始める。こういうタイプの集中力を使う奴は好きだ。
女の子らしく、ハートを作ってみたり…少し苦手だった玉止めが出来るようになったりと、この身体になって出来る事が増えた。
やがていつの間に家庭科の授業が終わった。
2、3時間目が終わり、4時間目はまた保健体育。今日はグラウンドが使えないらしいので、体育館でバレーボールらしい。
準備体操も終わり、先生の説明を聞き、チーム編成。丁度女子の学級委員がチームの力を均等になる様に纏めた。
円陣パス…狙った所にボールを飛ばすのが難しいが、だんだんと慣れて来た。
たまに、それはボール打てるやろ!と思ったボールでも女子は打たない時がある。だか、突っ込んだら面倒になるかもなのでやめておく。
そして練習試合。女子達はサーブをミスったり狙った所にボールを打てなかったりとキャーキャー騒いでいたりしたが、スパイクとかで相手側に鋭くボールを送ってやると、女子は逃げるか受け止めるがボールがあらぬ方向に飛んでいくって言うのが大半だ。
それでもやはり女子バレー部の人は強く、こぼしたボールを積極的に拾いに行ったり、これは無理だろ、と思ったボールでも回収してこっちに飛ばしてくる。
結局、負けてしまったが、バレーは面白い。こういう熱い駆け引きが好みかもしれない。
数試合ほどやって、セットの片付けを終わらせ終わりの挨拶をする。教室に戻ろうとすると
『非雨さんのボール、鋭かったね〜。』と楽しそうな女子談議が始まった。なんでそんなに強いボールを打てるの?って言われても『頑張って打ったらこうなったから』と返す。
教科書を焼いた女子がグチグチ俺の悪口を言ってくるが、気にせずほっとく。あまりにも酷かったら次のバレーの授業でわざとその女子に顔面ヒットさせようかなと思った。
休み時間が終わり、5、6時間目も何事も無く終わり、帰りの回。放課後、グチグチ言ってきた女子がまた俺の所に来て悪口を言い始めたので、こっそり筆箱を焼却処分しておいた。教室内に若干の焼けた匂いと音がしたが、放課後の男子の声に掻き消された。
スクールバッグをを背負い下校する。廊下で女子の叫び声が聞こえたが、無視。
呼び出しくらってたな、と思い出したが、結局告白されたら断る口実が無いという事でそのまま帰った。
オリィちゃんが下校途中にやっと起きた。バレーの時に尻尾ぶんぶん揺らしてたのに起きなかったのだ。強い。
「うにゅ…?まだ?じゃ少し寝る…」
まだ下校途中だと知るとまた寝始めた。これを三度寝と言うのだろうか。
そうこうしていると家に着いた。
「ただいまぁー。」
「「おかえりー。」」
ラデルちゃんとツリスが出迎えてくる。ラデルちゃんはジャンプして俺の胸元に飛び込んで来た。なんたる身体能力…猫の獣人だから仕方ないかと思い、抱いてやる。
「ラデルちゃんは元気だねぇ。」
「姉ちゃん!おかえり!」
「ただいま、ラデルちゃん。」
ラデルちゃんが2度目のおかえりを言ったところでそろそろ降ろし、部屋着に着替える。
「ソフランちゃーん、オリィちゃーん、起きろー、昼だぞー。」
人格に戻してもまだ寝ていたソフランちゃんをゆっさゆっさして起こす。オリィちゃんはまだ眠りが浅くすぐに目覚めた。
寝ぼける2人を引き連れてリビングに向かい、カルピスソーダを飲んでいると、
「非雨やー、ちょっと来てー。」
「ん?」
呼ばれたのでツリスの所に向かう。
「非雨、お願いがあるんだけどいい?」
「大抵この場合私にとってヤバイお願いだと思うけど…何?」
「ちょっと若返ってみる?」
「あー…やっぱり。というと何才くらい?」
「いや、こっちが決めていいなら。」
「自由に決めて良いけどさ、何させたいの?」
「ちょっと若返った非雨にお姉ちゃんって言われたい…キャー!」
ツリスは顔を赤らめて興奮している。
「はぁ、要するにちっさくなってツリスを今日一日お姉ちゃんって言えばいいんでしょ?やるよ受けるよ。」
「ありがとう!では早速!」
ツリスがそう言うと視線が下になっていくのを感じる。そしてなぜか服が変わっていた。
「お、おねえちゃん?これって、どういうこと?」
心なしかうまく喋れない気がしてならない。
「ん、自由に決めていいって言うから、5、6才くらいにして、ちょっと呂律を回らなくなる事をしただけだよ?」
「ちょっ、つりすぅぅぅ!」
いつもの声よりさらに高くなった声を響かせツリスに向かっていく。
「あー…非雨にお姉ちゃんって言われる事が、日々の幸せだよ…」
「せめてろれつくらいはなおせー!このぉぉぉー!」
「はははっ!物凄く可愛いよ!」
「むぅぅぅぅぅぅ!」
うまく呂律が回らないので、口を膨らませて抗議の姿勢を保つ。
「はぁ…この非雨も可愛いけど、仕方ないか、ほれ。」
「むぅぅぅー…ん?あー、生麦生米生卵…よし、直った…よかった…」
声は高くなったままだが呂律はいつも通りになった気がする。
「じゃ、小さくなった非雨とラデルちゃん達を眺めながら、仕事で疲れた脳を癒しますか…」
「この姿だとペットボトルが掴みにくい…うぬぬ…」
小さい姿だと、あんまり細かい事は出来ないと思いつつ、でっかいジュースを両手で持ちながらラデルちゃん達の元に向かう。
「!?って、お姉ちゃん!?」
「あー…この感じ、ご主人だわ、どうしたの?」
「ツリスのわがままでこうなった。一日はこの姿にいるよてi「姉ちゃん!凄く可愛いよ!私、姉ちゃんの尻尾毛繕いしてみたい!」
何故かラデルちゃんが興奮した様子で俺の尻尾の毛繕いをしたいと頼んだ。
こうなるとソフランちゃんとオリィちゃんが黙っているわけもなく…
「あ!ラデルちゃんだけズルい!私だってお姉ちゃんと一緒に寝たい!」
「今のご主人と一緒にゲームや魔力を吸ってみたい…だめ?」
一気にお願いされた。
「一緒に寝る事は就寝時に出来るとして、オリィちゃんはまずラデルちゃんのお願いを済ませてからかなぁ。」
「えー…まぁ、ご主人がそう言うなら…」
オリィちゃんは若干不服な顔をしながらテレビを見始めた。ソフランちゃんもついでに見始めた。
ラデルちゃんが準備出来たの事で、正座して尻尾を差し出す…が、
「姉ちゃん、ちょっと、こっち。」
と言い膝に手を置く。そして更に近付くと、
「姉ちゃん姉ちゃん、至近距離でやりたかったんだよね。あ、後で姉ちゃんの耳掻きもやっていい?この姿の姉ちゃんを見ていると、なんだか私が姉ちゃんの姉ちゃんになった気がして。」
「別に構わないけど…まず、はい、頼む。」
尻尾を差し出す。歳が若くなっているので、少し尻尾が小さくなっていた、が、それでも十分に大きい。
「私、今姉ちゃんっぽい?」
「そうだねぇ…今この姿だから、見た目的にはラデルちゃんが姉に見えるのか…物凄く見える、可愛いよ。」
「そう言ってもらえると凄くうれしいー!」
ハイテンションになったラデルちゃんは一回整えた尻尾を更に整えようとしてくる。もう十分だよって言っても聞く耳持たずで、満足するまでやられ続けた。少しくすぐったかったです、はい。
「次は耳掻き…オスゴー姉ちゃんからやり方を大体教えてもらったから、うまく出来る…かな?」
ツリスがいつの間にそんな事教えていたのかと思ったが、ラデルちゃんに身を任せる。
「この姿の姉ちゃんに、お姉ちゃんって言われたら、幸せかも…」
うっ…地味にやりにくい事を要求された…いやまあ出来ることには出来るけど…この見た目だし。好きにするか…
「……ちゃん」
「え?」
「ラデル…お姉ちゃん…駄目?」
「もう大好きぃ!姉ちゃん!」
ラデルちゃんは耳掻きをすっぽかしてまた抱き着いてきた。今度はラデルちゃんが大きく感じる。
「今日一日、この呼び方にする?」
「うん!お願い!」
ラデルちゃんがどんどんとハイテンションになっていってる様な気もするが、そろそろオリィちゃんがじーっ…と見つめて来たので、ゲームする事にする。
「ラデルお姉ちゃん、オリィちゃんが不服を申し立てして来たから、ゲームしよ?」
「不服って?」
「あー…ラデルちゃんだけ私とあそんでずるいって事でしょ。」
「じゃオリィちゃんも一緒に姉ちゃんと遊ぼうよ!」
「その前にオリィちゃんのやりたい事を一緒にやろ?ね?」
多分まだ俺と触れ合いたいラデルちゃんを説得し、オリィちゃん達とゲーム大会に参加する。
「今日は何やる?」
「4人で運と実力が試されるパーティゲームしようよ。最初は4人協力ゲームでもする?」
「おー…」
「さんせい!」
「やるー。」
3人ともそのゲームをする事に異議はないみたいなので、起動して協力ゲームの所に移動する。
初めはリレーゲーム。風向きやCPMレベルをランダムにして始める。
コントローラーを素早く振り、走る速度等を上げてどれだけ早く、記録更新出来るかを試す。
俺は3番手。とあるクイズ番組の人に、最大のリスペクトを込めてこう言った。
「わぁたぁぁぁしにぃぃぃ、まぁぁぁかぁぁあせぇぇとぉぉけぇぇぇ!!!!」
「頑張れぇ!○○○(アイドルの名前)!」
「非雨じゃ!」
ツリスからの合いの手…まぁボケに突っ込みを返し、まるでコーラの炭酸を弾けさせるようにコントローラーを早く振る。これにより大分タイムが詰めれた。
ラスト、オリィちゃんが決めて記録更新。嬉しい。
この後、バレーやサッカーの協力ゲームを終わらせ、次に純粋に運が試されるゲームをして、ご飯の時間になった。
そして、みんなご飯を食べ終わり、この時間にゲームをする人は居なかったので、ゴールデンタイムの番組を見る。
そして1時間後。何故かいつもより早く眠くなってきた…多分今の幼女体型のせいかも知れないが。
既にソフランちゃんとオリィちゃんが寝ており、間に入るように寝る。歳は違えど、見た目だけ見れば女の子達が仲良く寝ている絵面になっていそうだ。
毛布を被り寝る…
「…やっぱり可愛いわ。」
ツリスがそう言う。その手にはカメラ。写っているのは妹達の寝ている姿。みんな纏まって寝ている。
「この写真、大切にしよっと。」
とそう思うツリスであった。
多分この先、投稿期間が開くかもしれません…




