七十六話 三角関係?
無い脳を振り絞って頑張りました。
見事なフラグ回収。
「ただいまー。」
「おかえりー。」
「おかえり姉ちゃん!」
珍しくラデルちゃんが私に向かって抱きついてきた。
「ラデルちゃんね、ずっと寝てるのに非雨が居なくなったと知ると慌てちゃってね…事情を話したとは言えずっとそわそわしてたから帰ってきて安心したんじゃない?」
その気持ち、なんとなくわかる気もする。
「えーと、ラデルちゃん、私着替えてくるから一旦離れてくれると嬉しいんだけど…」
「わかった!」
素直に離れてくれた。さて、さっさと着替えないとラデルちゃんが拗ねてしまうかもしれないから、早めに着替える。
洗濯するもの、ハンガーにかけるものを分別して、部屋着に着替える。ずっと尻尾にしがみ付いていたオリィちゃんを起こし、ソフランちゃんを人格から人間へと変化させる。
オリィちゃんはあんだけ寝たのにも関わらず『まだ眠い…』とか言ってベッドでまた昼寝するらしい。ソフランちゃんは着替え終わった時にくっついてきた。
スマホを持って、リビングに行く。ラデルちゃんはソフランちゃんと遊び始めたので、スマホをいじる。
面倒くさいが今日貰った連絡先をsmsに登録し、メッセージを送る。
《改めてよろしく!》
って返ってきたので、適当に相槌を打っておく。
…よく見たらラインのトップ画像、俺と家族の集合写真にしていたが、まるで違和感が無いように女の子の身体となった俺と差し変わっている。
細かいな…と思いつつ、ゲームミュージックのBGMを流しながらリズムを取る。いい暇つぶしになるのでオススメである。
「ひーあー、暇?」
「ひまっちゃー暇だけど。」
「ちょっとこっちに来てー。」
「はいよー。」
俺はツリスの所に行く。そしてツリスは俺の顔を見て真剣な目つきになった。
「非雨、ちょっと真面目な話をするけど、今私と姉妹関係を結んでいるよね?」
「ま、そうだね。」
「その事なんだけど、私は地球の神という立場にいる事は知ってるよね?」
「時たま忘れる時あるけどね。ツリスが神だって事。」
「うっさい…んで、姉妹関係という事になった今、非雨はー…神になる資格があるんじゃないのかな?って思ってるんだよ。」
「ぶっは…ゲホゲホ…え!?え?!」
神になる資格!?ちょっと待って、色々と話がぶっ飛んでいるから追いつかなくなってきた。
「ちょちょ、神にって、まだ姉妹関係結んで時間そんなに経ってないよね?てかそもそもの話、血繋がってないよね?」
「血とかの問題とかは関係ないよ…けど時間は経ってないけど、神になれるんじゃないかなー…と思ってるんだよね。」
「は、はぁ。」
「私も手助けするからさ、神…といっても神の卵なんだけど、なってみない?いい社会見学だと思ってさ。」
…いい社会見学の為に人間をやめる必要はあるのだろうか…
「人間はやめ…ないと思う。一応私、天界人だから。人だからね?」
「なんだよその微妙な間は…てか、何気にツリスが天界人だって事始めて知った…てか天界人とはなんぞ…」
ていうか一度にたくさんのぶっ飛んでいる情報が入ってくるから理解に時間がかかるんだよ…
「天界人は…カクカクシカジカで、とまぁとりあえずこの話は後でするから、考えておいてね。期限とかは無いからじっくりなるかどうか考えておいてね。」
と言った後にツリスは転移した。
…これ、昨日考えた俺の考察がトリガーとなってないか?
神になる道を捨てて普通に暮らすか、神になって人外になって資格を積むか、どっちを選べば良いのだろうか。
期限はないと言っていたが、なるべく早く決めた方が良いのだが、少し聴きたい情報があるので、それを聞いてから考えてみよう。
とは思ったものの、やっぱりさっきの話について考えが頭の中で一杯になり、約1時間が経った。
ツリスが戻って来たので、聞きたい情報を引き出してみる。
「ツリス、神になっても…その、なんだ、子供って出来るの?」
「子供…ね、神になっても跡継ぎどうのこうのとかで子供を作る神は居るから、作ろうと思ったら作れるけど…」
結局、どっちを選んでも子は作れるって事か。
「えっと、神の卵になりながら、普通の人として暮らす事は出来るの?」
「出来るよー。てか神の私も今この地球で非雨達と暮らしてるからね?」
「あ、そっか。」
普通に暮らせるって言うのであれば、多分余程の事がない限り大丈夫だと思う…しかし、悩む。
「一応私も若造だけど、粗方の事は出来るから、何か困った時は相談に乗れるけど…?やっぱり無理?」
「…まだちょっと悩むけど、なってみようかな…?人を辞めないのであれば、大丈夫だと思うけど…」
「よーしわかった、じゃ、明日から少しずつ、神についての勉強をしていこう。」
「勉強…ツリスの事も気になってたし、いろんな神の事を知る良い機会になる…かな?」
人外にならない…多分と言うツリスの言葉を信じ、若干不安要素を残しながら了承した。本当に大丈夫だと信じたい。
「神になる事って、どんな事が出来るようになるの?」
「んー…色々あるけど、今やった通り、私という神から勧誘を受け、資格やらなんやらのやつを勉強して、そこから神の会議等で認められれば完全に一人前の神になるって感じかな?勧誘されて了承した対象は、いろんな呼び方があるけど、『神の卵』…まぁ、見習いと言う感じで呼ばれているよ。」
「その、資格やらなんやらって、どう言う事なの?」
「あー…沢山ありすぎて、一言ではまとめきれないんだよね…最短でも認められるまで500年くらいはかかるのかな?」
「ちょっ、私死ぬじゃん!」
「大丈夫だって、私と姉妹関係を結んでいるから、殺されない限りは死にはしないよ。一人前の神になったら、命を狙われる事はしょっちゅうだけどね、ははは。」
「それ、私は大丈夫なの?」
「今はどうなのかは知らないけど、私が見習いの時は命を狙われなかったから大丈夫だと思うよー。」
やっぱり本当に大丈夫なのかな…?
『最短』で500年…ロリアさんが精霊神…一人前の神になるまで3000年かかったと言ってたから…余程の天才と才能かない限り無いだろうなぁ。
「やっほ、遊びに来たよ。」
「……やほ…」
噂をすればロリアさんが来た。後、テーレちゃんも一緒に来た。
ロリアさんが来たと同時に何故かオリィちゃんも起きたみたいで、『おかぁしゃん…』と言いながら抱きついている。ロリアさんはそんなオリィちゃんをよしよししている。
「ロリアさんって、ここ最近毎日来てますけど、用事とか大丈夫なんですか?」
「空いた時間に来てるから大丈夫。心配はしなくてもへーきだよー。」
「そうなんですか。」
とロリアさんから聞き終わった時に、テーレちゃんがこっちに寄って来た。
「わ…たしの名前を…くれた…ひと、なまえ…なんていうの…?」
「名前ね、私は非雨、祐奈打非雨だよ。」
久々にフルネームで自分の名前を言ったような気がする。
「ひあ…わた…しのなづけ親は…ひあさん…覚え…ました…」
「ん、非雨、どうやらテーレちゃんに懐かれたんじゃないか?」
「名付け親…?いやまぁ私が名付けましたけど、それと何か関係が…?」
「ほら、私がオリィちゃんを名付け、懐かれているという事実があるじゃないか、それと似たような感じで懐かれたんでしょ。」
「あー…そういう事か。」
と言ってもテーレちゃんに何もされる訳でもなく、ちょっと服の裾を掴んでいる事以外はいつもテーレちゃんかロリアさんにやってる事と変わりはない。
なんとなくでテーレちゃんの頭を撫でてみる。ツノが硬く、髪の毛はふんわりしていて触り心地はいい。魔人特有なのか、はたまたロリアさんが合間を縫ってテーレちゃんの髪の毛を手入れしているのかはわからない。が、触ると癒されるような、不思議な感じになる。
撫でられているテーレちゃんはというと、無表情から、目を閉じ、口角を少し上げて嬉しいと言う事を表現している。
満足したのか、テーレちゃんはロリアさんの所に戻っていった。
「じゃ、今日は精霊さんの所を回っていかなきゃいけないから、また明日ね。」
「はーい。」
「おかあさーん!また明日ねー!」
充分に甘えたオリィちゃんが元気よくさよならを言った。ロリアさんに抱きついて満足したようだ。
その後、ご飯をみんなで食べ、身体を洗い、その後ツリス以外は就寝となった。
「…また…夢?」
目が覚めると昨日と同じ草原にいた。だが、昨日と違う点を述べれば、男性と女性がいるって事だ。
「よぉ非雨。最近はどうだい?」
「なんで名前を述べてないのに自分の名前を…?」
「決まってんだろ、俺自身だからだよ。」
「そして私は、元の魂…この前は急に支配をしてしまい、すいませんでした。」
ん?俺が俺で、今の俺とよく似た女性が俺に謝って…えっと…
ん…?昨日の考察…つまり、謝っている女性は…
「俺の身体の…元の魂?」
「そうです。非雨さんの魂と私の魂を夢の中で共有出来るようになりました。が、現実では余りにも自分を作った存在に会いたいと思う気持ちが強すぎて、非雨さんの精神を完全に支配してしまいました。」
「あん時は俺、死ぬかと思った…ツリスが助けてくれなかったら、どうにもならなかったぞ…なぁ俺。」
「えと、男性のあなたは、性転換する前の俺?」
「そうだよ、理解が遅いのは俺譲りだな、はっはっは。」
今いるのは、自分、性転換する前の俺、そして、俺の身体の元の魂。元の魂さんは、今の俺の魂と共有していると言っていたが、どう言う事なのだろうか。
「簡単に言えば、今こうやって話せる事ですかね。現実では、あなたと私がオセロの色みたいに、一緒に出てくる事は出来ませんけどね。」
そう言う事なのかと理解する。
「さて、時間です。次回からはいつ共有出来るかはわからないです…だけど、何となくですが、私を作った存在に会いたいと思う気持ちが強ければ共有できると思います。今は無理くりにでも共有してるんですけどね。」
「俺はいつでも俺の事を見ているから、やらかしたりはするなよ?」
「ちょっと待っーーーー」
色々聞きたい事がまだ沢山あるのに、私の意識が引っ張られるように消えていく。その最中、魂が霧となって消える所を目撃したのを最後に、夢の中の意識は途切れた。
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